ベルギー大使館、過去最大級の「経済ミッション」を前に会見、自動車産業や新エネルギーなどについても言及
レスポンス / 2022年12月1日 16時30分
在日ベルギー大使館は12月1日、同大使館で「ベルギー経済ミッション」についての記者会見を開き、同ミッションの意義などについて説明。日本とベルギーとの経済・学術分野での協力強化を目指すことを示した。
ベルギー経済ミッションが日本で行われるのは2012年以来、10年ぶり。約2年前に計画されたが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の影響により、延期となっていた。
今回の経済ミッションは12月5日から9日まで行われ、アストリッド王女をはじめ、アジャ・ラビブ外務大臣ら閣僚や政府関係者のほか、企業や大学関係者なども含む276社575人が来日予定。ベルギー関係企業との企業間訪問や会議、経済セミナー、政府関係者間の面談、文化交流、学術交流などを通じて、両国間の経済や学術分野の協力関係を促進する。その規模はベルギーの対日経済ミッションとしては最大、過去のミッションの中でも2番目に大きなものになるという。
記者会見では、ロクサンヌ・ドゥ・ビルデルリング駐日ベルギー大使が同国についてやベルギー王室と日本の皇室の関係性、今回の経済ミッションの目的などを説明。
脱炭素やサプライチェーンの独立性を確保するため、再生可能エネルギーの活用を促進していることや、電気自動車(EV)の拡大などでも重要となる半導体の分野で、ベルギーのナノテク研究開発センターが日本と共同で研究を行っていることなども紹介した。
黒田沙樹・同大使館経済通商担当官はベルギーの対日貿易について、輸出額はEU内で2位、輸入額は同3位と重要な貿易・投資資相手国であることを強調。ベルギーには日本の関連企業が237社、日本にはベルギー企業が約80社進出しており、多様な分野で協力していること、ベルギーやEU市場に日本製品を輸出する際の重要なエントリーポイント・テストマーケットとなっていることについても説明した。
ベルギーの日本からの輸入品目では輸送機器が55.9%と突出しており、これはトヨタ自動車やホンダの欧州拠点がベルギー国内にあることが大きく影響していると解説。
輸出については、ファイザー制の新型コロナワクチンがベルギーで製造・輸出されていることから化学製品が大きく割合を伸ばし1位。続く2位には輸送機器が入り、これはベルギー国内のアウディやボルボの工場からEVやハイブリッド車が輸出されているほか、バスメーカーも2社あり、水素バスを輸出していることなど、ベルギーの自動車産業についても語った。
ベルギーの北部にあたるフランダース地域政府の貿易投資局日本代表であるディルク・デルイベル氏は、ベルギーが欧州の物流拠点として重要な役割を果たしていることを案内。船やトラックだけでなく、パイプラインでの物流も盛んであることを説明。
再生可能エネルギーについても言及し、一部、住友商事や三菱商事とも協力して行っている洋上風力発電が約2.3GWに達し、2030年までに5.8GWに達する見通しであることや、水素の製造や輸送、貯蔵についての取り組みなども触れた。
このほか、先日、名古屋港と姉妹港提携を行っているアントワープ港と、同じくパートナーシップ港提携を行っているゼーブルージュ港が合併し、「アントワープ・ブルージュ港」となったことから、2港が名古屋港との姉妹港関係の継続を確認するための姉妹港宣言書の署名を12月7日に名古屋港で行うことを改めて発表。当日はアストリッド王女ら代表団のメンバー30人が訪れるほか、脱炭素化の象徴として、世界初の水素混燃船「ハイドロびんご」も来航する。
ベルギー南部にあたるワロン地域政府の貿易・外国投資振興庁貿易振興部東京代表の森田結花氏は6日に行われる脱炭素に関するパネルディスカッションや、日本とベルギーの学生約150人が共同で「二酸化炭素の排出抑制のために何ができるか」をテーマにし、ビデオゲームを作る「ゲームジャム」などのイベントを紹介。
三宅優子ブリュッセル首都圏政府貿易投資局駐日代表部コマーシャルセクレタリーは、ベルギーが牽引する省エネ建築の分野や日本企業のEU進出にかかわる金融エコシステムのセミナーや、両国の女性起業家の意見交換会などを経済ミッション期間中に実施することを案内した。
また、会見では、この冬から減便となっており、存続が不透明な全日空(ANA)の成田~ブリュッセル直行便についてビルデルリング大使は「非常に重要なフライトだと捉えている。コロナ禍でファイザー製ワクチンの輸送のなどもあり、維持されていたが、冬は10便まで減便となっており、非常に心配をしている」と語り、「この経済ミッション中にコンタクトを取り、継続に向けた働きかけを行いたい」とした。
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