相次ぐ日本人襲撃事件、中国社会は民族主義の熱狂に「NO」と言うべき―香港メディア
Record China / 2024年9月26日 7時0分
香港メディアの香港01は25日、中国社会は民族主義の熱狂現象に大声で「NO」と言うべきとする評論記事を掲載した。
香港メディアの香港01は25日、中国社会は民族主義の熱狂現象に大声で「NO」と言うべきとする評論記事を掲載した。
記事は、6月に蘇州、9月に深センと、日本人が襲撃される事件が相次いでいることに言及し、「容疑者はいずれも無職であり、彼らの犯行が社会への報復を目的としたものなのか、反日憎悪によるものなのかを示す証拠は何もない。だからこそ、事件の真相を明らかにすることが極めて重要である」と述べた。
そして、「より大きな次元で見ると、多くの人が懸念する民族主義の極端な方向への流れは軽視できない問題であり、中国において未然に防止しなければならないリスクだ」と指摘。「合理的な範囲を超えた民族主義は国や地域間の紛争の原因になり、それぞれの社会、ひいては世界に深刻な災難をもたらす」とした。
その上で、「かつて閉鎖的で保守的だった中国社会は改革開放後、平和と発展を目指し、米国や日本など周辺諸国との関係を改善してきた。また、中国は人類運命共同体の理念を提唱しており、これは偏狭で排外的な民族主義が世界の潮流に合致しないだけでなく、中国がこれまで歩んできた路線からも乖離することを示している」と論じた。
記事は、「天下に忌諱多くして、民いよいよ貧し(禁令が多いと民衆はますます貧しくなる)」という古語を例に挙げ、「改革開放によって束縛から解放され、国は成長してきた。中国が今後さらに成長し、現代化を実現したいならば、これをさらに推進し、多元的で包容的で開放的な社会環境をつくらなければならない」と指摘した。
一方で、「近年は排外的な民族主義が中国社会を分断する現象が起きており、多くの人が民族主義と愛国主義への理解を極端な方向へと追い込み、ネット上ではデマや捏造、悪意を持って他者を攻撃する内容があふれ、また、ある人々はチャンスとばかりにトラフィックを得るために民族の憎しみをあおり、悪影響を及ぼしている」と断じた。
そして、中国では近年、着物に似ている服を着ていただけでとがめられたり、非難されたりする事例や、中国と通常の交流を行おうとした台湾や香港の人々の発言が悪意ある解釈をされ通報されるような事例が起きていると紹介。「このようなことが頻発すれば、中国の発展を推進したい人たちを落胆させ、改革開放以来、中国が苦労して築き上げてきたイメージを破壊することになる」と述べた。
記事は、2022年6月に中国対外連絡部の于洪君(ユー・ホンジュン)副部長が、米国との対話自体を批判する声があることについて「愛国を掲げた急進的な民粋主義、極端な民族主義の熱狂に警戒しなければならない」「われわれの対外関係は解釈の単純化や曲解は許されず、過激で非理性的な民意に縛られてはならない」と述べたことを紹介した上で、「蘇州や深センの事件が偶発的であるかどうかにかかわらず、中国社会は民族主義の熱狂現象に大きな声で『NO』と言わなければならず、積極的な活動を通じて極端な風潮を抑制しなければならない」と論じた。(翻訳・編集/北田)
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