中国でイノシシ被害が深刻化、各地で狩猟に賞金導入などの動きも―中国メディア
Record China / 2024年9月29日 17時0分
すでに、賞金により生計を立てようとする人も出ている。その一人である、寧夏回族自治区の住人であるMさんによると、同自治区内だけでなく、新疆ウイグル自治区から招かれてイノシシ駆除を行ったことがある。Mさんは3人のチームでイノシシ狩りを行い、ドローンや赤外線カメラ、猟犬10匹以上も利用する。現地入りして、住人からイノシシ出現の通報を受けてから具体的な行動を開始するという。
Mさんによると、イノシシは狂暴であるために、猟犬が被害を受ける場合も多い。年間では300-400頭のイノシシを狩っているが、猟犬は10匹以上が犠牲になるという。猟犬の価格は1匹当たり1-10万元(約20万-200万円)で、イノシシに反撃されて猟犬が死ねば、Mさんの損失になる。Mさんは、イノシシを狩って賞金を得てはいるが、「金持ちになるのは難しいですね」と語った。
中国各地では、イノシシの狩猟を奨励するだけでなく、イノシシによる農作物の被害や人の負傷を保険の対象にする取り組みも行われている。
広東省科学院動物研究所研究員である中国動物学会の胡慧建理事は、イノシシの被害の問題が深刻化した原因について「現在の(中国の)生態系の中ではイノシシを抑えるトラやヒョウ、クマなどが少なくなっています。加えて、イノシシは環境に耐える力が強く、繁殖能力も高いために、急増してきたのが現状です」と説明した。
胡理事は、イノシシの抑制について狩猟だけを頼りにすべきではないとも主張している。イノシシ狩りに必要な多額の費用の負担も問題と指摘して、イノシシが農作物を荒らさない技術を確立すべきであり、音や映像、匂いなどを組み合わせてイノシシを恐れさせる方法を確立して、一度怯えたイノシシが「半年は来る気にならない」ような状況を作るべきという。
胡理事はさらに、中国以外でもイノシシ対策は難しい問題になっていると説明。欧州諸国は都市部にイノシシが出現する場合があり、イノシシの不妊手術、追い払い、捕殺などで対応してきたが、依然として大きな問題であり続けているという。(翻訳・編集/如月隼人)
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