初代ローレルの美しいラインを生み出したデザイナーとモデラーが語らう…ローレルC30を語る会2022
レスポンス / 2022年10月3日 21時15分
東京都武蔵村山市にある東京日産自動車販売新車のひろば村山店で10月2日、「ローレルC30を語る会」が開かれ、当時のエクステリアデザイナーとモデラーによる、熱く濃いトークが繰り広げられた。
初代C30型の日産『ローレル』のオーナーズクラブが、当時の生産拠点だった日産村山工場跡地にある日産販売店の一部を借りて行っているイベント。C30のエクステリアデザイナーを担当した澁谷邦男氏による前回のトークコーナーに続いての企画で、今回は「1960年代の日産デザイン部門の様子」と題し、澁谷氏と当時のモデラーだった太田幸夫氏によるトークがメインとなった。
初代ローレルは1968年にデビュー。当時日産社内で使われていた「プロジェクトマル中」戦略車で、小型車のブルーバードと中型車の『セドリック』の間を埋めるハイオーナーカーとして生まれた。4輪独立懸架やラック&ピニオン式のステアリング、プリンス自動車直系のG型1.8リットル直列4気筒SOHCエンジンなど、優れたメカニズムを搭載。フロントウインドウの思い切った傾斜や三角窓を無くしたクリーンなサイドヴュー、直線基調の張りのある面構成など、気品のあるスポーティなエクステリアデザインが斬新だった。
このデザインを担当した澁谷氏が全幅の信頼を寄せていたのが太田氏である。太田氏は当時の日産モデルショップ誕生期のパイオニアともいえるモデラー。1959年に日産設計部造型課に配属、1995年に退職するまでデザイナーと連携しての構想やイメージを実体化する立体造形モデルと線図制作を行い、モデルグループのけん引役を務めた。
トークショーは中身の濃いものとなった。採用されたローレルの直線的なデザインはモデル制作においては非常に難しかったことや、それまで1/4だったモデル~線図制作が1/1となりこちらも難度が高かったこと、それまでは木製・板金で原寸大のプロトタイプが作られていたがローレル開発途中でクレイを型取りしてプロトタイプをFRPで作る試みが行われたことなどが話された。
そして1964年にデザイン部署内に若いメンバーによるモデルショップが誕生する一方で、試作車を作る試作部署には太平洋戦争中に飛行機などを作っていた板金職人や木型、縫製、塗装などの職人がおり、ベテラン達の熱気にもあふれていたという。
「(モデル制作の)部屋は、夏は暑くて冬は寒かったです。朝寒い日に行ったらクレイのバンパーが硬化して割れて落っこちていたこともありました」という太田氏。様々なことを乗り越えた結果、ローレルは美しい形でデビューする。「(出来上がったのを見て)OKだなー! と思いました。面と線が思った通りにできたなあと。実物大でデザインしていく大変さはありましたけどやり甲斐がありましたね」。
後年、デザインにもCADが徐々に導入され、モデラーの存在が薄くなるような時期があったという。しかし実際に見た目の美しい仕上がりは、やはりコンピュータには真似のできない、人間の手による仕事が重要だと見直されて現在がある。「触ったり、眺めたり、方々やりながら作り上げていく仕事を、これからは若い人たちに伝えていきたいですね」と太田氏。
今回のトークショーを企画し、聞き役に回った澁谷氏も終始嬉しそうだった。現在、奈良にも居を構え「市内にある多くの仏像も人の作り上げた美しい形。自動車もそうですから、デザインとしての『自動車と仏像』というような本が書けたらと思っているところです」と意欲的だった。
さて、この日集まったローレルは、初期型の「セダン1800デラックスB」、後に追加された「ハードトップ2000GX」、マイナーチェンジされた「セダン1800GL」の3台。初代の主な3車種がそろい、いずれもリアコンビネーションランプが連鎖式点灯の”流れるウインカー”というのも興味深かった。これに関連展示車として初代と3代目の『ブルーバード』、初代の『フェアレディZ』も並んだ。
また、澁谷氏と太田氏の同僚やOB、後輩、教え子、現役の日産のデザイナーなどが来場。閉会後も運営をバックアップした全日本ダットサン会(佐々木徳治郎会長)のメンバーなども加わって、熱いトークが続いていた。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「デザイナー生活50年」元日産の中村史郎氏、カーデザイナーとして最高の栄誉を獲得
レスポンス / 2024年12月17日 8時0分
-
マツダ「最高級セダン」がスゴイ! “前列3人”シート&世界初「ロータリーターボ」搭載! “魂動”じゃないカクカクデザインの「ルーチェ」とは?
くるまのニュース / 2024年12月4日 22時10分
-
日産の高級車ランキング5選! 歴代モデルから海外向けブランド「インフィニティ」も徹底解説
MōTA / 2024年11月28日 16時0分
-
全長4.4m! 日産の「4ドア“5ナンバー”セダン」がスゴかった! めちゃ「スポーティな画期的モデル」は世界一が目標! 隠れ名車「プリメーラ」はイマ求められる1台か
くるまのニュース / 2024年11月26日 19時10分
-
“日産の復活”象徴する「和製スーパーカー」! 最強マシン「GT-R」の試作モデルが凄い! 伝統の「丸目4灯テール」継承した超パワフルな“プロトタイプ”に注目!
くるまのニュース / 2024年11月26日 14時10分
ランキング
-
1佐々木朗希「争奪戦」から降りた球団の言い分とは? たった10億円超で手に入る金の卵なのに
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月19日 9時26分
-
2「どこかの女優かと」 大胆ドレスの河本結にファン釘付け「ゴルフウェアとのギャップが…」
THE ANSWER / 2024年12月19日 6時53分
-
3中日ドラ3の「高校生とは思えないオーラ」 17歳の堂々振る舞い「イケメンすぎ」
Full-Count / 2024年12月19日 11時16分
-
4〈甲斐FA人的補償〉巨人・小林がソフトバンク移籍すれば三方よし…巨人ドラ1の呪縛から解放されるとき
集英社オンライン / 2024年12月19日 11時0分
-
5「お前、アホか」 ディープを本命にせず怒られた有馬記念、調教捜査官が“人気薄予想”を変えた日
THE ANSWER / 2024年12月19日 10時33分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください