トランプ関税戦2.0始まる、中国企業は新たな移転計画―シンガポールメディア
Record China / 2025年2月12日 22時0分
シンガポールメディアの聯合早報は9日、「トランプ関税戦2.0の始まりだ」として、米国の第2次トランプ政権の発足で中国企業が新たな移転を計画中との記事を配信した。写真はワシントン。
シンガポールメディアの聯合早報は9日、「トランプ関税戦2.0の始まりだ」として、米国の第2次トランプ政権の発足で中国企業が新たな移転を計画中との記事を配信した。
記事によると、近年は多くの中国企業が第1次トランプ政権が打ち出した対中関税措置をかわすためにベトナムに生産拠点を移した。だが、今年1月にホワイトハウスに復帰したトランプ氏の関税ターゲットは中国の他、中国企業の生産チェーンがある他の国々にも及ぶ可能性がある。特に対米貿易黒字が比較的大きいベトナムなどは不確実性が高く、前回の貿易戦争で中国企業が「避難場所」とした国は「リスク地域」と化した。今、こうした中国企業の目が向けられているのが近隣のタイ、カンボジア、インドネシア、マレーシアだ。
ベトナム北部の都市に2022年に設立された電子製品工場「ANZ Electric Vietnam」の謝華(シエ・ホア)社長は聯合早報の取材を受けた際、本社は中国広東省東莞市にあると話し、ベトナムに工場を設けたのは業務量の75%を米国市場が占めているからだと説明した。
第1次トランプ政権と中国との貿易戦争が始まってから謝氏のようにベトナムに工場を設けた中国企業は多いが、その商品が米国に販売されることでベトナムの対米貿易黒字も増加した。24年は過去最高の1230億ドル(約18兆7000億円)に上り、謝氏は「トランプ大統領がこの問題を持ち出せばベトナムは対応に苦しむ」とみる。謝氏の経営者仲間にはベトナムの一部業務をタイやカンボジアに移す準備を始めた人もいるという。
一方、インドネシアやタイなどの東南アジア諸国は中国企業に対する積極的な動きを見せている。インドネシア紙ジャカルタ・ポストによると、インドネシア政府は中国の電子、自動車関連企業の入居を期待してバタム島経済特区のプロジェクトを積極的に進めているところだ。また、ロイターはトランプ氏の当選後に、タイのピチャイ商務相が「われわれは中国から大量の投資を呼び込み、米国に商品を売る」との考えを示したことを報じた。
シンガポールの経済学専門家によると東南アジアはこの先も中国企業が移転先として最初に選ぶ地域になると考えられるが、前述の謝氏はタイに工場を構えた場合の主な欠点として、物流コストの高さやサプライチェーンの長さを挙げた。インドネシアは人件費などが低めだが、ベトナムに比べ文化的な違いが大きいという。
一方、ベトナムは関税リスクに直面してはいるものの、トランプ氏の変わりやすい政策の下、ベトナムに賭けようという企業は依然存在する。企業の越境買収問題などを手がける中国福建省のある弁護士は、トランプ氏が当選した後もベトナム工場設置を計画する中国企業の顧客は数人いると語った。
そして、ベトナムと似た状況なのがメキシコだ。米中貿易戦争を受けて多くの中国企業がメキシコに生産ラインを移したが、トランプ氏が先日発表したメキシコに対する25%の関税はこうした企業を混乱に陥れた。対メキシコ関税の発動は延期されたが、中国企業はブラジルなどの代替地探しを含め、最悪の状況への準備を迫られている。
米国の関税政策は多くの中国企業に生産チェーンの国外移転を余儀なくさせたが、一部業界にとって米国市場は依然として非常に魅力的だ。これについて、電子製品製造業者である謝氏は「中国市場は受注量は多いが利益は低く、欧州市場はその逆だ。米国市場は中国市場と欧州市場の長所を併せ持っているため依然人気がある」と指摘した。
謝氏は「トランプ2.0時代はどこへ行っても関税は避けられないだろう」との考えから、合弁方式で米国に工場を設けることを検討中という。(翻訳・編集/野谷)
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