中国の個人消費低迷、政府の刺激策に反応せず、債務返済・資産運用を優先―海外メディア
Record China / 2024年7月26日 11時0分
![中国の個人消費低迷、政府の刺激策に反応せず、債務返済・資産運用を優先―海外メディア](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/recordchina/recordchina_RC_937642_0-small.jpg)
中国では家計の預金残高の伸びが鈍化し銀行が金利を引き下げているにもかかわらず、個人消費は政府の刺激策に反応していない。海外メディアは「債務の返済や資産運用を優先」と報じた。写真は北京。
中国では家計の預金残高の伸びが鈍化し銀行が金利を引き下げているにもかかわらず、個人消費は政府の刺激策に反応していない。ロイター通信は「リスクを回避し債務の返済や資産運用を優先していることがうかがえる」と報道。アナリストは「政府の消費刺激策が十分な効果を上げていない」との見方を示した。
ロイター通信が紹介した中国人民銀行(中央銀行)のデータによると、家計の新規預金は6月に2兆1400億元(約47兆円)増えるなど上半期に9兆2700億元増加したが、前年比では22%減少した。6月の家計の人民元建て預金残高は前年比10.6%増加したが、少なくとも過去3年間で最低に近い水準にとどまった。
6月の小売売上高は前年同月比2%増と予想を下回り、1年半ぶりの低い伸びとなった。デフレ圧力により企業が値下げを余儀なくされたためだ。OCBC銀行の中国圏調査部門責任者トミー・シー氏は「貯蓄の伸びは鈍化しているが、消費の増加にはつながっていない」とし、「これは家計がローンを早期に返済して負債を減らし、預金を資産運用商品に振り向けていることと関係しているかもしれない」と分析した。
預金金利の引き下げは消費と借り入れの促進が狙いだが、家計や企業は貯蓄を資産運用に回し、資産運用会社は資金を債券に振り向けている。アナリストによると、不動産価格の下落や雇用不安、高債務などが重なり、家計が慎重姿勢を強めていることが個人消費低迷の背景にある。
中国の今年の第2・四半期の成長率は4.7%と予想を下回り、第1・四半期の5.3%から鈍化した。預金の伸びの鈍化は銀行融資とほぼ一致しており、先ごろ発表された6月の融資残高は需要が再び低迷していることを示している。
6月末の家計の人民元預金は過去最高の146兆3000億元。家計、企業、政府の預金を合わせた6月の人民元預金総額は295兆7000億元に達し、中国本土の株式市場の時価総額73兆元や国内総生産(GDP)の126兆元を大きく上回った.
ロイター通信は「中国の預金残高は長期的には依然として成長の原動力となり得る」としながらも、「対外貿易が抑制される中、過剰生産能力のリスクを踏まえると、政府は消費者への支援を強化すべきとの声が聞かれる」と言及した。
メイバンク(マレーシア最大の銀行)のアナリストは「政策当局は一時的な刺激策ではなく、消費者のリスク回避行動の根本原因に対処し、消費を促す必要がある」と指摘。「そのためには長期にわたる不動産市場の低迷、不安定な雇用市場、不十分な社会保障、債務負担の増加といった根本的な問題を解決するための構造的な措置が求められる」と提言した。(編集/日向)
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