安徽省の武王墩墓から古代の「蒸し鍋」5点が出土―中国
Record China / 2025年2月6日 19時30分
安徽省の武王墩墓から古代の「蒸し鍋」5点が出土しました。
中国東部安徽省淮南市にある武王墩(ぶおうとん)1号墓のフィールド考古学調査がこのほど終了し、さまざまな文化財1万点余り(セット)が出土しました。その中には青銅製の甗(げん:古代中国で用いられていた炊器、祭祀用の礼器)が5点含まれており、一つの陵墓からこれほど大量の青銅甗が出土したことは同時期としては珍しいとされています。
武王墩墓は壕に囲まれた大型の独立陵墓で、面積は約150万平方メートルです。陵墓の規模と構造、出土した文化財および文字資料などに基づいて歴史文献と照らし合わせた結果、陵墓の主は中国戦国時代の楚の国の君主、楚考烈王(在位:紀元前262年~紀元前238年)であると判定されました。
甗は元々は器物を組み合わせたものに由来し、下部が鬲(れき:古代中国で用いられた中空構造の三足を持った沸騰器)または鼎で、湯を沸かしたり、肉類の煮炊きをすることができ、上部は甑(こしき:古代中国発祥の、米などを蒸すための土器)で、その底に穴が開いており、蒸気で穀物を蒸すことができます。現代の蒸し鍋の原型とされます。商周時代(紀元前1600ごろ~前256年)、栽培が狩猟と採集に取って代わり、人々の主要な食料源となり、そうした生活様式の変化に応じて、甗などの蒸し器が普及するようになりました。中国最古の礼書の一つである『周礼』で取り上げているいわゆる八種類の珍味「八珍」のうち、「淳熬」と「淳母」とは、いずれも肉味噌を米あるいはモチアワのご飯にかけたもので、古代版の「かけご飯」と言えます。
武王墩墓から出土した5点の青銅甗は、形も器物の表面に施された紋様もすこぶるシンプルで、戦国末期の器物によく見られるスタイルですが、よく調べてみると、そのうちの1点には大きな違いが見られます。秘密はその足の膝の部分にあり、立体的な獣首(頭)が付いた膝の裏には仕掛けが隠されており、3本の足を90度折りたたむことができます。これにより、青銅甗は瑞獣のように立ち姿から臥せた姿に変わることができます。このような折りたためるデザインは今日ではありふれたものですが、青銅器時代には極めて珍しく、材質と加工技術には非常に高い要件が求められます。
専門家は、このような折りたたみ青銅甗は、持ち運びしやすいため、文献に記載されている「行器」ではないかと推測しています。これらの器物は陵墓の主である考烈王と共に、他国の討伐や盟約、狩猟や祭祀の際に持ち運ばれて波乱万丈の人生を過ごした後、死後も考烈王のそばで静かに眠っていたのかもしれません。(提供/CRI)
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