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中国の新エネ車事情、成長は鈍化するも運転補助機能の向上に期待

Record China / 2024年7月25日 7時0分

中国の新エネ車事情、成長は鈍化するも運転補助機能の向上に期待

中国では従来型のエンジン車とは異なる駆動方式の新エネルギー車と呼ばれる自動車が普及しつつある。比較的多いのは電気自動車やプラグインハイブリッド車だ。写真は北京モーターショー。

中国では従来型のエンジン車とは異なる駆動方式の新エネルギー車(新エネ車)と呼ばれる自動車が普及しつつある。比較的多いのは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。中国で製造された新エネ車が輸出されたり、中国企業が海外に新エネ車の生産拠点を設けることも増えている。本稿は、上海に拠点を置き市場分析や総合コンサルティングを営む上海嘉世営銷咨詢有限公司(MCR)による「2024年新エネ車市場簡易分析リポート」の主要部分をまとめたものだ。

新エネ車分野は成長続くも伸びは鈍化

2018年以前には新エネ車が主に政策により普及した。2019年以降に補助金政策は大幅に後退したが、車の品質向上と値下げが鮮明になったことで、消費者に改めて受け入れられるようになった。2024年の新エネ車市場も、政府による推進ではなく、市場原理によって主導されている。

一方で、新エネ車の2023年1-11月の生産台数は前年同期比34.5%増の842万6000台で、販売台数は同36.7%増の830万4000台だった。新エネ車はすでにかなり浸透したことで成長は鈍化し、競争が激化する状況が発生している。

中国汽車工業協会(中国自動車工業協会)によると、2023年12月24日時点での中国市場における新エネ乗用車の累計販売台数は708万1000台で、うちEVは478万4000台で、PHEVは229万7000台だった。

新エネ車で高級ブランドの評価獲得

中国の新エネ車の普及には、地域による違いがある。2023年1-6月では北京や上海などの一線都市(中国全国に対する影響力がある大都市)での新エネ車の浸透率が43.7%だったが、地方の小都市である五線都市では浸透率が19.5%だった。

販売価格では、10万-15万元(約220万-330万円)と15万-20万元(約330万-440万円)の価格帯では従来型のエンジン車の比率が60%以上を超えていた。また、高級自動車とされる40万元(約880万円)以上の価格帯でも、エンジン車が60%以上だった。高価格帯でエンジン車の比率が高いのは、国外の高級ブランド車が売れている影響だ。中国の自動車会社は新エネ車を通じてブランドの高級化を推進しつつある。

北京モーターショー

中国の新エネ乗用車は品質が良く、費用対効果が高い。またスマート化も進んでいる。このため、輸出車の多くはミドルエンドやハイエンドに位置付けられている。中国乗用車市場信息聯席会(中国乗用車市場情報連絡会)によると、2023年1-10月に中国から輸出された新エネ車は前年同期比76.8%増で、140万台を超えた。

「百花斉放」の業界も分極化が進行か

2021年には新エネ車の販売台数が飛躍的に増加したため、産業チェーンの一部で供給が需要に追い付かない状況になった。そのため、「価格が上昇し、販売量が増加する」という珍しい現象が発達した。2022年も新エネ車の販売が急増し、産業チェーンによる役割分担の細分化が進み、業界では好況が続いた。

2023年には新エネ車の販売の伸びが鈍化すると同時に、過去2年間の投資と建設による追加生産能力が出現した。このために、産業チェーンの各段階で生産能力が過剰になった。結果として値下げ競争が発生したことで、企業の収益性が悪影響を受けた。

新エネ車関連では、自動車製造分野の「新勢力」が多く登場する現象も発生した。業界はまさに「百花斉放」の状態になった。そのことで需要が刺激される面もあった。しかし今後は、開発力の差により、「勝ち組」と「負け組」の分極化が進む可能性がある。業界における強者はさらに強くなるとみられている。

中国は電池分野で大きな強み

EVにとって最も重要な部品は動力用電池だ。2023年には炭酸リチウム価格が下落したために、リチウムイオン電池も価格が下落した。このことで電池製造企業のコストは改善されたが、原材料の価格下落に伴う在庫評価損が発生し、さらに競争の激化も発生した。しかし業界全体の粗利益率は前年と比べて相対的に安定していた。

北京モーターショー

中国の動力用電池製造企業の競争力の強さは鮮明であり、世界の上位10社のうち中国企業が6社を占めている。全体的に見て、中国の動力用電池製造企業の成長率は海外企業を著しく上回っている。

ファーウェイ参画のモデルに技術面の強み

新エネ車の所有者は、エンジン車と比べて女性が多く、高学歴・高収入で消費者として成熟している特徴がある。新エネ車の所有者のうち女性の割合は29.4%で、エンジン車に比べて1.4ポイント高い。年齢は31-40歳が多く、この世代のエンジン車所有者の割合を6.4ポイント上回る。また、既婚で子供もいる家庭は新エネルギー車を購入する傾向が強い。

中国では、高速道路上でのレベルの高い運転補助システムを実現したメーカーも出現した。自動車メーカー各社は主要車種により高い演算能力を持つチップやその他のスマート運転関連システムの導入を進めている。今後は自動車に搭載されるアルゴリズム機能と、それを支えるハードウェアがより向上していくはずだ。

自動車メーカー各社は全シーン対応化や低コスト化と高度な運転支援を両立させようとしている。また、高度な技術を持つ華為技術(ファーウェイ)が参画する「問界」や「智界」などのモデルは、技術の急速な向上により、短期間で多くの顧客を獲得した。新興の自動車メーカーもこれまで自動運転分野への投資を続けてきたことで、新たな製品で技術力を発揮することができるだろう。

販売方式と消費者の動向と傾向

新エネ車のブランドは、従来型の自動車販売・サービス店の4S店よりも、ショッピングモール内に店舗を開設する傾向がある。ショッピングモール内の店舗は潜在的な顧客の注意を引きやすく、潜在的な購入者は、買い物や食事をしている際に、受動的にでも新車の情報を得るからだ。ショッピングモール内の店舗は新エネ車の購入を促進する重要な要因となっている。

北京モーターショー

新エネ車の購入希望者は、一括支払いの場合の優遇、金融面での良い選択肢の多さ、アフターサービス、充電や電池交換、保険なども考慮する。特にアフターサービスは、サービス提供者による水準の違いが購入者に困惑をもたらすことがある。新エネ車についてアフターサービスを規範化して管理することは、購入者に満足感をもたらすことに直結する。

また、新エネ車の中古車市場での取引数も増加しつつある。政府も中古新エネ車に関連する規則を打ち出している。原油価格の上昇予測も中古新エネ車市場を後押ししている。(翻訳・編集/如月隼人)

■上海嘉世営銷咨詢有限公司(MCR)

1998年に張吉祥氏が設立。日本企業に専門的で質の高い市場調査サービスを提供している。主な業務内容は業界・企業研究、消費者調査、経営戦略コンサルティング、データ・情報サービス。

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