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フェラーリ『SP51』、800馬力V12搭載のロードスター…ひとりの顧客のために

レスポンス / 2022年9月30日 13時0分

フェラーリは9月28日、『SP51』(Ferrari SP51)を発表した。台湾の顧客の要望を受けてデザインされたフェラーリの最新限定モデルになる。


◆812 GTSをベースに約2年をかけて完成


SP51は、『812 GTS』のプラットフォームをベースに、そのレイアウト、シャシー、エンジンを受け継いだフロントV12エンジン搭載のスパイダーだ。ルーフが存在しない真のロードスターである点が最大の特長になるという。


各プロジェクトは、クライアントのアイデアを出発点とし、それを「フェラーリ・スタイリングセンター」のデザイナーチームが発展させる。車両のプロポーションとフォルムを決定したら、デザインを詳細に検討し、スタイリング用クレイモデルを製作した上で、ワンオフモデルの製造工程に入る。


全プロセスには平均およそ2年を要し、その間、クライアントはデザインの評価や検証プロセスに密接に関わる。こうして、跳ね馬のロゴを装着し、イタリア・マラネッロ生まれの全モデルと同じ水準で設計された1台限りのフェラーリが誕生する。


◆顧客のこだわりが反映されたエクステリア


SP51のフロントには、特別にデザインされたヘッドライトを採用した。SP51のためだけの特別なホイールは、各スポークがカーボンファイバー製のウィング形状となっているのが特長だ。進行方向の面には、トーンの異なるダイヤモンドカット仕上げが施されている。


リアでは、スポイラー下に配置されたテールライトによるアーチ形が目を引く。キャビンのすぐ後ろにある左右の「フライング・バットレス」は、2個の深いカーボンファイバー製スクープによって、視覚的印象がやわらげられている。この2個の要素の間を横断するカーボンファイバー製ウィングは、側面がバットレスに折り重なったデザイン。フライングブリッジでロールフープを隠す手法は、1960年代初頭のフェラーリのスポーツプロトタイプへのオマージュという。


3層コートの新色「ロッソ・パッショナーレ」は、この1台のために特別に開発されたボディカラーだ。伝説的なフェラーリ『410 S』(1955年)をインスピレーションとした青と白のストライプが、ボディに配されている。


◆赤いアルカンターラ内装に青と白のストライプ


室内は、アルカンターラトリムのメインカラーに、ボディカラーと同じロッソ・パッショナーレを取り入れた。青と白のストライプは、バルクヘッド上のダッシュボード中央とセンタートンネルにもあしらわれ、ステアリングホイールのステッチにも配された。エクステリアとインテリアにシームレスな連続性を感じさせるのが狙いだ。


ドアパネルの特別仕上げとダッシュボードの下部、シートのサイドにあしらわれた「Kvadrat」の青いインサートと白のクロスステッチも、同様のアイデア。また、光沢のあるカーボンファイバー製トリムがインテリアに幅広く採用され、「ネロ・モモ・オパーコ」のエレメントとコーディネートされた。跳ね馬と車両のロゴは、ステアリングホイールのリム下方にもあしらわれている。


エアロダイナミクスは、CFD(数値流体力学)シミュレーションや風洞実験、動的テストによって検証された。その結果、キャビン内部の快適性が確保され、音や風に関する快適性も、ベースとなった812 GTSと同じ水準に達しているという。


◆自然吸気の6.5リットルV型12気筒エンジン


パワートレインは、812 GTS譲りの6.5リットル(6496cc)V型12気筒ガソリン自然吸気エンジンだ。フロントミッドシップに搭載されるこのV12は、最大出力800ps/8500rpm、最大トルク73.2kgm/7000rpmを引き出す。


トランスミッションは、7速デュアルクラッチだ。ベース車両の812 GTSの場合、乾燥重量は1600kgで、前後重量配分は47対53。0~100km/h加速を3秒以内に駆け抜け、最高速は340km/hに到達する。

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