ロードノイズ対策、本当に効果はあるの? 話題の調音施工やってみた。
レスポンス / 2022年10月10日 9時0分
クルマを運転していれば、必ず耳に入ってくる音の一つにロードノイズがある。いま巷ではロードノイズを減らす施工が流行ってきているのだけれど、その効果はやらないと未知数。ならばと思い、実際に施工を行って体感してみた。
◆走行ノイズを低減させるにはどうすればいい?
そもそも走行していればどれだけ高級車でも何かしらのノイズは耳に入ってくる。エンジンノイズやロードノイズ、風切り音が主たるノイズになるだろうか。それを低減させるためにクルマには色々な工夫がされているけれど、予算の問題もあって車両価格に比例している事が多い。それをどうにかしようとすれば方法はあり、内装やドアなど車室内のパーツを出来るだけ外してから鉄板部分に制振材や吸音材を貼っていく事で車外から混入するノイズを減らすことが出来る。
例えばボンネットに施工を行えば、エンジンが1~2m離れた様な感覚になってエンジン音がかなり減ってくれる。ルーフに施工をすれば風切り音が低減されたり、雨が降っても雨音がかなり減ってくれる。フロアは風切り音が減るのと同時に、車体の振動を低減してくれるので乗り心地がスムーズになり、ドアに施工すれば外部音の低減と同時にスピーカーから発せられる音がクリアになったりする。こうやって書いてみるとプラス要素しか無いんじゃないか? と思うかも知れないけれど、そんなに上手くはいかないのだ。
問題の一つは重量の増加。過去に自分のクルマで上記施工全てを行ったことがあるのだけれど、たしかにクルマの静粛性はかなり上がったのは間違いない。使用した部材の正確な重量は把握していないけれど、大凡ちょっと我が儘ボディの大人1人分は増えることとなる。それに伴って犠牲になるのは燃費で、記憶では5%程度下がったはず。まずはこれを良しとするかどうかだ。
そして一番の問題はぶっちゃけお金。静粛性が上がるのであればいくらでも出す! という人なら問題無いけれど、そうじゃない人が大多数なはず。使う部材や車種によって金額の変化はあるのだけれど、自分の経験で言えば50万円強(VW ゴルフVヴァリアント)だったと思う。
燃費下がるの上等! お金も糸目を付けないぜ! であれば是非ともチャレンジして欲しい。ただし、そこまでやっても最後は『ガラスを通ってくるノイズがうるさい!』となる。特にそこそこ大粒の雨が当たればバチバチと結構な音がしてしまう。そうなるとガラスに制振材や吸音材は貼れないので、防音フィルム入りのガラスに換えるのか、そこは妥協するかになってしまうのだ。
◆ロードノイズを低減させる調音施工ってなんなの?
そして今回施工した調音施工は何が違うのか? ある意味では非常に割り切った考えのノイズ対策となる。割り切ったというと悪い方向に取られるかも知れないけれど、効率を重視した今までと違うノイズ対策、それが調音施工なのだ。
まず使用する部材は国産高級オーディオメーカーであるBEWITHが調音施工専用部材として開発した『アドバンス調音シート』という部材で、ニトリルゴム発泡体の吸音層をベースに、高い遮音性を備えた厚みのあるアルミ層、不要な振動を抑え込んで強力な粘着力でしっかりと密着するブチル層の3層構造となっていて、全国7店舗で展開されているフォーカル プラグ&プレイストアで施工を含めて取り扱っている。
この部材を使用して施工されるのだけれど何が効率的なのか。ノイズ対策を行う事のメリット/デメリットは先に紹介したけれど、その中でメーカーが色々な効果検証を行った結果、満足感があり費用対効果の高かった前後のタイヤハウスを基本として、オプションでバルクヘッドの施工もメニュー化されたものがフォーカル プラグ&プレイストアの調音施工だ。
ノイズ対策はなかなか厄介な事で、1ヶ所対策を行って静かになったおかげで今まで聞こえていなかった他の場所からのノイズが聞こえてくる。それは正しくイタチごっことなってしまい、最後はガラスがうるさい! まで行き着いてしまう。しかし調音施工では一番耳障りになるノイズの帯域を押さえるために考えられた部材と施工なので、ある意味バランス良くノイズ低減を行ってくれる施工なのだ。
◆実際の作業は経験とプロの手数で大きく変わる
今回施工をお願いしたのは福井県にあるフォーカル プラグ&プレイ敦賀の代表 北畑さん。専門的なカーオーディオプロショップでもあるので音に関する知識はかなり豊富な人物だ。
まずは養生をしてから前後のタイヤハウスにあるインナーカバーを外していく。リアは鉄板部分を脱脂してから隙間無くしっかりと密着するように部材を貼り込んでいく。簡単に貼っているように見えてしまうのだが実は貼り方にも技術が必要で、試しに自分で1枚貼ってみて北畑さんにチェックしてもらうと笑顔で剥がされてしまった。
フロントはインナーカバー側に部材を貼り込んでいくのだが、あえて薄い方の部材がチョイスされていたので理由を聞くと、厚い方が効果が高いけれどカバーを戻した時に厚みが増すのでクリップに負荷が掛かりすぎて外れる危険性が出てしまうから施工場所や車種によって使い分けているとのことだ。そして車種によってはフェンダー裏にも貼れる場合があるので効果的と判断したときには料金内で施工しているそうだ。
そして今回はオプションであるバルクヘッドの施工もしてもらった。50プリウスはワイパーを外したりタワーバー的なパーツを外したりとなかなか面倒な作りで、全て外した後に清掃をしてから貼り込んでいき、施工されたパーツを戻しながら効果的な部分を見つけるごとに追加で部材を貼り込んでいく。無駄な場所に貼ってしまうとそれは重量増というネガティブ要素となってしまい、プロショップの経験値が非常に重要となる作業だ。フロント/リア/バルクヘッドの施工を終えて戻してしまえば施工したかどうかが分からない状態になるのも特長と言えるだろう。
◆施工したはいいけれど、効果はどうなの?
クルマでの長期出張中に行った施工と言うことで一般道と高速道合わせて1,000キロ弱走った感想をお伝えできる。まずクルマに乗り込んでドアを閉めると、このクルマでは感じた事の無い静寂性で、表現が難しいのだけれどシーンとした雰囲気で空気感が変わっている。そこから走り始めるとノイズレベルが1段下がっていてノイズの質が変わっていた。これは装着しているタイヤがオフロードタイヤという事もあって想像以上に変化を感じられる。そして何より驚いたのが走行中の振動が減少していて乗り心地が良くなり、ちょっとした段差を乗り越えてもアタリがソフトになっているのをハッキリと感じる。これは正直予想外な出来事だ。
そして調音施工の本領発揮は高速道路での走行だった。振動の低減はもちろんなのだけれど、耳障りな帯域のロードノイズがかなり抑えられているので雑音への不快感が大幅に減ってくれ、エンジン音もエンジンが常に回っている状態でも感覚的には半分ぐらいの音量に思えるほど。なるほど、これはかなり快適な車室内になったことを実感できる。
風切り音やマフラーの音が聞こえるようになったのも事実だけれど、自分にとってはそれほど不快な音ではなかったので現状で満足出来る仕上がりだ。後々気になってくるのであれば段階的に施工すれば良いと思う。そう考えると調音施工は効率的でバランス良く、ユーザーにとって満足度が高い施工だと言うことを実感することが出来た。気になるお値段は車種にもよるが、9万円弱+オプション3万円(税込)がベースとなっている。自分のクルマの快適度を上げたいと思った時にはぜひ参考にして欲しい。
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