リマック『ネヴェーラ』、最高速412km/hを計測…世界最速の量産EVに
レスポンス / 2022年11月17日 12時45分
リマック・アウトモビリは11月15日、高性能2ドアクーペEVのリマック『ネヴェーラ』(Rimac Nevera)が最高速412km/hを計測し、世界最速の量産EVになった、と発表した。
◆最高速モードを選択して高速走行時の安定性を確保
最高速トライアルは、ドイツ北部のパーペンブルクにあるテストコースで行われた。リマック・アウトモビリのチーフテスト&開発ドライバーのミロスラフ・ズルンセビッチ氏が、最高速トライアルを担当した。
ネヴェーラは、最高速モードを選択した。抗力とダウンフォースをバランスさせる空力設定としたうえで、高速走行時の安定性を確保した。足元には、ミシュランの「カップ 2R」タイヤを装着した。ミシュランのエンジニアが、最高速トライアルに立ち会った。ネヴェーラが記録的な最高速に到達する可能性を最大限に高めるために、テストコースでは4km続くストレート手前のカーブ区間での速度が重視された。
なお、ネヴェーラの市販モデルでは、最高速がリミッターによって、352km/hに制限される。ただし、顧客にはリマックのスタッフのサポートを受けながら、クローズドコースで412km/hの最高速に到達できる特別な機会が設けられる予定だ。
◆1回の充電での航続は最大で約547km
ネヴェーラのモノコックには、カーボン製ルーフ、バッテリーパック、カーボンサブフレームが組み込まれており、自動車向けとしては世界最大級の単一カーボンファイバー構造とした。単体重量は200kg以下で、2200枚のカーボンファイバー層と222枚のアルミインサートを使用して、バッテリーを保護する。
H字型にレイアウトされた6960セルのリチウムマンガンニッケルバッテリーは、蓄電容量が120kWh。バッテリーを車両床下中央の低い場所に搭載することで、低重心を追求する。前後重量バランスは48対52とした。1回の充電での航続は、最大でおよそ547kmに到達する。
ネヴェーラでは、7種類のドライビングモードが切り替えられる。「RANGEモード」は、バッテリーの充電状態を考慮しながら、最大の航続を達成できるようにする。「TRACKモード」では、ドライバーが車両の性能を最大限に活用できるようにする。2つの 「CUSTOMモード」により、ドライバーは事前に設定した好みのパフォーマンス特性にアクセスできるという。「SPORTモード」はスロットル、ブレーキ、サスペンション、ステアリングの応答をシャープにする。「DRIFTモード」は後輪により多くのトルクを配分して、パワースライド状態を維持しやすくする。「COMFORTモード」は、リラックスした乗り心地、効率性、スポーツドライビングのバランスを取るという
◆電気モーターによる最大300kWの回生ブレーキ
「全輪トルクベクタリング2 (R-AWTV 2)」システムは、ESCやトラクションコントロールシステムに代わり、グリップとトラクションを強化する。R-AWTV 2 システムは、4輪に供給されるトルクの量を調整することにより、道路やサーキットの状況に応じた最適なレスポンスを可能にする。R-AWTV 2 は、4輪に伝達するトルクの正確なレベルを毎秒100回以上計算し、トルクレベルを調整する。
ブレーキペダルフィールシミュレーターを備えた電気油圧式ブレーキブースターは、バッテリー、パワートレイン、ブレーキの状態に応じて、制動力を調整する。たとえば、バッテリーが熱限界に近い場合は、摩擦ブレーキを通じて運動エネルギーを消費。摩擦ブレーキが高温になっている場合は、より多く回生ブレーキを作動させる。
電気モーターによる最大300kWの回生ブレーキに加えて、390mm径の ブレンボ製カーボンセラミックブレーキディスクと6ピストンキャリパーによって、強力なストッピングパワーを追求した。電子制御ダンパーとアクティブライドハイト調整機能を備えたダブルウィッシュボーンサスペンションは、スムーズで快適な乗り心地、ボディコントロール、機敏なハンドリングの組み合わせを可能にする。
◆4個のモーターで最大出力1940ps
ネヴェーラには4個のモーターが搭載されており、4輪を個別に駆動する。4個のモーターは合計で、1914hp(1940ps)のパワーと 240.6kgmのトルクを引き出す。1914hpのパワーは、内燃エンジンを搭載した標準的なスーパーカーの3倍の出力という。前輪と後輪はそれぞれ、シングルスピードギアボックスに接続されている。
ネヴェーラの動力性能は、0~96km/h加速が1.85秒。静止状態から161km/hまでの加速タイムは4.3秒。静止状態から300km/hには9.3秒で到達する、としている。
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