中国の大型ネット通販セール「618」が期待外れに、売上高が初めて減少―海外メディア
Record China / 2024年6月29日 16時10分
中国の大型ネット通販セール「618」が期待外れに終わり、小売業者の目先の見通しや景気の先行きに暗雲が生じている。今年の618セールは売上高が初めて減少した。写真はアリババグループ。
中国の大型ネット通販セール「618」が期待外れに終わったことを受け、小売業者の目先の見通しや景気の先行きに暗雲が生じている、とロイター通信が報じた。今年の618セールは売上高が初めて減少。既に厳しい価格競争を強いられている小売業者への圧力が強まっていることが浮き彫りになった。
618は電子商取引(EC)大手JDドット・コム(京東商城)の創設日である6月18日にちなんで名付けられた。11月の「独身の日」に次ぐ大型セールで、家計の消費を示す重要な指標とみられている。
両イベントはかつて中国の消費主義を象徴し、通販サイトやブランド各社に確実な売り上げ増加をもたらした。EC大手アリババが最後に独身の日の売上高を公表した2021年には期間中の売り上げが845億4000万ドル(現レートで約13兆5000億円)に達した。
ロイター通信によると、今年の618では消費者に支出してもらうのがいかに難しいかが示された。コロナ禍以降、節約傾向にある消費者の支出を促すため小売業者が年間を通じて値引きを実施していることも、大型セール期間中の販売伸び悩みの一因となっている。昨年の独身の日セールの売上高は2%増だった。
こうした値引きはJDドット・コム、アリババ系の「天猫(Tモール)」と「淘宝網(タオバオ)」から、低価格プレーヤーの「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」などに消費者が流れるのを遅らせているものの、個人消費喚起にはつながっていない。最近の四半期決算でアリババの国内EC部門は4%増収にとどまった。
さらに大きな懸念材料は22年から低迷が続く消費者心理だ。バンク・オブ・アメリカの最新の中国消費者調査によると、6月の消費者信頼感は一段と悪化した。
今後6カ月間に支出を増やすと回答した人の割合は45%と、4月の55%から低下した。また、今後6カ月に収入増加を見込んでいる人は31%で4月から10ポイント低下した。
グローバルブランド10社余りのネットストアを管理するカンフー・データのジョシュ・ガードナー最高経営責任者(CEO)によると、中国のECは618と独身の日前後に売上高が大きなピークに達することから「エベレスト・コマース」と呼ばれている。
同氏は「販売期間が長期化して消費者の興味が薄れ、例えば字節跳動(バイトダンス)傘下の「抖音(ドウイン)」などライブコマースが提供する日常的な値引きに関心が移るようになると、こうしたピークは鋭さを失う」と指摘した。
市場調査会社カンター・ワールドパネルの大中華圏担当マネジングディレクター、ジェーソン・ユー氏は「消費者が618セールで必要な物を購入したため、今後数カ月は小売業者にとって困難な時期になる」と警告。「こうした買いだめ行動は今後の消費ポテンシャルの過度の前倒しだ。7月は非常に厳しくなるだろう」と語った。(編集/日向)
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