「中国の今」をしっかりと知ることのできる良質の「合作情報番組」に出会えた
Record China / 2024年8月2日 11時30分
![「中国の今」をしっかりと知ることのできる良質の「合作情報番組」に出会えた](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/recordchina/recordchina_RC_937934_0-small.jpg)
BSよしもとで放送された『巡って発見!ぶらり中国周遊紀』を視聴した。「これは良い番組に出会えた」と思った。
7月28日にBSよしもとで放送された『巡って発見!ぶらり中国周遊紀』(シーズン2)の第1回を視聴した。「これは良い番組に出会えた」と思った。同番組シリーズは吉本興業と中国中央広播電視総台(CMG)の共同制作で、毎週日曜午前9時からBSよしもと(BS265ch)で放送される。BSよしもとのホームページを通じてのスマートフォンやパソコンでの視聴も可能だ。
中国を紹介する番組は多いが、時に「あれも伝えよう、これも伝えよう」と力が入りすぎて、見終わった後の印象がかえって希薄になったと感じる番組もある。例えばこの番組のロケ地である雲南省の場合ならば、中国最南部という独特な風土、それぞれが独自の文化を持つ少数民族の種類が中国でも最も多いこと、三国志演義にも関係する土地であること、数ある中国茶の中でも有名なプーアル茶の産地などなど、日本人が興味を持ちそうな情報が極めて多い。しかし、それらを「できるだけ盛り込もう」と意気込みすぎたのでは、番組としてかえって散漫になってしまう場合があるのではないか。
ただし、『巡って発見!ぶらり中国周遊紀』は違っていた。いくつかの回に分けて放送するので余裕があるのかもしれないが、シーズン2の第1回では省都昆明市内の「花事情」に焦点を絞って、商業施設や産業の新事情、地元の花文化などを深掘りしていた。中国事情に詳しい人ならば、昆明では花卉(かき)産業が急成長してきたことはご存じかもしれないが、ここまで詳しく見聞きした人はあまりいないのではないだろうか。このシリーズでは今後も毎回、「地に足がついた中国現地情報」を紹介してくれるだろうと、期待できる。
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この番組シリーズの中国側政策担当のCMGとは、中国を代表する公共メディアである中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)、中国国際電視台(CGTN)、中央人民広播電台(CNR)、中国国際広播電台(CRI)が2018年に合併してできた組織で、まさに中国最大の電波・ネットメディアだ。CMGならば中国国内に巨大な取材ネットワークがあるし、外国人向けに中国事情を紹介してきた経験も豊富だ。つまり、日本人向けに「中国の今」を紹介する中国側の組織としてうってつけだ。
ただ、実のところを言えば、番組を見る前には日本側の制作担当が吉本興業であることが、ちょっと気になった。言わずと知れた「お笑い」で知られる大手芸能会社だからだ。「とにかく中国の今を知りたい」と思って見始めた番組で「お笑い」の要素が過剰だったら、興ざめするかもしれない。しかし結論を言えば、番組が始まってすぐに、全くの杞憂だったと分かった。日本人出演者は吉本興業の所属で、お笑い番組には詳しくない私でも、出演したテレビ番組で大笑いを取っていた記憶のある顔もあった。しかしこの『巡って発見!ぶらり中国周遊紀』では、場を盛り上げはするが、視聴者を「中国の世界にいざなう役割」に徹している。中国の「新事実」を知った時の驚きもわざとらしくはなく自然だ。番組を見ていて、気の合う仲間と時にわいわい騒ぎながらも、自分が知らなかった中国情報をじっくり吸収しているような感覚になった。
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最後にこの番組に好感を持てたもう一つの理由をご紹介しよう。現地情報を紹介してくれる中国人キャスターのイーカンさんの日本語が素晴らしいのだ。「日本人と話し方が少し違うな」とは感じるが、発音の癖などを強く感じることはない。恐らくは、中国人の中でもトップクラスの日本語の使い手なのだろう。私はかつて中国文化を日本人に紹介するイベントの仕事をしていた時期があるが、中国人が登壇した場合に、日本語を相当上手に話していても、日本人とは異なる抑揚の話し方が続くなどでお客さんが疲れてしまうことがよくあった。外国語である日本語を懸命に操る中国人の皆さんには申し訳ないが、「大衆」に向けて話しかけるのは、一対一の会話よりもはるかに難しいものだ。イーカンさんの日本語力は、そういった問題をしっかりとクリアしていた。
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このように、『巡って発見!ぶらり中国周遊紀』(シーズン2)は、情報の絞り込みから伝え方、スタジオ内の演出、出演者の登用に至るまで、しっかりと考え抜かれていると感じた。中国側のCMGは、自国内にどのような情報があり、どのように映像化できるかを熟知しているはずだし、吉本興業は日本人視聴者が何をどのように知りたがっているかを熟知している。そして出演者は、自分がこの番組で何を求められているかを、しっかりと理解している。そのような組織と組織、人と人との「日中合作」がピタリと決まって、中国情報の良質な紹介番組を楽しめることになった。
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