「地下代理出産実験室」を産んだ、中国のグレーな代理出産事情―シンガポールメディア
Record China / 2024年11月5日 7時0分
シンガポールメディア・聯合早報は中国で横行している代理出産問題について紹介する記事を掲載した。
2024年11月4日、シンガポールメディア・聯合早報はこのほど、中国で横行している代理出産問題について紹介する記事を掲載した。
記事は、有名な反人身売買ボランティアと河南テレビ局が8月下旬、山東省青島市にある地下代理出産実験室を暴いたと紹介。建物の地下にある実験室は800平方メートル以上の面積を有し、採卵、胚移植、胚の培養などの医療設備が完備され、正規の病院に匹敵する設備の充実ぶりだったとしたほか、採卵や胚移植のほかにも他の代理出産業者の出産業務も請け負っていたと伝えた。
また、女性の顔立ちや健康状態によって卵子が高級品と廉価品に分けられて販売されていたこと、代理出産費用は75万元(約1600万円)で、性別のスクリーニングには20万元(約430万円)の追加料金がかかること、採卵や胚移植を実際に行っていたのが青島市で最高規格の公立病院に勤務する副主任医師だったことが分かったと紹介した。
そして、報道後に青島市衛生委員会が直ちに公安、市場監督などの部門と合同調査チームを結成し、10月30日に調査結果を発表して地下実験室の責任者を逮捕したほか、代理出産に関与した疑いのある他の5人の医師、看護師に対しそれぞれ免許はく奪などの処分を下したことを伝えた。
その上で、中国では1990年代に最初の代理出産業者が誕生して以来、代理出産サービスの利用を明確に禁止した法律は一つもないと指摘。2001年制定の「人類生殖補助技術管理弁法」では医療機関や医療関係者が代理出産技術を用いてはならないと規定する一方で、市民による代理出産サービスの利用については規制をかけていないとしたほか、同弁法は当時の衛生部が規定した部門クラスの法規であり、国務院が制定する法規に比べて規制レベルが低く、罰則も不十分だと伝えた。
記事は、14年に中国が出産制限を2人までに拡大して、その後出産制限を完全に撤廃する流れの中で代理出産の需要が急増し、病院と代理出産業者が結託し、黒い利益連鎖が構築されるに至ったと紹介。少子化傾向が加速し、人口危機が深まる中、中国政府は「あえて子どもを産まない、産みたくない」という人々の問題に対処する必要があるものの、闇の代理出産産業チェーン問題が解決されない限り、代理出産を簡単には合法化しないだろうとした。
そして最後に「確かなのは『法律で禁止されていないが、政府は許可しない』というグレーな空間が続く限り、闇の代理出産産業チェーンは存続し続ける恐れがあり、政府が直面する法的、道徳的、倫理的ジレンマはさらに強まるということ。代理出産というパンドラの箱がすでに開かれた状況の中で、現行法だけで対処するのは無理だろう」と結んだ。(編集・翻訳/川尻)
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