【2022年ニュースふりかえり】その1…ウクライナ戦争、円安、そして物価高騰のながれ
レスポンス / 2022年12月29日 16時0分
まもなく暮れようとしている2022年(令和4年)。現代用語の基礎知識」選の新語・流行語大賞は「村神様」に決まり、日本漢字能力検定協会の今年の世相を表す漢字一文字は「戦」だった。そして、読売新聞が応募した年末恒例の「あなたが選ぶ10大ニュース」では、「日本」のトップは「安倍元首相が撃たれ死亡、9月に国葬」だが、「海外」部門は「ロシア、ウクライナ侵攻開始」が、次点の「エリザベス英女王死去」を引き離して断トツの投票数で選ばれた。
◆ロシア、ウクライナ侵攻
3年目の新型コロナも感染拡大に歯止めがかからないまま、プーチン露大統領が核兵器をちらつかせながらウクライナ侵略を続けているため、穀物や原油価格が高騰するなど、世界経済にも大きな影響を与えた。
中でも、ガソリン価格の上昇は、岸田政権が物価抑制の柱として打ち出した石油元売りに配る巨額の補助金(リッター当たり上限35円)を除けば, 200円に迫る高止まり状態で年を越すことになる。食料品や電気・ガス料金などを含めた物価高は、国民の暮らしを直撃しており、賃上げの実感が乏しい中、家計への負担は増すばかりだ。
実はガソリン価格など物価高騰の要因は、ウクライナ危機を引き金に起こった、もうひとつのクライシス、円安である。年の瀬も押し迫り、日銀が大規模な金融緩和策を修正し、事実上の利上げに踏み切ったことで、一時1ドル=130円台に上昇したものの、秋以降、円安が急激に進み、10月20日の東京外国為替市場では円相場が約32年ぶりに1ドル=150円を突破した。
◆自動車メーカー全社が増収に
この歴史的な超円安が日本の経済にもさまざまな影響を与えた。 “ボロ儲け”とまでは言わないまでも、最大の輸出産業の自動車メーカーにとっては、コロナ禍にもかかわらず、爆益をもたらした。乗用車大手7社の2022年9月中間決算は、全社が増収を確保し、スズキ、スバル、マツダ、三菱自動車の4社は最終利益でも増益だった。長引く半導体不足による相次ぐ減産や納車遅れなどのマイナス要因も大きいが、ホンダや日産自動車を含めた6社が今期の純利益予想を上方修正。このうち、スバルは前期比で3.0倍、三菱が89.1%増、マツダも59.4%増と桁違いの大幅な増益を見込んでいる。
ただ、1円の円安で年間450億円の利益が増大するというトヨタ自動車は、売上高は過去最高を更新した一方、最終利益は、前年同期を23%も下回って、2年ぶりの減益となった。日本製鉄との鋼材価格交渉で大幅値上げをのんだように、鉄・アルミ・銅など輸入に頼る原材料の価格高騰によるコスト増や下請けの部品メーカーを支援する費用などが膨らんだほか、日産やマツダ同様に、ロシア事業の撤退に伴う損失も重荷になったようだ。
振り返れば、2年半前にトヨタは21年3月期の業績予想について、豊田章男社長は、コロナ下でも「日本を少しでも元気にしたい」との熱い思いから営業利益を「5000億円の黒字になりそうだ」と前向きにとらえて発表した。ところが、各紙は一斉に「前期比8割の大幅減」などと、ネガティブな見出しで報じたことから、その報道姿勢に対して疑念を抱くようにもなった。
今回の「トヨタ、2年ぶり減益」、「円安『追い風』でも暗雲」---など決算後の報道もあの“見出し事件”が再燃するのではないかと頭をよぎったが、決算会見で財務担当の今健太副社長は「リーマン・ショックを超える出来事が頻発し、半年先も見通すことも難しい」と発言。むしろ、あの時とは真逆で「円安はプラス」とは必ずしも言えないなどと、経営環境の激変ぶりをアピールしたようにも見受けられた。
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