南シナ海でフィリピンの補給任務護衛も、米インド太平洋軍司令官が言及、中国けん制?
Record China / 2024年8月30日 16時0分
南シナ海で補給活動などをめぐり、中国とフィリピンの小競り合いが続く中、米インド太平洋軍司令官は比国船を米国船が護衛する可能性に言及。中国けん制が狙いとみられる。写真はフィリピン国旗。
南シナ海で補給活動などをめぐり、中国とフィリピンの小競り合いが続く中、米インド太平洋軍のパパロ司令官は8月27日、補給任務に当たる比国船を米国船が護衛する可能性があると述べた。ロイター通信が伝えた。中国側をけん制する狙いとみられる。
ロイター通信によると、パパロ司令官は米インド太平洋軍司令部主催の軍事フォーラムの合間に記者団からの質問に答える形で「米比相互防衛条約の下、一方の船を他方の船に護衛させることは全く合理的な選択肢だ」と指摘。護衛任務に当たる可能性のある船の詳細には触れなかった。同司令官は「米比両国間の協議が必要」とも付け加えた。
一方、フィリピン軍のブラウナー参謀総長は記者団に対し、自国のみで補給任務を遂行したいとしつつ、「制約を受けるようであれば代替案を模索する可能性がある」と言明。「米国とだけでなく、志を同じくする他の国々とも協力するかもしれない」と語った。
フィリピン軍が老朽艦を座礁させて拠点にしてきた南沙(英語名・スプラトリー)諸島アユンギン(中国名・仁愛)礁では7月、中国と緊張緩和の暫定合意を結び補給が実現した。これに代わり8月になって、フィリピンのパラワン島に近いサビナ(中国名・仙賓)礁の周辺海域で紛争が激化している。
比国家安全保障会議は25日、サビナ礁の周辺海域で漁船に食料や燃料を補給する活動に当たる漁業水産資源局の船が中国海軍や海警局の船に囲まれて活動を妨害されたと発表した。
比当局が公開した映像には中国海警局の船のへさきとフィリピン船の船体がぶつかる様子や、海警局の船から放水を受ける様子が映し出されていた。国家安全保障会議は声明で船のエンジンが損傷したとして、「攻撃的で違法な行動が乗員の安全を深刻な危険にさらした」と中国側を非難。その上で、現場が自国の排他的経済水域(EEZ)の内側だとして、挑発的な行動をやめるよう中国政府に求めた。
これに対し、中国海警局は「不法侵入」した比側の船を取り締まった際に衝突が起きたと発表。報道官談話で「比国船が故意に衝突してきた。責任は完全に比側にある」と反発した。
フィリピン沿岸警備隊は26日、サビナ礁に向け中型巡視船2隻を派遣したが、中国海警局の船6隻、中国軍艦3隻に包囲・接近される妨害を受け、同礁に長期停泊する日本供与の大型巡視船への補給任務を断念。同礁の約45キロ手前で引き返した。
南シナ海ではスカボロー礁(中国名・黄岩島)空域で8日と19日に中国軍機が比航空機の至近距離に火炎弾「フレア」を発射。中国が実効支配するスービ(中国名・渚碧)礁付近でも22日に比航空機に対するフレアの使用が確認されており、中国は海空双方で威嚇行為を強めている。(編集/日向)
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