メーターから新たな体験、マツダ CX-60 の「フルディスプレイメーター」
レスポンス / 2022年10月14日 19時15分
パナソニックオートモーティブシステムズは10月13日、同社が開発した「フルディスプレイメーター」が、マツダの『CX-60』に採用されたと発表。同社のフルディスプレイメーターが乗用車に採用されたのは初となる。
今回搭載されたフルディスプレイメーターは、12.3インチのディスプレイパネルが採用され、速度や警告などの車両状態をグラフィックでドライバーに表示する。車両状況に応じてグラフィックは変化し、適時・適切な情報を表示することが可能。ドライバーが安心・安全を感じながら運転できるよう貢献する。
◆人に優しい情報表示で運転をサポート
CX-60への採用発表に合わせ、プレスセミナーも行われた。セミナーではHMIシステムズ事業部 ディスプレイビジネスユニット ビジネスユニット長 池田修一氏が登壇し、HMIシステムズ事業部についてや事業化までの道のりについて語られた。
まずパナソニックオートモーティブシステムズは、パナソニックグループに7つある事業会社の中で、車載事業を担当する会社で、4つの事業部で構成されている。HMIシステムズ事業部は、“視覚・聴覚・触覚”で人と車が繋がる商品を展開しているとのこと。たとえば、電子ミラーや、ヘッドアップディスプレイ、ステアリングスイッチや、標準スピーカーなどが挙げられる。池田氏が担当するのは、その中で視覚にまつわる製品ということで、フルディスプレイメーター、センターインフォメーションディスプレイなどが主力商品になっている。いずれの商品についても、人に優しい情報を表示することで、運転をサポートし、ドライバーや同乗者の安心安全な運転体験に貢献するといった商品展開がコンセプトとのこと。
このようなディスプレイ事業への取り組みは10年以上前から行っているが、車メーカーがメーター製品を他社から採用する例はあまりないそうだ。メーター製品は安全保安部品ということで、品質については非常に重要視されているため、開発もしくは量産の実績がないサプライヤーが、話を聞いてもらえること自体が珍しいという。
パナソニックオートモーティブシステムズは、従来のアナログのメーターがデジタルへと移行するタイミングで、AV機器や携帯電話で培ってきたグラフィック技術やディスプレイ技術が認められたこと、また人が操作するインターフェース部分の開発について、今までの知見を活かすことができるということで、車メーカーとのつながりを持てるようになった。そこで2016年から、新しいメーターの開発をマツダに提案。4年にも及ぶ蜜月関係を経て、2020年にフルディスプレイメーターの受注が可能になった。この4年の間には、様々な提案活動やグラフィック表示の精度向上、パフォーマンスのブラッシュアップなどを行ったとのことで、最終的にマツダに活動が認められ、パナソニックオートモーティブシステムズのフルディスプレイメーターの採用が決定した。
◆広島に開発チームを設立しマツダとの連携を強化
続いてフルディスプレイメーターのプロジェクトマネージャーを担当した、HMIシステムズ事業部 ディスプレイビジネスユニット 第四商品部 PM課 近藤亮氏が登壇し、製品の特徴などを解説した。
今回の製品には3つの大きな特長があるという。1つ目は、高品位なグラフィックによる3D立体視像が実現されているということ。高精細・高解像度のディスプレイが採用され、立体感や奥行きを感じる高品位なグラフィックが特長だ。2つ目は、ドライブシーンに応じたモード表示が可能ということ。ドライバーの好みやクルマの走行状況に応じて、多数の画面モードへの切り替えができ、安全性を保ちながら、シームレスなアニメーション遷移で、様々なドライビング体験を提供できる。3つ目は、大画面ディスプレイを活かしたドライバーにわかりやすい運転支援表示だ。大画面ディスプレイ全体を使い“運転支援システム情報画面”が表示され、接近車両や隣接レーンなどの車外情報についても直感的にわかりやすいデザインで表現しているのが特長。またリアルタイムに情報を表示することで、ドライバーが安全・安心を感じながら運転できるようになっているとのこと。
◆マツダとパナソニックの長所を活かした協創体勢
今回のフルディスプレイメーターの開発については、マツダとパナソニックの協創という形で取り組まれている。パナソニックオートモーティブは、民生商品や多数の車載商品で培ったグラフィックス開発ノウハウを存分に活かすため、コックピットのGUI開発に特化したプロフェッショナルチームを結成。このチームにはゲーム開発や、スマホのGUI開発などに携わったことのある、異業種から合流したエンジニアも含まれていた。
またマツダと“One Team”での協創に取り組むため、プロジェクト専任の開発チームを広島に新設。多いときには8人ほどのスタッフが常駐しており、出来上がった成果物を現場・現物で納得するまで議論し、完成させるというスキームのためには重要な場所になっていたという。
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