日本人男児殺害事件は日系企業の中国撤退を加速させるのか―シンガポールメディア
Record China / 2024年9月24日 13時0分
20日、シンガポールの華字メディアである聯合早報は、日本人男子児童殺害による在中国日系企業の動向への影響を考察する記事を掲載した。写真は深セン。
2024年9月20日、シンガポールの華字メディアである聯合早報は「深セン市での日本人男子児童の殺人事件により在中国日系企業の撤退が加速?」と題した論評記事を掲載した。
18日に深セン日本人学校に通う10歳の日本人男子児童が通学途中に44歳の中国人の男に刃物で襲われ、翌19日未明に死亡した。同記事は「日中関係が緊張している中で、今回の事件は中国在住日本人の安全面での不安を高めた。在中国日系企業の中国への信頼を揺るがし、投資意欲に影響を与える可能性がある」とした上で、「日系企業の中国市場からの撤退が加速するかもしれない」と指摘した。
同記事は、「外資系企業による直接投資(FDI)が減少し、中国が外資誘致に苦戦している中で、今回の殺人事件は中国の国際的なイメージに悪影響を与える」とした。そして、中国当局がこの事件を個別の事案と捉え、日中関係に影響を与えるものではないと慎重な姿勢を見せていることについて、「中国が外国企業を歓迎する姿勢を示しているとは言い難い。これにより、外資誘致の取り組みがさらに困難になる恐れがある」と論じた。
さらに、この事件が発生した当初、中国メディアが沈黙を守ったことや、翌日になってようやく中国外交部の林剣(リン・ジエン)報道官が「今回の事件は個別の事案である。政府は犯罪者を処罰し、すべての外国人の安全を引き続き守る」と発表した中国政府の対応を紹介した上で、「日本メディアはこの対応に疑問を呈している。中国政府が情報統制を優先していることが日本側の不信感をさらに深める可能性がある」と指摘した。
また、同記事では日本政府や日本の報道機関、日本企業の反応にも言及されており、事件後に深セン市を訪れた金杉憲治駐中国大使が被害者家族と面会した際、「日本経済界の危機意識がさらに高まった」と発言したことを報じた日本経済新聞や、「このような事件が相次ぐことで、日中間の交流や日系企業の投資活動に影響を与える可能性がある」と報道した共同通信が例として挙げられている。他にも、日本企業の動きとして、パナソニックが中国本土に派遣されている日本人社員とその家族に一時帰国を許可し、その費用を会社が負担することを発表したことや、トヨタやソニーなどの大企業も警戒を強めるよう社員に通知していることも併せて報じられた。
最後に、同記事は「中国の経済回復が不安定な中、在中国日系企業の撤退が進んでいる」「中国の反スパイ法改正、日本企業の幹部の逮捕の影響もあり、日系企業は中国投資に対して慎重になっている」と指摘。「このような状況下で、今回の事件が日系企業の中国市場からの撤退を加速させるかどうかは不透明だが、少なくとも中国経済の回復にとっては大きな妨げになると見られる」と結んだ。(編集・翻訳/奈良)
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