4点式ベルトはもう古い!?最新シートベルト&HANS事情~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2022年10月11日 6時30分
サーキットを走る時にするフルハーネス。4点式シートベルトや6点式シートベルトと呼ばれるものだが、近年その規定が大きく変わってきている。また、HANSと呼ばれる頸部保護デバイスも必須となってきているのだ。
◆カラダが動かないぐらいに固定すればOK?
レースはもちろん、ラリーでもジムカーナでもクルマで競技をするときには市販のシートベルトではなく、フルハーネスが必須。カラダをあらかじめシートにギュウギュウに縛り付けておくことで、安全性が高まる。通常の3点式シートベルトだと衝撃を受けてから固定されるのでカラダが大きく動いてしまう。
フルハーネスだとすでに固定されているのでカラダの動きは最小限にできる。また、カラダが動かないことで運転がしやすくなる。バケットシートにフルハーネスでカラダを固定するとほぼカラダは動かない。そうすることで、ステアリング操作でカラダが動いたりしなくなるので、ハイスピードでも安定して正確な操作ができる。
これまで一般的だったのは4点式と呼ばれるモデル。腰を両側からベルトで抑え、両肩に1本ずつベルトが掛かるので4本のベルトでカラダを固定する。何十年もこれがレースでも使われていたが、近年そのルールが変わってきた。この4点式には大きな問題がある。それが強くカラダを固定しようと肩ベルトを締めると、腰のベルトが引っ張られて上方にズレやすいのだ。それによってバックルがおへその位置から上がってしまうことがあるのだ。その状態でクラッシュすると内臓にダメージを受けやすく大変危険なことになってしまう。それを防ぐためには腰ベルトをギチギチに締めるしかない。しかし、ドライバー交代のあるレースだと腰ベルトの調整をする時間がなく、ちょっと緩めで走ってしまう人が多かったりして、危険な状態で走っている人も少なからずいた。
そこで生まれたのが5点式や6点式シートベルトだ。これまでの4点式に加えて、股ベルトが追加されるのが特徴。効果としては同じで股ベルトの固定先が1つなら5点式。2箇所に固定されたベルトなら6点式と呼ばれる。股をベルトが通ることで、きつく肩ベルトを締めてもバックルが上にズリ上がらず、カラダを締め付けることができるのが特徴で、安全性向上に大きく貢献してくれる。現在では公認モデルの6点式ベルトが3万円代から購入可能だ。
◆HANSは頸部保護に必須のツール
そして、現在新たなツールとして広まりつつあるのがHANSだ。HANSとはHead and Neck Supportの略。肩にHANSを載せてシートベルトで固定する。そのHANSからはテザー(紐)が出ていて、それをヘルメットに固定する仕組み。これによってクラッシュした時に首が過度に伸びるのを防ぐことができる。
クラッシュ時に人間の首は大きく伸びる。とくにヘルメットをかぶっているので、頭の重量が増えているのでその慣性によって頭部は大きく前方や側方に動いてしまう。そのときに首の神経などが伸びてしまって、重大な怪我につながることがある。実際に頭部はどこにもぶつかっていないのに、頸部のダメージによって亡くなったり、半身不随になることもある。
また、ステアリングに顔面をぶつけて顔面骨折や眼窩底骨折などを起こすことも珍しくない。それほどまでに人間の首は伸びてしまうのだ。それを防ぐことができるのがHANS。現在では日本国内で行われる公式レースではすべて装着が義務付けられている。「自分はまだまだ速くないので、HANSはまだいいです」とか「軽自動車でクルマが遅いのでHANSはいらない」などと言う人もいるが、それは誤り。40km/hでもクラッシュしたら相当な衝撃を受け、首に多大なダメージを負うこともある。ぜひサーキット走行を楽しむ人の全員が装着してもらいたい。ちなみに価格はHANS登場直後は10万円以上が普通だったが、現在では5万円くらいから購入できる。
◆HANSは6点式ベルトとセットで使う
そして、公式戦では6点式ベルトとHANSの装着が義務付けとなった。HANSは強く肩ベルトを締め付けていないと効果を発揮できない=強く肩ベルトを締めるということは、バックルが上にズレやすい=それを防ぐためには股ベルトが必要、ということなのだ。
5点式もあったが現在公式レースで使用が認められているのは6点式のみとなった。つまり4点式ベルトをレースで使うことはなくなったのだ。走行会レベルでは公式戦対応のシートベルトである必要はないが、HANSの効果を高めるためにも股ベルトのある6点式シートベルトの使用が推奨される。
レーシングギアはどんどん安全性が高まっていて、怪我や後遺症を防ぐために進化を続けている。ぜひ、最新モデルを使って、楽しく安全に走りを楽しんでもらいたい。
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