ありえない超高級ホテル作ると豪語、今では内部ボロボロ1泊1500円―香港メディア
Record China / 2025年1月26日 15時50分
「ありえない超高級ホテル群」を出現させるとして建設が始まった、海南省三亜市内の「美麗之冠」(写真)は現在、「外見は立派だが、内部はボロボロ」の状態で、68元(約1460円)で1泊できるという。
香港メディアの香港01はこのほど、「ありえない超高級ホテル群」を出現させると豪語して建設が始まった、海南省三亜市内の「美麗之冠」(「美の王冠」の意)の現状を紹介する記事を掲載した。宿泊者のネット投稿によると、「外見は立派だが、内部はボロボロ」の状態で、68元(約1460円)で宿泊できるという。
美麗之冠は、大樹のような外観をした建物9棟で構成され、これまでの投資総額は100億元(約2150億円)に達した。全9棟のうち7棟は高級マンションおよび「五つ星級ホテル」に、1棟は「プラチナ五つ星級ホテル」に、さらに残りの1棟は「七つ星級ホテル」にするとされた。
中国では、高級宿泊施設に「星」を与える制度がある。申請を受けて「星の数」を認定するのは、国家旅遊局(国家観光局)が所管する中国旅遊飯店業協会(中国観光ホテル協会)だ。ただし、最高評価は「五つ星級ホテル」であり、制度としてその上を行く「プラチナ五つ星級ホテル」や「七つ星級ホテル」はない。つまり美麗之冠側は「ありえないほど超高級ホテル作る」と豪語していたことになる。
美麗之冠は当初、「大樹公館」の名称で建設が始まった。投資者の一人が、中国を代表するコメディアンの一人である趙本山氏だったことでも話題になった。一部施設の開業式には、趙本山氏をはじめとする有名芸能人や、人気スポーツ選手が大勢集まったことでも注目された。「美麗之冠」が富裕層をターゲットにした施設であることは一目瞭然だった。
建設中だった美麗之冠は2019年に、不動産開発を手掛ける恒大地産が買収して、正式名称を「美麗之冠大樹酒店」とした、恒大地産は、同施設を豪華ホテル、商業会議、ショッピングモール、レジャーエンターテインメント、飲食、観光文化関連の機能を一体化したホテル建築群として、改めて位置づけた。美麗之冠ではミス・ワールド世界大会が6回にわたって開催されたことで、「ミス・ワールドの家」とも呼ばれた。
美麗之冠のホテルロビーは「システィン長廊」と名づけられ、バチカンのシスティーナ礼拝堂やフランスのヴェルサイユ宮殿の鏡の間を参考にし、天井画はフランス新古典主義の画家であるジャック=ルイ・ダビッド(1748-1825年)の作品を模倣しているという。ルイ・ダビッドは、乗馬するナポレオンを描いた「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」などの絵画で知られている。
何もかもが「豪華づくし」で進められていた美麗之冠の建設だが、恒大地産が20年に経営危機に陥ったことで挫折することになった。恒大地産は売却を試みたが買い手がつかないまま、「最も豪華な建築群」だった美麗之冠はたちまちにして、「最も悲惨なランドマーク」に転落した。恒大地産はすでに運営に参画しておらず、美麗之冠は、民宿として委託管理されているという。
美麗之冠を利用した人がしばしばネット投稿しているが、「このホテルは外見は立派だが、中身はボロボロだ」などと書き込んでいる。ホテルのロビーは無人状態で管理されておらず、内部の環境やサービスは非常に混乱しているという。
香港01が掲載した記事は、美麗之冠はそのデザインから、エコのイメージを売り物にしているが、「近寄って見てみると、人工的な要素が多くて不快感を覚えるほどだ」と指摘した。
記事は最後の部分で、「この気まずい建築は、三亜市の中心部にそびえ立ち、中国の急速な経済発展の歴史における輝かしい『反面教師』のように存在している。それは人々に、地に足をつけることの重要性を思い起こさせ、野心だけが先走り、能力が追いつかないことへの戒めを示している」と評した。(翻訳・編集/如月隼人)
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