自動運転車両の配車サービスが拡大、運転手はお払い箱か?―中国メディア
Record China / 2024年7月7日 8時0分
中国メディアは自動運転車両配車サービス「蘿蔔快跑」と運転手の今後について分析した。
騰訊網や36Krなどの中国メディアは、百度(バイドゥ)傘下の「Apollo(アポロ)」が湖北省武漢市で展開している自動運転車両配車サービスプラットフォーム「蘿蔔快跑」のレポートと、今後の配車サービスや運転手に与える影響について分析する記事を公開した。
記事は初めに「自動運転移動サービスプラットフォームの蘿蔔快跑は4月19日の時点で、全国11都市で乗客ありのテスト運営を実施しており、600万回以上のモビリティーサービスを提供している。武漢市では市内12の行政区をカバーする自動運転テスト道路の開放や全自動運転商業化試行政策などの措置により、自動運転車両の数と走行距離が飛躍的に増加しており、4月までに自動車両の走行距離は1億キロ以上を記録している。しかも、重大な死亡事故が発生しておらず、アポロが自己負担で提供してきた過去2年間のデータによると、実際の車両のリスク発生率は人間の運転手と比較すると14分の1だったという。同サービスの出現により、武漢市の交通事情は徹底的に書き換えられた。この革命の背後で、これまでのタクシーや有人運転手のネット配車サービスは将来の生計が壊滅的な打撃を受ける恐れもあるほどの厳しい試練に直面している」と伝えた。
記事は次に、蘿蔔快跑と他の配車サービスの比較についてのデータを紹介した。「ある記者が自動運転車両を利用し、6.3キロを13分かけて移動したところ、料金は3元1角1分(約70円)だった。ただし、この値段はプラットフォームのサービス値引きが含まれており、値引きなしの場合は31元1角2分(約690円)になる。これらの料金を基に比較すると、蘿蔔快跑の初乗り運賃は15~16元(約330~350円)で、1キロ当たり2元4角~3元5角(約53~77円)の計算になる。中国最大のオンライン配車プラットフォーム「滴滴」の場合、初乗りは10~12元(約221~266円)、1キロメートルあたり1元7角5分~2元3角(約39~51円)となる。流しのタクシーの場合、初乗りが10~14元(約221~310円)、1キロメートルあたり2元5角~3元5角(約53~77円)となり、運営や維持のコストが高い蘿蔔快跑の方が客単価も高いことが分かる」と伝えた。
続いて記事は、武漢市内でネット配車サービスの運転手を取材し、「ただでさえ運転手が多すぎて、食べていくために稼ぐのが大変だったのに、自動運転車両の配車サービスでプレッシャーが強まるのは間違いないだろう。最低限の収入を維持するためにやむを得ず長時間勤務をする運転手がたくさんいる。中には毎日10時間以上も働いて、車の中で生活する運転手もいる」ほか、「無人の車両が増えれば、かえって渋滞が深刻になるのでは」との回答があった。
記事は最後に「蘿蔔快跑の自動運転車両が武漢市の見慣れた景色となっていく中で、私たちはどうやって人の存在価値や役割を自動運転車両のような技術や機器が主導する業界の中で見出すべきかを考える必要がある。自動運転車両が正確に指定された行き先に停車できても、突発的な事故への対応や乗客の情緒を理解するといった方面では人に及ばない。運転手は観察や対話により、乗客が求めていることや情緒を理解し、ユニークなサービスを提供できる」とした上で、「遠くない将来、自動運転車両の技術がさらに成熟すれば、人々に便利で安全で効率的な外出体験を提供するようになるだろう。タクシーやネット配車サービスの運転手にとって最も賢明な選択は、自らの技能を磨くか、新しい仕事を探すか、自分で1台自動運転車両を所有し、代わりに稼ぎに行ってもらうことのどれかだろう」と論じた。(翻訳・編集/原邦之)
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