メタル? カーボン? オーガニック? シングル? ツイン? クラッチ交換の基本~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2022年10月8日 6時30分
クラッチ交換というとメタルツインとか、カーボントリプルとかいろいろと聞くが実際どれがいいのかは、使うステージと使い方による。どんな使い方にはどのクラッチがマッチする!?
◆エンジンの駆動を伝えるのがクラッチ
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クラッチはエンジンとミッションの間にあり、エンジンの駆動をミッションに伝えたり、伝えるのをやめたりすることができる装置。これがないと発進や停止ができないし、シフトチェンジも困難になる。フライホイールとクラッチが摩擦することで駆動力を伝え、クラッチペダルを踏むとフライホイールからクラッチ板がわずかに浮くことで駆動力が伝わらないようにする。その間にシフトチェンジをしたりとか、停止時に駆動力を切っておいたりするわけだ。
◆カスタムの世界ではこのクラッチの材質と枚数を変える。
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まずは材質。純正クラッチはオーガニックと呼ばれるもので、さまざまな繊維や樹脂などが混ぜられたものが使われる。昔で言えばアスベストが含まれていたような材質だ。柔らかさがあり、半クラッチの領域もたっぷりとあって扱いやすい。しかし、その反面、熱には強くないので高回転のシフトチェンジを多用するサーキット走行を連続して行なうと、摩材がヒートして熱を持ちすぎてしまいクラッチが滑ってきてしまうこともある。
アフターパーツではこのオーガニック材で、強化したものが発売されている。一斉を風靡したのはニスモのカッパーミックス。オーガニック材にカッパー(銅)を混ぜ込んだもので扱いやすく、熱容量もあって大ヒットした。しかし、今後はクラッチやブレーキパッドに銅を含まない方向に世の中がシフトしているので、いずれはカッパーフリーの強化クラッチに置き換えられるかもしれない。
◆オーガニック材ではどうにも足りないという人にはメタル材が適合。
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メタル材は金属を焼き固めた摩材がフライホイールと摩擦する。いわばブレーキパッドのようなものが摩材。メリットとしては金属に近い成分なので、サーキットなどで過酷なシチュエーションになっても熱によって摩材がヒートして滑ることが起きにくい。また、金属材がスパッとつながってスパッと切れるので素早いシフト操作もしやすい。さらに摩擦力が強いのでオーガニック材のように1周グルっと摩材を貼らなくても、十分な摩擦が確保できる。摩擦が確保できるなら、いらない部分はカットしてしまえ、ということで摩擦がない部分はベースの金属もなくしてあるものが手裏剣型のメタルクラッチ。これはクラッチ板が軽くなり慣性が働きにくいので、素早く回転数が合わせやすい。それだけ素早いシフト操作にも回転が合いやすいということなのだ。
デメリットは半クラッチ領域が少ないこと。金属同士が摩擦するのでガツンとつながりやすく、発進操作などはオーガニック材に比べると難しい。それでも昔に比べれば各社とも技術進歩していて、わざとクラッチフェーシングにわずかに反りをもたせることで、半クラッチ領域が大きくなるようにしたりと対策をしていて、扱いやすくなってきている。とはいえ、正直ストリートオンリーの車両では採用するメリットはほぼない。
◆近年増えているのはカーボンクラッチ
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オーガニック材とメタルの良いとこ取りを狙うのがカーボンだ。カーボンは炭素繊維なのでオーガニック材のような柔らかさがあり、半クラッチも十分にある。それでいて軽量化にもカーボンが使われるように素材としての軽さもある。さらに大きなメリットが熱に強いこと。熱が入ってもカーボンは極めて熱に強いのでヒートして効かなくなるということが少ない。むしろある程度の温度にならないと最適な摩擦を発生しないほど。サーキットで本格的にアタックをするなら、ある程度温めなければならない特性を持つほどなのだ。なので、クセがあるといえばちょっとクセはあるが、半クラッチはオーガニック材のように使えるので街乗りも楽。普段乗りから使える。デメリットというか、気になる点としては価格が高価なことが挙げられる。
◆摩擦面を増やすツイン、トリプルクラッチもある
通常のクラッチはフライホイールとクラッチディスクの間で摩擦するが、この摩擦面を増やすべくクラッチ板が2枚になったものをツインクラッチ。3枚のものはトリプルクラッチと呼ばれる。どちらも容量がたっぷりあるので、ハイパワーなクルマに適合。ドラッグレースでは当然のように使われていた。しかし、現代ではそうそうシングルクラッチで容量が足りなくなることが少ないので昔よりは出番が減っている。また、一気に複数の摩擦面がこすれるので半クラッチがかなり唐突になったりする。それでも最近は扱いやすくなったが、ちょっと慣れは必要になるだろう。
クラッチは適材適所で選ぶべきパーツ。高いもの=街乗りでも楽とは限らず、大パワーに対応するためにコストが掛かっていることもあるので、欲張らずどんな使い方をするかで選んだほうが良いパーツなのだ。
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