四輪足ロボットの輸出が急拡大、運動能力と「知性」に高い評価―中国メディア
Record China / 2024年12月29日 20時20分
中国メディアの毎日経済新聞は、中国では四輪足ロボットおよび四つ足ロボットの性能が急速に向上しており、輸出も急増していると紹介する記事を発表した。
中国メディアの毎日経済新聞は27日付で、中国では四輪足ロボットおよび四つ足ロボットの性能が急速に向上しており、輸出も急増していると紹介する記事を発表した。四輪足ロボットとは取り付けられた四つ足の先端に車輪があるロボットを指す。その高度な運動性能と「知性」が高く評価されているという。
例えば、杭州宇樹科技が23日に発表した最新の産業のUnitree B2-Wの動画では、四輪足ロボットが急斜面の崖や階段を高速度で下ったり、悪路などを疾走する様子、人を乗せて進む様子や、各種のジャンプを繰り返す様子が紹介されている。同社関係者によると既存のロボットに、2回連続のスピン、空中で3回転半してからの倒立、側転、ジャンプしての360度の回転、険しい地勢での疾走、最大40キロの重量物の運搬、人1人を乗せての走行などの能力を追加したという。
浙江省のもう一つのロボット企業である杭州雲深処科技も約1カ月前に全地形対応クロスカントリーロボットの「山猫」を発表している。
浙江省ロボット産業発展協会の宋偉秘書長は、Unitree B2-Wや山猫について、業界では運動制御能力の飛躍が注目されていると説明した。険しい地形横断や荷重耐力、ジャンプ回転などを可能にするために極めて高度なアルゴリズムが採用されており、機械学習能力が強化されたという。
杭州宇樹科技の関係者は、Unitree B2-Wの学習能力について、「人の自転車の乗り方の習得に似ています。絶えず試行錯誤して誤りを訂正することによって、最適な動作戦略を見つけます」と説明した。
宇樹科技の関係者はさらに、モーター、減速機、ドライブ、バッテリー、各種センサーなどとハードウェアはいずれも自社開発したもので、ロボットの正確な動力出力と運動制御を確保すると説明した。業界からは、四つ足ロボットの運動制御のアルゴリズムはほぼ限界に達しており、今後はハードウェアの向上が焦点になるという見方も出ている。
ただし、ソフトウェアの改良により、2025年にはロボットの「空間認識知能」で新たな飛躍が成し遂げられる可能性が高いと主張する研究者もいる。
杭州雲深処科技の関係者によると、このほど送電やガス配給を行うシンガポールのSPグループに同社の産業用四つ足ロボットを納品した。送電が通るトンネルの巡回検査に使うためという。
シンガポールの地下電力伝送ケーブルトンネルは全長40キロで、保守要員は日常的に6キロまで歩いて、沿道のケーブルや計器などの設備を検査する。通常は2-3時間を要する作業という。この作業には時間と労力がかかるだけでなく、人為ミスなどのために危険な状況が生じる恐れがある。
杭州雲深処科技のロボットは、自律的にトンネル内で点検作業を行う。現場投入に先立って、人に連れられてトンネル内を往復し、位置把握や自立ナビゲーションの能力を学習した。また、不具合が生じたトンネル内の施設の画像を取り込むことで、不具合の識別能力を獲得した。実働中に仮に緊急事態が発生した場合には、地上に向けてただちに報告する。その後も時々刻々の状況を知らせることで、人は現場に入らずに何が起こっているかを知ることができる。
杭州雲深処科技は産業用ロボットの輸出について「弊社はスマート巡回検査、緊急救援、セキュリティーなどで、すでに現場に投入されている標準プランがあり、海外での類似した状況で直接に使うことができます。一方で、現地化されたサービスをしっかりと行うために、相手国側のパートナーとしっかり協力して、配置や研修、アフターサービスなどの問題を共同で解決しています」と説明した。
中国のロボット企業の強みの一つは、国内にサプライチェーンが完備されていることだ。迅速な部品調達は、迅速に完成品を納品することに結びつく。さらには、製品コストを下げることにも役立っている。杭州宇樹科技はロボット犬の価格を2年前に、当時の同類の製品よりも3000元(約6万5000円)近く安価な1万元(約22万円)以下に引き下げた。今年には平均的に50万元(約1100万円)前後であるヒューマノイドロボットの価格を9万9000元(約210万円)に引き下げた。
杭州宇樹科技によると、同社の四足ロボット出荷台数は世界全体の60%-70%を占める。電力の巡回検査や消防と救助、産業パークのセキュリティー業務などで利用されており、世界の半分以上の国と地域に向けて業務を展開している。
四つ足ロボットは今後、一般消費者向けには「より面白くて実用的で、価格が手ごろ」という方向に向けて発展していくとされている。一方で、産業向けには「信頼性が高くて高負荷に対応し、強力な運動性能を持つ」方向が見込まれるという。(翻訳・編集/如月隼人)
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