中国の新エネ車シェアが初の50%突破も純EVへの疑問からPHEVが現実的選択に
Record China / 2024年8月26日 18時0分
第二に、新エネルギー車はスマート化が進み、多くの光学装置や精密部品が組み込まれているため、事故が発生すると修理コストが高額になる。テスラのような一体成型ダイキャストボディもそうだ。そのため、保険会社は高額の保険料を設定しても利益は出ていないと主張する。
純EVの維持コスト
保険料が高額なら、燃料代など維持費の安さでカバーするしかない。あるメディアの試算によると、次のようになる。内燃エンジン車の燃費を100km当たり8リットル、つまり1リッター当たり12.5キロ、ガソリン代はリッター当たり8元(約160円)とする。一方、純EVは100km当たり15kwh、充電料金は充電当たり1.2元(約24円)とする。この仮定で比較すると、ガソリン車のキロ当たりコストは0.64元(約12.8円)、純EVのコストは0.18元(約3.6円)となる。他の要素を考慮せず、年間走行距離が3700kmなら、保険料はカバーできる。
他の要素を考慮すればどうなのだろうか。純EVはトルクが強く、車重が重い。そのため専用タイヤを履いていても摩耗が早く、タイヤ交換コストは高い。現状では純EVには8年保障が義務付けられているため、メーカーが義務を果たせば、バッテリー交換コストは許容範囲に収まるだろう。すると、一般に走行距離が年間1万km以上ならコストカットできる計算になる。
新エネルギー車の中古価格
商品価値の下落も問題だ。中国汽車流通協会のレポート「2024年7月中国汽車保値率研究報告」によると、3年落ちの価格維持率、つまり中古車価格は全面安となっている。小型車、中型車、大型車、コンパクトSUV、中大型SUV、MPVのどのカテゴリーをとっても前月比で微減となった。
高級車で価格維持率が高いのは、ポルシェ71.3%、レクサス58.4%、アウディ56%だ。合弁ブランドは日系が強く、トヨタが60%、ホンダが55.7%、日産が53.1%。外資系で上昇したのはレクサスとアウディのみで、他は全て下降した。
中国車では、広汽集団の「トランプチ(傳祺)」が61.6%と高いが、吉利は55%、奇瑞は52.6%、BYDは50.7%で、やはり全ブランド下降した。
新エネルギー車はさらに低く、大きな問題だ。PHEVは47.9%、純EVは48.5%。比較的維持率が高いのはModel X 、Medel Yなどのテスラ車で、国内ブランド車はみな厳しい。
PHEVがベストの選択
商品価値の棄損に追い打ちをかけているのが厳しい価格戦だ。今年は春節前からテーブルをひっくり返すようなセール合戦が始まった。BYD「秦」シリーズの最新バージョンはPHEVも純EVもおしなべて前バージョンより2万元(約40万円)も安くなっている。その上、最新型には豊富なカラーバリエーションや数々の最新スマート機能が付加されている。セールの影響で中古価格はさらに下落し、旧車オーナーはBYDに背中を刺されているという他ない。
こうした環境でユーザーは純EVを積極的に購入するだろうか。地方都市では充電インフラも未整備だ。そこで、従来の給油インフラを使いながら新エネルギー車扱いを受けるPHEVに人気が集まっている。今や新エネルギー車の4割を占め、そのシェアは連続して上昇している。中国でもPHEVこそ現実的選択となっているのだ。
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