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日系企業の中国・蘇州における40年―中国メディア

Record China / 2024年7月19日 8時0分

日系企業の中国・蘇州における40年―中国メディア

中国メディアの毎日経済新聞はこのほど、「日系企業の蘇州における40年」と題する記事を配信した。写真は蘇州。

中国江蘇省蘇州市は多くの日系企業が進出している都市だ。中国メディアの毎日経済新聞はこのほど、「日系企業の蘇州における40年」と題する記事を配信した。

日系企業は「中国最強の地級市」の形成過程に参与

記事はまず、「日本が蘇州に投資してから今年で40年になる」と述べ、日系企業は蘇州が「中国最強の地級市」になるまでの過程に立ち会い、参与してきたと言及。「1980年代、蘇州の域内総生産は200億元足らずだったが、2023年には全国6位の2兆4700億元(約53兆8900億円)に達した」とし、貿易総額については「全国4位の2兆4500億元(約53兆4500億円)で、うち輸出は1兆5100億元(約32兆9400億円)。深セン、上海に次ぐ3位だった」と紹介した。

さらに、蘇州の経済発展プロセスで最も目立つ「ラベル」は「外向型」だと述べて、「昆山エリアと台湾系企業」「太倉エリアとドイツ系企業」「高新技術産業開発区(高新区)と日系企業」というような深い結び付きも生まれたと指摘。データによると、23年末時点で世界トップ500に入る企業のうち175社が蘇州に投資しており、日本は47社と国・地域別で最多だった。また、蘇州高新区に拠点を置く日系企業は768社で、市内全体の日系企業の約4分の1、長江デルタ全体では約8%を占めたという。

日系企業と蘇州の協力、始まりは昆山

記事によると、蘇州市にとって初の中外合弁企業となったのは1984年に設立された中国スワニー有限公司だ。記事は、設立の数カ月前に当時のスワニーの社長、三好鋭郎氏の一行が昆山を訪れたと紹介して、「当時、昆山は蘇州全体の後方に位置する農業県で、域内総生産はわずか2億4200万元だった。開発待ちの農地ではカエルが鳴き声を上げ、道路など立ち遅れたインフラ整備は海外企業を尻込みさせた」と言及。このため、昆山は帳簿にわずかに残った資金を投入して道路整備を急ぎ、最終的には手袋、帽子などからスタートして工業の重鎮への転換を加速することができたのだという。

昆山

記事はまた、「蘇州もこれにより外向型経済の門を開いた」と述べて、とりわけ92年以降に地理的、歴史的強みと企業に寄り添った政策で日系を含む海外企業誘致に成功したと伝え、「日本の『バブル経済』が終わりに近づく中、多くの日本企業は国内の高止まりする経営コストに苦しみ、海外に新たな生産拠点を見つけることを望んだ。一方、蘇州は投資企業に極めて大きい政策支持を提供することを約束した」などと説明した。

記事によると、95年ごろに日本の対中投資は小さなピークを迎え、アジア通貨危機の影響による落ち込みを経て2001、02年に再びピークが現れた。ただ、「中国が01年12月に世界貿易機関(WTO)に加盟する前、多国籍企業の蘇州に対する直接投資の規模は小さめで、技術水準が低い、労働集約型の産業や飲食などのサービス業に偏っていた。『探索の試み』的な進出だ」との見方を示す研究もあるという。

記事は、蘇州高新区への日系企業進出に伴い、同市の日本料理店にも「噴出的増加」が見られたと伝えた。蘇州高新区招商局の担当者は「店の経営者の多くは日本人だが、日本に留学した経験のある中国人もいる」と紹介している。

蘇州の対日貿易は01年に63億4000万ドル(約1兆円)となり、06年には231億2000万ドル(約3兆6600万円)に到達、11年には300億ドル(約4兆7500億円)台に立った。また、01年に日系企業の蘇州における新規プロジェクトは119件に達し、その後3年はいずれも200件以上を維持したという。

蘇州は地理的な位置、人的・文化的環境、日系企業と日本人が多いなどの強みによって、日系企業にとっての重要エリアとなっている。記事によると、日本人の子どもの就学を保障するために設立された蘇州日本人学校(05年4月開校)に蘇州高新区は約2000万元(約4億3600万円)を投じた。同校は江蘇省初の日本人学校だ。

手をつないでも常に「蜜月」とは限らず

記事は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査として、日系企業のこの2年の対中投資・増資意欲は徐々に下降していると説明した。さらに「蘇州について言うと、22年の対日貿易は326億7000万ドル(約5兆1700億円)で、23年はわずか157億ドル(約2兆4800億円)だった」と述べて、「これに対する蘇州のやり方は、さらなる掘り起こしだ」と指摘。新型コロナウイルスの予防・抑制策が調整された後の22年11月、蘇州側はチャーター機で海外企業の誘致に赴き、その最初のステージとして日本を訪れたと伝えた。

この1年余り、蘇州の各地は中小企業の誘致を目的に相次いで訪日プロモーションを実施しているという。

蘇州

記事はまた、「6月に蘇州高新区で三つのプロジェクトが着工した。いずれも長年蘇州で事業展開してきた日系企業の拡張プロジェクトだ。その上、多くの日系企業は意識的にレイアウトの内容を調整している」と述べ、「太陽ホールディングスの生産子会社の太陽油墨(蘇州)有限公司は日本の本部と連絡を重ね、太陽ホールディングスの唯一の海外研究センターを蘇州に建設」と伝えた。

こうした変化を華東師範大学城市発展研究院の曾剛(ズン・ガン)院長は「中国経済の『安価な生産者』から『ハイエンドなサービス提供者』にグレードアップする過程における必然的な発生だ」と見ており、同院長は「日系企業は中国という大規模市場を手放すことはできず、中国企業も日系企業との協力が必要だ」とした上で、バイオ医薬、ハイエンド機器、新素材などの分野で共にさらなる高みを目指し、世界に向けてサービスを提供すべきとの考えを示したという。(翻訳・編集/野谷)

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