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先行き不透明な日朝関係、首脳会談が実現すればぜひ拉致問題を詩で

Record China / 2024年6月24日 14時30分

だがまれにひねくれた人もいて「おまえら同じ朝鮮人なら、何か朝鮮の詩の一つでも吟じてみろ」と無茶ぶりをしてきたのだという。

このあたり在日コリアン側も周到に準備していて、1人が「ではやってみせましょう」と手を挙げ、朗々と、北朝鮮の人なら誰でも知っている詩を歌ってみせたところ、そのひねくれた人も驚き、感激の握手を交わしたという。まるでラップバトルのような詩の応酬の場は想像するだけで愉快だ。

その在日コリアンの男性がアドバイスしてくれた。「『白頭山』という長編詩を覚えていきましょう。紙を見ながらでも、初めの数節だけでいいので朝鮮語で朗々と読んでみてください。現地の人たちは驚いてひっくり返りますよ」と。

なるほど。この詩を読むなら、平壌での歓迎宴の席がいいだろう。「今日の歓迎会に感謝の気持ちとしてひとつ、朝鮮の詩を披露しましょう」と読む。中曽根康弘元総理の姿が重なる。かつて外遊先の韓国で、サプライズで韓国語でスピーチし、韓国語の歌「黄色いシャツの男」を歌い、一気に全斗煥大統領との関係を縮めた。同じ展開になれば素晴らしい。さっそくいくつか読むべき詩のピックアップを別の在日コリアンの友人に頼んだ。

似た試みはすでに成功していた。先日都内で「朝鮮音楽の祭典」という演奏会に行った。幕が下りてから関係者の方に感想を伝えたところ、それを聞いたその方の言葉が徐々に熱を帯びてきた。「これからも既成概念を突破する公演を行いたい」という熱い言葉に、「なるほど。『突破せよ、最先端を』ですね」と2010年ごろに流行した北朝鮮の歌の題名を絡めて答えたところ、なぬ!と笑顔になった。効果は抜群だったようだ。

さて「三国志演義」の逸話の一つに、三国時代、魏の曹丕と弟の曹植の「七歩詩」という話がある。曹植をねたむ曹丕は「私が7歩歩く間に詩を作れ。出来なければ処刑する」と宣言する。曹植はたちどころにこう詠んでみせた。

煮豆燃豆萁

豆在釜中泣

本是同根生

相煎何太急

同じ根から育った豆と豆がらを兄と自らに例え、対立する悲しい関係を詠んだとされる。結果、曹植は処刑を逃れた。先の「風と共に去りぬ」も然り、実際に政治と歴史を文学が、詩が動かすことがあるのだ。

さて、日朝関係の先行きは相変わらず不透明だ。モンゴルでの接触が最近あったとされるが、さて首脳会談までつなげることができるのか。拉致問題の進展はあるのか。

もし首脳会談が開催されることになったら、僭越ながら岸田総理にご提案したい。会談の場で何か一つ北朝鮮の詩を読んでみてほしい。あるいは七歩詩のように、拉致被害者と特定失踪者とその家族の別離を詩に乗せて読んでみてほしい。「拉致被害者と特定失踪者を返せ」というような直球ではなく、婉曲と比喩と、若干の皮肉と、年長者からの戒めをも込めた詩を読んでほしい。

会談の場の空気は変わるはずだ。総理の自作が無理というなら、詩人の英知を結集してでもいい。詩の不意打ちと文学の力で場の空気を握り、硬直を究める交渉を進める勇気ある選択を強くお勧めしたい。

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