地方の財政難に影響か?憶測を呼ぶ中国の「不動産年金」―シンガポールメディア
Record China / 2024年8月29日 5時0分
26日、シンガポール華字メディアの聯合早報は、中国政府が導入検討中の「不動産年金」がさまざまな憶測を呼んでいることを伝えた。写真は浙江省義烏市の不動産。
2024年8月26日、シンガポール華字メディアの聯合早報は、中国政府が23日の記者会見で言及した導入検討中の「不動産年金」について、「形を変えた不動産税ではないか」などの憶測を呼んでいることを伝えた。
記事は初めに、23日の中国住宅・都市農村建設部(中国住建部)の董建国(ドン・ジエングオ)副部長(次官)の会見内容について紹介した。「董副部長は上海市を含む22都市で、不動産定期検査、不動産年金、不動産保険制度の設立試行など、長期的な不動産の安全管理機構の構築を検討していると発表した。そのうち、最も注目を集めたのは不動産年金で、『形を変えた不動産税ではないか』や『購入時に修繕積立金(専項維修金)を払っているのに、年金まで重複して徴収するのか』などの指摘があった」と伝えた。
記事によると、これらの指摘に対し、中国住建部は26日に公式メディアの雑誌「建築」のコラムを通じて、「不動産年金制度は大きく誤解されている。同制度試行の目的は政府の公共口座を開設することにある。国民からさらにお金を取るわけではない」と回答したという。その他にも記事は、当局が国民の財産と生命の安全を最大限維持する方策の必要性を考慮していることや、22年に起きた湖南省長沙市のビル倒壊事故の後から不動産年金制度の検討を開始し、修繕資金の財源問題を解決しようと考えていることを伝えた。
一方で、「雑誌『建築』のコラムは不動産年金制度の背景については詳述しているが、民衆が一番関心を寄せている公共口座の資金源について正面から説明していない。25日付の同誌のコラムにある上海市不動産科学研究院の厳栄(イエン・ロン)院長の談話によると、資金源は主に土地使用譲渡金や老旧小区改造資金などを財源にするというが、土地売却の収入が減少し、財政苦にあえぐ地方政府が十分な資金を確保したり、公共口座を維持できるかは不透明だ。財政部が26日に公開した財政収支データによると、今年7月までの国有地使用譲渡金の収入は前年同期比22.3%減を記録し、上半期までの18.3%減から拡大しているという」と指摘した。
記事は最後に、上海易居不動産研究院シンクタンクセンターの厳躍進(イエン・ユエジン)副院長を取材し、「地方政府は当面の間、公共口座の預金を充足させるため、まずは少しずつ手続きにのっとって公共口座の確立と資金投入を持続していく必要がある。持続的かつ循環的な口座管理のロジックが必要だ。その次に地方政府は小規模な区域の安全性や価値上昇の角度から社会資金を獲得していく必要がある。地方政府も困難の度合いやリスクが高い区域から試行や改革を進めるように要求し、『財政援助+市場化』の筋道を探すことができる」と回答があったことを紹介し、「厳氏は『不動産が安全で、グレードアップできれば、不動産の価値も自然に強化される』として、不動産年金制度が不動産価値の上昇にポジティブな作用があると考えているようだ」と伝えた。(翻訳・編集/原邦之)
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