平壌を知らない子どもたち、ようやく訪朝への門が開く
Record China / 2024年9月23日 21時10分
「来年ぐらいには北岡さんも訪問できそうですね。よかったですね」とその朝鮮学校関係者はわがことのように喜んでくれた。
私のように取材や仕事、訪朝団の引率で北朝鮮を訪問する者や朝鮮旅行を趣味とする日本人にとって朗報なのは間違いないが、それ以上に在日コリアン社会にとって朗報といえる。公演の日に同じ話をさまざまな人から聞いたが、みんな声が弾んでいた。
そもそも在日コリアンにとっては北朝鮮に行くのは訪問ではなく、祖国への帰国だ。学生は研修に加え、祖国の人と交流することによって愛国心を高め、アイデンティティーを確認する機会となる。また、コロナで国境が封鎖されていた間、家族と連絡は取れていても、長く会えていなかった人も多い。
「帰国した(北)朝鮮の親族ともう5年近く会えていない。みんな歳をとっているから心配。親族が亡くなったが、葬儀に駆け付けることも墓参りもできないと悲しんでいる在日コリアンはたくさんいる」という60代女性の切実な声も聞いた。
一方で、4月に北朝鮮でチュチェ思想国際研究所と朝鮮社会科学者協会が共催する「チュチェ思想国際討論会」が行われ、チュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長が訪朝した。また、ロシアの観光客がすでにツアーで北朝鮮を訪れている。
このことに触れ、「ロシア人よりもまずわれわれ在日同胞が先ではないのか」という声を60代男性から聞いた。「祖国がどのように優先度、順序を考え決めているのか分からない」とその男性は言うが、総じて今回の朝鮮大学校の生徒の訪朝が大きなきっかけになるという声が多い。
円安と燃料サーチャージの値上がりの影響から、訪朝するための費用はコロナ前より約10万円増えるのではという声もある。だがさまざまな情報から、ようやく訪朝の門が開く予感を感じている。
「北岡さん、平壌で会いましょう!平壌のカラオケバーに一緒に行きましょう」と言う在日コリアンの友人の声はやや興奮し過ぎか。私も最後の訪朝から約8年たち、現地の何を見るべきか机上のプランニングをウキウキしながら進めている。
【追記】
訪朝していた朝鮮大学校生が21日に帰国した。同時期に朝鮮総連関係者も訪朝し、帰国している。対韓国への方針をはじめ、今後の訪朝の流れに関しても研修と共に示された可能性が高く、今後共有されていくことが予想される。
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