【マツダ CX-60 PHEV 新型試乗】高速クルージングでこそ最良の面が存分に味わえる…島崎七生人
レスポンス / 2022年12月28日 12時0分
水平基調のボンネットとボディの4隅を意識させる造形で、実車は思いのほか存在感がある。“引き算の美学”が心がけられた静かだが力強さのある佇まいには、新色のロジウムホワイトプレミアムメタリックのしっとりとなめらかな風合いが合う。マツダのラージプラッットフォーム第一弾として登場した『CX-60』だ。
◆サラッと仕立ての良さが光る仕上がり
全幅は『CX-5』が1845mm、『CX-8』が1840mmなのに対し『CX-60』は1890mmの立派さで、このラージサイズが許容できるかどうかがポイントか。全長は3列シートのCX-8より185mm短く、CX-5に対して+165mmとなっている。
一方で居住スペースは、デザインと素材が相当に吟味され、無条件で心地よく過ごせる空間に仕上がっている。試乗車は“Premium Modern”(プレミアムモダン)と呼ぶ仕様で、ピュアホワイトのナッパレザーを用いたシートを始め、掛け縫いが施されたルーセントクロスや本杢(メープル)のインパネ加飾など、決してこれみよがしではなくサラッと仕立ての良さが味わえる仕上がり。
前の方で「居住スペースは…」と断ったのは実はラゲッジルームとは分けたかったためで、機能上の支障はないものの、ここに備わる固定式のラゲッジフックはまだしも、シートバックを倒す操作を行なうレバーや床板を起こすレバーは、できれば表面にたっぷり艶をかけた厚みのあるメッキであるほうがよりこのクルマらしいし、高級車では一般的なバックドア間口部分のシルプレートもあったほうがいいと思う(客室ドア側のスカッフプレートはオプションで用意がある)。
◆マツダ初のPHEVはAWDのみ
試乗車は2.5リットルの4気筒ガソリンエンジン+モーターを搭載したマツダ初のPHEVで、この仕様は自動的にAWDの設定となっており、車重は2090kg(前:1060/後:1030kg)となる。エンジンルームを覗くと4気筒の縦置きエンジン本体はバルクヘッドに食い込むほどに(ということはトランスミッションはそのさらに奥に)搭載され、それらは前軸よりずっと後ろであるのが印象的。
スペックはエンジンが138kW(188ps)/250Nm(25.5kgf・m)、モーターが129kW(175ps)/270Nm(27.5kgf・m)、バッテリーは355V、容量50Ahの96セルで総電力量は17.8kWh、それとWLTCモード(ハイブリッド燃料消費率)は14.6km/リットルだ。
実際の走りだが、動力性能的にはまったく不満のないものだった。今回は街中、郊外路、高速走行を織り交ぜての試乗。走行モードはSPORT/NOMAL/EV/OFF-ROADが用意され、(今回はOFF-ROADは試さなかったが)各モードごとの特性を切り替えて走らせることができる。
◆高速クルージングでこそ最良の面が存分に味わえる
走行中は総じてエンジン音と振動は低く、相対的にハイブリッドシステム系システムの作動音は若干だけ耳につく。それとトルコンは使わずクラッチを用いる8速ATについては作動自体は非常に的確ながら、センシティブなドライバー(または同乗者)には、加速時のステップ(ごくごく小さいショック)が感じられるかもしれない。
高速道路のインターチェンジのループなどでのロードホールディングが実に安定して感じるのは、トラクションを的確に制御してくれるKPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)の働きによるもので、ロールの不安もまったくない。乗り心地は低速時に目地を通過した際の初期のショックがやや明確。高速道路のクルージング中はスムースで安定感が高く、このクルマの最良の面が存分に味わえる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【ホンダ ヴェゼル 新型試乗】『WR-V』よりも“雰囲気”を求めたいユーザーに…島崎七生人
レスポンス / 2024年7月2日 12時0分
-
【シトロエン C5 X PHEV 新型試乗】人生、まあゆったりと行きましょう…島崎七生人
レスポンス / 2024年7月1日 12時0分
-
ホンダ、進化版の「ヴェゼル」が持つ2つの魅力 より静かに、価格アップも抑えた優等生SUVに
東洋経済オンライン / 2024年6月24日 10時0分
-
ホンダ「ヴェゼル」はマイナーチェンジでどう変わった? 試乗で確認!
マイナビニュース / 2024年6月13日 11時30分
-
【DS 4 新型試乗】心地よさに「降りたくなくなる」、新シリーズ第一弾…島崎七生人
レスポンス / 2024年6月4日 21時0分
ランキング
-
1Q. 納豆をより健康的に食べるには、どのような食べ合わせがおすすめですか? 【管理栄養士が解説】
オールアバウト / 2024年7月2日 20時45分
-
2洗濯用洗剤、計量せず詰め替えパウチから注ぐ人がいるって本当!? メーカー「目分量はNG、原液こぼすと洗濯機が傷むことも」
まいどなニュース / 2024年7月1日 11時44分
-
318÷0=?物議を醸した小3の宿題に東大生が反応。「教員の力不足」「思考力を磨く良問」などの声
日刊SPA! / 2024年6月30日 15時52分
-
4藤井聡太“八冠再独占”への道 最大の難関は伊藤匠・新叡王への挑戦権獲得、トーナメントでの4連勝が必須
NEWSポストセブン / 2024年7月3日 7時15分
-
5訪日観光客がSNSには決して出さない「日本」への本音 「日本で暮らすことは不可能」「便利に見えて役立たない」と感じた理由
NEWSポストセブン / 2024年7月1日 16時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください