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布製タイヤチェーンは取り付けわずか3分! 性能は金属製と同等、雪シーズンに備える

レスポンス / 2022年10月23日 10時0分

雪道の滑り止めのためにタイヤに装着するタイヤチェーン。車用チェーンでありながら布で出来ているのがイッセスノーソックス』だ。布製でありながらも金属チェーンと同等のパフォーマンスを発揮し、軽量、コンパクト、劣化しないという素晴らしい特徴を兼ね備えている。


メーカーはスペインのISSE (イッセ)。同社は10月21日、商品の開発秘話や魅力などを紹介するセミナーを、インスティトゥト・セルバンテス東京で開催した。セミナーにはスペインより来日したCEOと輸出部長が登壇、スノーソックスの魅力を解説した。


◆日本のチェーン規制にも適合


スノーソックスの取り付け方法はタイヤカバーのようなに被せていくだけ。タイヤ半分に被せ終わったら、クルマを少し移動させ、残りの半分に掛ける。ジャッキアップの必要は無く、製品の重さもパッケージ込みでも1500g以下のため、力の弱い女性や年配の人でも問題無く使用できる。


性能面については、制動、加速、登坂性能で金属チェーンと同等の性能をもち、日本のチェーン規制にも適合している。日本の基準だけでなく、欧州標準化委員会が2020年に制定した規格EN16662-1にも準拠し、アメリカ運輸局認定チェーンにも選ばれている。


軽自動車から高インチのSUVまで、ほぼ全タイヤサイズに適合している。トラックやバスなどの大型車両用も展開されており、国土交通省の除雪車などへの提供も行っているとのこと。スポーツカーなどのタイヤハウスとタイヤとのクリアランスが狭いクルマにも対応しているので、これまでチェーンを諦めていたオーナーにも試して欲しいとのことだった。


標準モデル、高品質モデル、トラックモデルの3種があり、高品質モデルのほうが制動性、耐久性にはすぐれている。


◆フォークリフトのスリップを止めるため布を敷いたことで開発がスタート


イッセ社輸出部長のアーサー・シュワルツマン氏がイッセ・スノーソックスの特徴について、スライドを交えながら説明した。


このチェーンの誕生は、工場内のフォークリフトが雪でスリップしたことから始まったそうで、フォークリフトのスリップを止めるため、地面に布を敷いたところ普通にフォークリフトを操縦できた。この発想をもとに、地面に敷くのではなくタイヤに取り付けてもスリップせずに走れるのではないか、と考え出された。


グリップする仕組みは、まずスノーソックスが水分を吸収してタイヤと路面の摩擦面積が拡大する。吸収した水分はタイヤが回転したときの遠心力で排出される。水分が少ないアイスバーンなどでは繊維が張り付いてグリップ力が増すという仕組みだ。


◆取り付けは2分でできてしまうほど簡単


実車への装着体験会も行われ、担当者が取り付けのデモを行ったり、参加者が自由に取り付けの体験が可能だった。


実際に取り付けてみると、イッセがパンフレットなどに記載している取り付け時間3分は、かなり余裕を持った時間で、実際には2分もかからずに取り付けられてしまう。実際の取り付け時には、雪のあるシーンで坂道など条件が悪いところであることを考慮しても、3分あれば十分取り付けられそうだ。


◆日本では最高の商品を提供し続けるために大きな努力を要した


イッセ社CEO ジョルディ・アギレラ氏はイッセ社の歴史や日本市場での展開について語った。まずイッセ社は15年前に創業した自動車パーツを手がける会社で、本社はバルセロナにある。バルセロナは古くから繊維産業が盛んな地で、スノーソックスは、繊維業界での経験をもとに誕生した製品となる。


イッセ・スノーソックスの開発プロジェクトがスタートしてから、製品テストはスペインだけでなく、ヨーロッパ各国、さまざまな場所で行われた。販売の際には特許の取得や各国の認定を取得しなければならないため、かなり苦労した。そしてヨーロッパでの販売が安定したのち、日本市場に参入することを決めた。


ただし日本は、世界一製品の信頼性など要求度が厳しい国であり、つねに最高の商品を提供し続けるために大きな努力を要したという。日本参入は3年前に始まったが、日本の市場向けにパッケージを変え、商品を改良し、世界一厳しい日本の品質標準を満たすための努力を重ねたそうだ。その結果、日本市場で布チェーンのトップクラスのメーカーになれたという。


日本で発売されているイッセ・スノーソックスの仕様について、アーサー・シュワルツマン氏に確認したところ、日本版は他の国で発売されているものより、縫合部分の糸の強度が10倍だったり、黒いゴムバンド部分の強化が計られていたりなど、日本の高い製品信頼度の要求に応えるべく、改良を施しているとのことだった。


イッセ・スノーソックス日本総代理店株式会社フォーサイト顧問の建晴久氏は、2018年9月頃に展示会でイッセ・スノーソックスを初めて見たときに衝撃を受けたという。建氏自身がスキーなどで雪山に行くことが多く、樹脂製のチェーンを頻繁に使っていたが、樹脂製チェーンは温度が低下すると硬くなるため、取り付けるのが大変だった。そこでこのイッセ・スノーソックスを日本で広めるため、2018年からビジネスをスタートしたと明かした。


イッセ・スノーソックス日本エージェント代表でピー・エム・シー代表取締役のファビアン・ドゥバケール氏は、5年前にイッセ・スノーソックスに出会い、ポテンシャルを感じ販売に携わったが、当初は布でできたチェーンということで性能を信じて貰えなかった。5年経った今、フォーサイトやBMWジャパンのおかげで、日本でも認知されるようになってきて感謝していると述べた。


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