日本人児童刺殺やスーパー襲撃、中国で凶悪事件が多発する社会的背景とは―シンガポールメディア
Record China / 2024年11月1日 7時0分
30日、シンガポールメディア・聯合早報は中国で凶悪な襲撃事件が頻発する社会的な背景について論じた。写真は江蘇省蘇州市の警察。
2024年10月30日、シンガポールメディア・聯合早報は中国で凶悪な襲撃事件が頻発する社会的な背景について論じた。
記事は、北京市海淀区の路上で28日午後、未成年3人を含む通行人5人が刃物で襲われ負傷したと紹介。犯人は50歳の男でその場で制圧されたが動機は分かっておらず、負傷者は命に別状はないものの具体的なけがの状況は伝えられていないとした。
そして、警察による発表後に事件の詳細がネット上で拡散し、現場が中関村第三小学校北校舎の門外であること、負傷した3人の未成年者が全員下校途中の児童だったことを紹介するとともに、ネット上に掲載された動画や写真はショッキングなもので、血まみれの現場でかばんを背負ったまま地面に横たわる児童や、子どもを膝の上に抱きかかえて泣く親の姿が見られたと伝えた。
その上で、凶悪犯罪の発生率が低いとされる中国で今年に入って各地で凶悪事件が多発していると指摘。今回の事件を含め、5月以降ですでに小学校付近での襲撃事件が5件も起きており、5月20日には江西省で小学校に女が押し入りナイフで2人を刺殺し、10人を負傷させたほか、6月に江蘇省蘇州市、9月には広東省深セン市でそれぞれ日本人学校の児童を襲撃する事件が発生し、日中間の外交問題にまで発展したと伝えた。さらに、今月初めには広東省広州市の小学校前でも60歳の男が小学生2人を含む通行人3人を切りつけたと紹介した。
このほか、上海市では10月1日の国慶節連休前に、給料が上がらず生活が苦しいことに対する社会への報復として37歳の男がスーパーマーケットで市民を次々とナイフで切りつけ、3人が死亡、15人が負傷する事件を起こしたとし、同市では6月に起きた地下鉄での傷害事件に続き4カ月足らずのうちに2件の凶悪な襲撃事件が起きたと伝えた。
記事は、凶悪事件の背後に何らかの共通点が存在すると判断することは難しいとした上で、「個人的な境遇がいかに苦しくても、人生や仕事がうまくいかなくても、社会的な不公平、不条理に遭遇しても、罪のない人々の命を犠牲にして自分の正義を求めるべきではないし、個人的な不満を爆発させるために無差別な暴力を用いる社会的報復は強く非難されるべきだ」と指摘した。
そして、中国で昨年「投資の失敗、生活での失意、関係の調和喪失、心理バランス喪失、精神失調」を指す言葉として議論を呼んだ「五失人員」という言葉が最近になって再び注目されていると紹介。経済の問題は必然的に社会に影響を及ぼすものであり、経済成長率が鈍化してパイを増やせなくなれば階級や格差の問題が顕著になり、社会の心理が複雑化して一部の人が恨みを抱き、罪のない人々が憂さ晴らしの対象になってしまうとした上で、「問題解決の根源は、経済のパイをより大きくし、底辺の弱者層の活路を増やすことだ」と論じた。(編集・翻訳/川尻)
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