中国人の入院率は日本を超える21.4%、なぜ世界でまれなレベルに?―中国メディア
Record China / 2024年10月20日 9時0分
中国の著名経済評論家で、日本の温水洗浄便座の爆買いブームの火付け役でもある呉暁波氏が、「中国人の入院率はなぜ世界でまれなレベルなのか」とする記事を発表した。写真は江蘇省南京市の江蘇省人民医院。
中国の著名経済評論家で、日本の温水洗浄便座の爆買いブームの火付け役でもある呉暁波(ウー・シャオボー)氏がこのほど、「中国人の入院率はなぜ世界でまれなレベルなのか」とする記事を発表した。
記事によると、中国の高齢化レベルは日本や米国、英国、イタリア、韓国を下回るが、2023年の入院率はこれらの国より高い21.4%だった。20年前は4.7%だったといい、記事は「急上昇した理由についてネット上には三つの説がある」として以下の説を紹介した。
一つ目は「退職した一部幹部が自身の特権を使って病院のベッドや設備を長期間占有している」というものだが、記事は「退職幹部が占める割合は小さく、彼らの行動で全体の状況を変えることはできない」と指摘。二つ目の説は「高齢化が進んで中国人の体も弱くなり、入院を必要とする患者が増えた」だが、これについても記事は「成立は難しい」とした。20年の「国民体質測定基準」の「合格およびそれ以上」の人の割合は90.4%と、14年比で0.8ポイント上昇したことが根拠という。
そして、記事が「大勢の人の賛同を得ている」として三つ目に記したのが「入院による払い戻しは外来によるものよりはるかに高額。大勢の患者が積極的に入院を申請する」という説だ。
陝西省西安市の在職者を例に取ると、大規模病院の場合、外来の払い戻しの割合は50%、上限は2000元(約4万2000円)だが、入院は88%を下回らず上限は40万元(約840万円)といい、記事は「入院は自然と(患者側の)第一の候補になる」と述べるとともに「患者のチャンスを狙うやり方には病院側の協力が欠かせない」と指摘した。
記事によると、19年以前は医療保険部門と医療機関の間で項目ごとに費用を支払う方式が採用され、医療機関にとっては何らかの項目を行うたびに収入が増える仕組みになっていた。当時は多くの病院が収入増のために、患者がより多くの検査や手術を受けて、より多くの薬を服用するよう誘導。入院は患者の病院滞在時間を増やすのに最適の方法とされたため、03年から19年まで入院率は上昇していった。
その後、中国国家医療保障局が医療保険基金の支払い方式の改革を進め、DRG管理を導入したことで「過剰な検査や手術、薬の処方」は病院が損をするだけになったが、支払い方式の改革は新たな問題ももたらしたという。
その例として記事は「精算による数回分の収入を得るために、1人の患者を何回かに分けて入院させる『分解入院』」などを挙げ、「入院率を上げるために犯罪の道に進む病院すら存在する。重慶市だけ見ても、今年は保険金詐欺の疑いがある病院が50余り見つかっている」と説明。記事はまた、「23年の職工医療保険基金の収入の伸び率は支出の伸び率を下回った」とし、「不合理な入院率と過剰な医療の問題は最終的に政府、病院、保険契約者、患者により多くの圧力をもたらす」と論じた。(翻訳・編集/野谷)
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