竹が「鉄骨」に大変身、3階建ての建物を建設―湖南省
Record China / 2024年12月26日 17時30分
建物や工場の建設といえば「鉄骨構造」が一般的だが、「竹構造」を目にしたことはあるだろうか?
建物や工場の建設といえば「鉄骨構造」が一般的だが、「竹構造」を目にしたことはあるだろうか?
湖南省益陽市桃江県にある国家(桃江)楠竹産業モデルパークに足を踏み入れると、全竹構造の研究展示棟がひときわ目を引いていた。この建物は、長さ12メートルに達する21本の無垢の竹柱が地面から屋根まで伸びており、建築面積約1500平方メートルの3階建ての建物を支えている。
この「竹の建物」を建設した湖南桃花江竹材科技の薛志成(シュエ・ジーチョン)会長は、「一般的な建築物で竹材が装飾用に使われるのに対し、この『竹の建物』は竹そのもので建てられている。骨組みはすべて竹材であり、内部に鉄筋コンクリートは一切使用していない。これは現在中国で最大級の無垢竹材構造による現代建築だ」と説明した。
竹が鉄筋に変身、その強度は?
詳しく観察すると、記者は「竹の建物」の梁や柱が数多くの平たい竹片を接着・圧縮して作られていることに気付いた。たたくと、重厚感があり、従来の竹材が持つ軽くてしなやかな特性とは大きく異なる。
薛氏は「専門的に言うと、これは『大型竹集成材』と呼ばれるものだ。天然の竹片を自社開発の設備で熱圧接着することで、優れた力学性能を持つようになる。一般的なコンクリート建築では圧縮強度は30メガパスカル(MPa)程度しか求められないが、竹集成材の圧縮強度は最大で70 MPa以上に達する。実際に、同じ重量の竹材構造材の強度は鉄を上回り、さまざまな環境建築構造に広く応用可能だ」と語る。
竹を鉄筋の代わりにするには、防腐、防カビ、防火、防虫などの課題を解決する必要もある。湖南省科技庁から認定を受けた湖南省現代竹構造工学材料製造および応用工学技術研究センターでは、中南林業科技大学材料科学・工程学院の李新功(リー・シンゴン)院長のチームが竹材の耐火試験を進めている。燃え盛る炎で燃焼させても、竹材は引火することなく、濃煙も発生しなかった。
李氏によると、防火対策に加え、木材と比べて竹材は栄養分を多く含むため、カビや腐敗の影響を受けやすい。これに対処するため、チームは竹材の特性に適合する上、安全かつ環境に優しい防腐・防カビ材料を開発し、現在は実際の生産に応用されているとのことだ。
竹を鉄筋に変えるには、大学と企業の共同研究が欠かせない。李氏によると、中南林業科技大学と湖南桃花江竹材公司は長年にわたり密接な産学連携を行っており、「大型竹集成材製造重要技術の研究と実証」や湖南省戦略的新興産業科学技術研究と重要科学技術成果の実用化に関する「組み立て式建築用竹壁板の重要共通技術研究および産業化」といった湖南省重点研究開発プロジェクトを共同で遂行してきた。湖南省科学技術進歩1等賞や技術発明2等賞、梁希林業科学技術進歩2等賞などを相次いで受賞している。
湖南省は竹資源と竹産業の年間生産額が全国でもトップクラスであり、桃江は湖南省で竹林面積が最大の県で、国家楠竹産業モデルパークと馬迹塘鎮笋竹特色産業パークが建設されている。馬迹塘鎮笋竹特色産業パークでは、あるタケノコ加工企業が現代食品工業の急速冷凍技術を活用し、消費者が一年を通じて新鮮なタケノコを食べられるようにしている。また、別の竹繊維加工企業では、竹やタケノコの端材を飼料添加物として加工し、家畜に栄養を提供している。
近年、国家林業・草原局など10当局が共同で「竹産業の革新発展の推進を加速させる意見」を発表し、湖南省でも複数の省レベルの奨励政策と指導政策が打ち出されている。これにより、竹産業は新たな発展の機会を迎えている。「今後も竹の新たな価値を多角的に掘り下げ、産業チェーンを拡大し、付加価値を高め、竹産業のトランスフォーメーションと高度化を推進していく」と薛氏は話した。(提供/人民網日本語版・編集/ES)
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