ドゥカティのライディング講習「レーストラックアカデミー」を体験…目的は?
レスポンス / 2022年10月11日 14時30分
9月17日と18日、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで、『ドゥカティ・ライディング・エクスペリエンス(DRE)レーストラックアカデミー』が開催された。
DREはドゥカティ主催のライディングレッスンイベントで、今回のようなレーストラック編のほか、アドベンチャー/ロード/ルーキーの各プログラムを用意し、2003年から世界的に実施されている。
参加は自身が所有するドゥカティのナンバー付き車両に加え、レンタル車両でも可能。今回はモデルと女優をこなし、ミセス・グローバル・アース2021グランプリを受賞したライダーの大関さおりさんにDREを1日体験してもらった。
◆世界チャンピオンの原田哲也氏に教えてもらうチャンスもあり!? 初心者から上級者まで満足できるプログラム
サーキット初心者から、さらなるレベルアップを目指す上級ライダーまで、レベルに合わせたグループ制で行われるDREトラックアカデミー。講師陣は1993年にロードレース世界選手権GP250でチャンピオンを獲得した原田哲也氏をチーフに、レース経験豊富な総勢6名のインストラクターが揃う。最大6名の少人数制グループそれぞれにインストラクターが1名という贅沢な構成な上に、原田氏も各グループを巡回して直接指導してくれる。
まずは正しいライディングポジションからサーキットでの視線の運び方、ライン取りやブレーキングのほか、サスペンションの設定やグリップ限界、ドゥカティの電子制御デバイスといったマシンに関する知識など、基本的なレクチャーを全員で受け、そこからピットへ移動。より詳細なグループレッスンを行ったのち、サーキット走行を繰り返し、身をもって確認する。
……はずだったが、取材当日の18日は台風絡みの雨模様で、時おりエンジン音と聞き紛う雷鳴も轟くあいにくの天候。空のご機嫌と雨雲レーダーをうかがいつつのスタートとなった。
◆まずは基本となるライディングフォームを確認から、天候の回復は如何に?
動画などを見ながらの全体ブリーフィングとレクチャーを終え、ピットへ移動したのちも、雨は降ったり止んだりを繰り返す状況が続く。レース経験もある大関さんだが、サーキット走行が久々ということもあって、参加したのは初心者向けのグループE。そこでこのグループでは、コースコンディションの回復を待つ間、ピットに置かれた『パニガーレV4S』を使って、参加者ひとりひとりのライディングフォームを詳細にチェックすることとなった。
グループEの講師は鈴木大五郎氏。アメリカでのロードレースや全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐など豊富な経験を積んだライダーだ。まずは公道とは異なる、サーキットならではの乗車姿勢の意識づけからスタート。鈴木氏からは次の状況に素早く対処できるよう、基本姿勢はファイティングポーズをイメージするようアドバイスが飛んだ。
次にライダーやマシンに力を加える人力シミュレーター状態で、コーナリングやブレーキングの際の体重移動などを確認。一通りの動きを体感してからは、コース図上で効率的なライン取りやブレーキングを、理論や具体的な数字を挙げながら説明するなど、着々と実走行への準備を積み重ねていった。
しかし、天候は残念ながら悪化する一方。ひとまず、時間を切り上げて本格イタリアンのケータリングによるランチとなったが、その席上では臨時の質疑応答が実施された。午後に入っても、コース上はヘビーウェットコンディションが改善せず、ふたたびピットでのレッスンに。ここでは、普段のライディングで感じているよりパーソナルな疑問などにも、インストラクターが丁寧に回答する濃密な内容となった。
◆残念ながら走行レッスンは次回に持ち越し! それでも体感できたDREの魅力とは?
最終的に、今回はバイクでのサーキット走行を断念。四輪での同乗走行でコースレイアウトを確認するのみという、不完全燃焼での終了となってしまった。それでも大関さんは、確かな手応えを掴んだようだ。
「同じクラス内でも参加者のスキルレベルがまちまちなスクールもありますが、DREはそこがキチンと揃ったグループ分けになっている印象ですね。初心者や久しぶりにサーキットを走るライダーでも、参加しやすいプログラムになっているなと感じました。そして少人数制なのでインストラクターの鈴木先生に質問する時間が多く取れて、しかも実際にマシンにまたがりながら説明してもらえたので、明確にイメージできたのは大きかったです。」
「サーキットを走る前はいつもドキドキするんですけど、今まで解決しなかった不安や怖さ、疑問点が解決に近づきました。それを実際に走って確認して、さらに改善点を聞くことができればレベルアップしていけるだろうな、って思えるレッスンでした」。
原田“校長”によれば、このトラックアカデミーの目的はラップタイムを競うことではなく、サーキットから公道まで安全かつ快適に走れるテクニックの習得だという。プログラムの最後には当日撮影された記念写真の贈呈と、修了証が一人ひとりのライダーに原田氏から贈呈された。その後に全員で記念撮影。当日はあいにくの天候であったが、参加者の笑顔は台風一過のような爽やかさであった。
参加費は車両持ち込みで7万7000円、車両レンタルの場合は10万4500円。豪華講師陣のもとでハイレベルなライディングを身につけたい向上心のあるライダーは、参加してみてはいかがだろうか。
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