EVで中国に太刀打ちできず、日本企業は新たな道を模索―中国専門家
Record China / 2024年11月13日 7時0分
10日、中国メディアの観察者網は電気自動車(EV)で中国に太刀打ちできないと感じた日系企業が新たな道を模索していると主張する記事を掲載した。写真は第7回輸入博。
2024年11月10日、中国メディアの観察者網は「電気自動車(EV)では中国に太刀打ちできない、複数の日系企業が新たな道を模索」と題した日本企業(中国)研究院の陳言(チェン・イエン)所長による記事を掲載した。
陳氏は、2024年中国輸入国際博覧会(以下、輸入博)に出展していたトヨタ、ホンダ、日産のブースに足を運ぶ人は、「欧米系のブランドに比べると多少多く見受けられたものの、それほど多くなかった」と紹介。「3社はいずれも自社のEVを展示しているが、中国市場での反響はさほど大きくなく、中国の街中でその姿を見ることはまれだ」とし、これらの企業が中国市場で苦戦していることを伝えた。
その上で、「苦戦しているのは、中国でのEV需要に対応できていないことが要因だ」と主張。ガソリン車やハイブリッド車、さらに航続距離が長いプラグインハイブリッド車は、ここ数年、中国以外の世界市場では好調な売れ行きを見せていることに触れ、「トヨタやホンダは現有の生産能力をこうした分野に振り向け、高い利益を得ることを優先しているのが現状である。23年度の決算において、日本の多くの自動車メーカーは過去最高の純利益を記録しており、EV以外の分野でも十分な市場獲得に自信を持っている」と評した。
しかし、陳氏は「EVでの不足は中国市場での業績が振るわないだけでなく、将来的には市場を失うリスクもある」とも指摘。その証拠として、トヨタ、ホンダ、日産、ダイハツの今年度上半期の販売台数が軒並み減少したというデータを示した。また、「中国市場で日系自動車ブランドが再び存在感を示すには、中国市場に適応した製品の提供が不可欠である」と主張。「EVの普及が進む中で、バッテリー、とりわけ固体バッテリーの開発や、廃バッテリーのリサイクルが日系企業の技術展示の新たな焦点となっている」とし、その例として、ホンダやトヨタといった自動車企業のみならず、使い切った車載用リチウム電池の劣化度合いを診断することができる「車載用リチウムイオン電池劣化度診断技術」を展示した三菱マテリアルや、車載用全固体電池向け硫化物固体電解質を展示したAGCといった輸入博に出展していた企業を挙げている。
また、日系企業の多くが自社製品を組み込んだ自動車モデルを展示ブースの中心に配置している例が目立つと言及。「パナソニック、東芝、旭化成、東レなどの企業は、自社の最新製品を組み込んだ自動車モデルを用いて来場者にアピールしており、実際に公道を走れる車を展示している企業もあった」と紹介している。
他にも、航空機のような厳しい技術基準に対応する超硬工具を展示し、加工性能の高さを強調していた三菱マテリアル、特徴的な自動車用ガラスのセンサー技術を展示したACG、「多様な素材で新しい生産力を共創」をテーマに防音などにも優れた車載音響デザインを転じた旭化成、自動車用ワイヤーハーネスや断続的な鋳鉄加工に対応するさまざまな工具を展示した住友電工なども例として挙げた。陳氏によると、多くの中国の消費者にとって、家電メーカーのイメージが強いパナソニックも、今回の博覧会では自動車関連の展示が大きな比重を占めていたという。
陳氏は、記事の最後で「自動車部品産業は、自動車産業の発展とともに成長を続け、独自の先進技術開発が自動車の転換を支える不可欠な基盤となっている」とした上で、「日本の自動車部品メーカーは、日本国内に大規模なEV市場がないため、その技術力を中国のEV市場の需要に応じて最大限に発揮し、製品開発、試作、量産を進め、サービスの提供を行っている」と指摘。「日本は完成車においてはEV化への転換が遅い一方、部品やバッテリーの研究開発、そのリサイクルといった分野での技術開発では遅れていない」とし、「輸入博で見られた展示内容からも、彼らが中国市場でのさらなる発展を志向し、新たなビジネスチャンスを見出そうとしている様子がうかがえた。この取り組みが実を結ぶかどうかは、時間と市場による検証が待たれる」とした。(編集・翻訳/奈良)
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