【ルノー カングー新型】内外装とも予想以上に洗練。日本仕様はどうなる?[詳細画像]
レスポンス / 2022年10月23日 6時30分
カングージャンボリー2022(10月16日に山梨県で開催)で新型カングーが日本で初披露された。2021年に本国では発表されているが日本導入は2023年の春頃を予定している新型カングー。
本国仕様との違いなど、日本のカングーファンには3代目モデルへの進化による変更点が気になっていただけに、実際の車両を見て多くの部分でキープコンセプトだったことに安堵したユーザーも多いだろう。
カングージャンボリーでお披露目されたのは日本仕様(現時点では予定)となるであろうディーゼルモデルとガソリンモデル、さらに本国仕様のワゴンの3車種。まずはスタイリングや装備から受ける全体的な印象はカングーがこれまでも持ち続けてきた魅力である“商用車ベースの乗用車”という方向性は不変だった。しかし内外装の質感やデザインの洗練度がアップしている点が3代目モデルらしい進化とも言えるだろう。
さて、2021年に本国で新型カングーが登場して以来、日本のカングーファンが気をもんでいた項目がいくつかある。その答え合わせが今回のカングージャンボリー2022での日本仕様のお披露目で明らかになった。それらを順に解説していくこととしよう。
そのひとつがリアゲートの構造だ。本国のワゴンモデルはハッチバック(跳ね上げ式)のバックドアを採用しているが、日本仕様では本国のバンモデルが採用しているダブルバックドア(観音開きリアゲート)を採用。これは日本仕様だけの設定であり、国内のカングーファンの声を受けて本国にリクエストして実現したもの。カングー=観音開きリアゲートのイメージが強いだけに、このリアゲートの仕様を確認しただけでも多くのカングーファンは安堵したのではないだろうか。
次にボディサイズが気になっているカングーファーが多い。初代から2代目へのモデルチェンジでも大型化した際にもファンの間では話題になったのだが、3代目でどこまでサイズアップしているのかが気になるポイント。具体的には全長=4490mm、全幅=1860mm、全高=1810mmが当日発表されたボディのスペックだ。現行モデルに対して全長で約200mm、全幅で30mm程度の拡張(全高は変わらない)で収まり、基本的なサイズ感はわずかな変化で済んでいる。本国で発表されたスペックで全幅が1900mmを超えていたことから大幅なワイドボディ化を懸念する声もあったが、これは本国ではミラー/ミラー間のサイズを表記していたことから起きた勘違い。日本のボディ/ボディ間の計測方法だと上記スペックになるのだ。ちなみに今回のボディサイズのアップは安全性の向上と荷室スペースの拡大に使っているとのことで、新世代のカングーのポテンシャルアップには欠かせない要素となっているようだ。
先ほども紹介したダブルバックドアは本国ではバンモデルにだけ採用されている装備だが、日本仕様(ワゴンモデル)には特別に投入されることになった。その他にも日本におけるカングーのキャラクターである“商用車ベースの乗用車”を感じさせるポイントがいくつかあるのでチェックしてみた。本国のワゴン仕様はグリルまわりは横方向のピラーにメッキの加飾が施されているが、日本仕様は2段目3段目のメッキ加飾を排除してシンプルなフェイスに仕上げているのが特徴。加えて本国仕様ではフォググリル部分にもメッキ化色が施されるが、日本仕様ではこちらも排除されている。さらに当日お披露目された車両が黒バンパーだったことからも人気の黒バンパーが日本仕様として用意されるのは間違いなさそうだ。同時に本国のワゴンモデルとしてはデフォルトのボディ同色のカラードバンパーもラインアップされる予定。
ホイールには外周に小さなホールデザインを施したスチールホイールが採用されている。本国ではワゴンモデルにはホイール全体を覆い隠すデザイン性豊かなホイールキャップが装着されているが、日本仕様ではバンモデルで用いられるセンター部分のみを覆うちょっと無骨なホイールキャップをあえて用いている。これも国内ユーザーの心を掴むこだわりのチョイスといえるだろう。
ホイールサイズも変更されている。純正サイズが15→16インチになっている、さらにP.C.Dは従来の108から114.3に変更される。P.C.D=108はホイールのラインアップも限られていたことから、一般的な5穴/P.C.D=114.3に変更されることでアフターホイールをチョイスする上ではセレクト幅が拡がったのも見逃せない。
またボディカラーのラインアップもユーザーが気になるところ。お披露目当日に登場したのはジョン アグリュムと呼ばれるカングーでは代表的なイエローカラーとブルーソーダライトMと呼ばれる濃紺の2色。人気のイエローカラー+黒バンパーの仕様は本国には無く日本独自のカラバリになりそう。日本に導入されるカラーリングに関しては現在もルノー・ジャポンではユーザーの声を聞いて検討中だ。最終的なラインアップは正式発表を待ちたい(カングージャンボリー2022のイベント内でもアンケートを実施してユーザーが欲しいカラーリングのニーズをリサーチしていた)。
ボディも実は日本独自の仕様になっている。本国のバンモデルはフロントドアとスライドドアの間をピラーレスとしているが、日本仕様は本国のワゴンモデルと同様にピラーを備えた一般的なボディ構造を採用している。つまり前方のセクションはワゴンのボディを使いつつ、リアゲートまわりにバンモデルを融合させたのが日本仕様だと言えるだろう。
内装はかなり質感が上がっているのが見どころ。水平基調のダッシュボードに8インチの大型モニターを備えたスタイルは現代的だ。メーターパネル内にはインフォメーション表示を備えるなど進化が随所見られる。ガラスやボディ各部の遮音性を高めて車内の快適性能をアップさせているのも新世代モデルならではだろう。助手席には一般的なシートが用いられているが、将来的には折りたたみ式シートの導入も検討されているので期待したいところだ。
パワートレーンには1.3ガソリンターボと1.5リッターディーゼルターボを用意する。トランスミッションは日本導入当初は7速EDCからスタートの予定。その後、MTの導入も計画されている。マニュアル好きなユーザーはしばし待ちになりそうだ。
最後に現代のクルマには欠かせない安全装備の充実も3代目カングーの大きなトピックだ。アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)、レーンセンタリングアシスト(車線中央維持支援)、アクティブエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)、ブラインドスポットインターベンション(後側方車両衝突防止支援)を装備。現代のクルマとしてのポテンシャルをしっかり備えたクルマとなっている点にも注目したい。
ダブルバックドアの採用やボディカラーにジョン アグリュムを予定するなど、日本のカングー好きが見逃せないポイントをしっかり抑えて日本仕様をコーディネートしたルノー・ジャポン。日本からの要望をしっかりと本国に伝えて独自仕様の製造にこぎ着けたのだ。日本で独自の文化を育んでいるカングーだからこそ、そのユーザーの思いを大切にしたいという日本法人の思いはユーザーにも伝わったことだろう。価格を含めて正式な発表は来年になるとのことだが、基本的なスタイリングや装備などが見えてきた日本仕様の3代目カングー、日本での本格デビューが待たれる。
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