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後付け自動運転AIバスが進化、雪で思わぬ課題も! 埼玉工業大学がテスト走行

レスポンス / 2023年2月11日 17時30分

愛知県の離島・日間賀島や中部国際空港セントレアと、愛知県内各地で走行実証実験を積んできた埼玉工業大学(埼玉県深谷市)の自動運転AIバスが、こんどは道交法外の閉鎖空間で進化をみせた。


埼玉工業大学が“生きた教材”として開発をすすめる、日野『レインボーII』ベースの中型自動運転AIバスは、通常は大学と最寄り駅を自動運転レベル2で結ぶ自動運転バスとして活躍中。


その最大の特長は、路線バス事業者などが保有する既存の日野レインボーIIをはじめとする、さまざまな一般路線バス車両に、自動運転システムを後付けして自動運転レベル2を実現させるソリューションであること。


◆全国各地自治体やバス事業者が注目


ティアフォーの自動運転OS「Autoware」や、アイサンテクノロジーの3Dマップ・走行調律などを組み合わせ、埼玉工業大学が自動運転AIをアップデートしていく後付け自動運転システムということで、全国各地自治体やバス事業者がこの埼工大自動運転AIバスに注目している。


3週間ほど前には、千葉市内、京葉線・海浜幕張駅のまわりを自動運転レベル2で走るテストランに駆り出され、京成バスの運転手が手放しドライブでテストした。


今回は、日間賀島・中部国際空港に次ぐ愛知県でのテストラン。しかも道交法のなかの公道ではなく、愛・地球博記念公園という閉鎖(自由)空間を、2月10~12日・14日の計4日間、テスト走行する。テストといっても、11・12日の土日は一般客を乗せて、現行の園内バス(同型のレインボーII)運行に混じって営業運転に就く。運転・運行管理は、地元の大手・名鉄バスだ。


◆人の動きを予測した自動運転車両の走りをめざす


今回の愛・地球博記念公園でテストする園内西ルートは、ジブリパークに行く人たちが行き交う路上を、人を検知しながら同調して走る。道交法で定められた公道ではなく、公園内という閉鎖(自由)空間のなかを自動運転レベル2で走るということで、信号検知などよりも、人の検知に重点をおく。


そこで、エヌ・ティ・ティ・データ東海のAIによる走行条件シミュレーションなども組み合わせ、人の動きを予測した自動運転車両の走りをめざす。


注目は、歩道・車道・車線などがまったくない自由な空間で、あちこちに歩行者がいるなか、自動運転AIバスがどう走るか。実際に乗ってみると、おもしろい進化があった。それは、人を検知するとバスが自動で止まるのではなく、歩行者に同調するように動くという賢さ。


◆歩行者にあわせて人に追従するように動く


「前方に同じ方向に歩行者がいると、それを感知したこの自動運転バスは、ガツンと止まるのではなく、ゆっくりブレーキを入れて歩行者にあわせて人に追従するように動く。自動運転AIプログラムのつくりこみとアップデートによるひとつの結果を得た」


そう語るのは、大学発ベンチャーのフィールドオート渡部大志社長(埼玉工業大学 自動運転技術開発センター 渡部大志センター長/情報システム学科 教授)。「愛・地球博記念公園で大型バス(現在運行中の園内バスと同型)による自動走行を初めて実施したということで、これから課題も抽出していきたい」ともいう。


◆急坂・急カーブ・V字路…かつてない走行環境にも対応


そしてもうひとつの注目点は、自転車では登れないほどの急坂や、急カーブ・V字路がある、“ゴリ坂コース”を自動で走るという点。急な下り坂では、手動で運転しているような細かなブレーキやシフトダウンをみせ、傾斜途中にあるバス停もオートで接着した。


日間賀島でのアップダウン路線の走行アルゴリズムを大幅にアップデートし、アイサンテクノロジーの3Dマップを頼りにほぼ自動で走る姿は、見事。運転手が手動に切り替えたのは、関係者車両が対向してきたときだけだった。


◆思わぬ課題がみつかった


そして、初日の2月10日には、思わぬ課題がみつかった。この日は関東でも大雪をもたらしたほどの寒波が到来し、名古屋もみぞれ混じりの雨が続いた。急激な冷え込みのなか、自動運転AIバスが朝一番に走り出したときのことだった。


想像以上に冷えたブレーキが効きすぎて、もともとプリセットしてあるマッピングデータや走行アルゴリズムよりも、ブレーキが余計に効いてしまい、急制動のような挙動をみせてしまった。「このあたりは、もっと細やかなアルゴリズム・プログラムのつくり込みが要る」と渡部社長はいう。


◆大村秀章知事「かなりスムーズに自動で走ってくれた」


試乗した愛知県 大村秀章知事も「中部国際空港での実証実験よりもかなりスムーズに自動で走ってくれた。アイサンテクノロジーや名鉄バス、埼玉工業大学、NTT、東海理化などの技術で、自動運転バスの社会実装をめざしたい」と意気込む。今回のテスト走行に関わる企業・団体・大学は下記のとおり。


エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズを幹事会社とする共同体で事業実施
●エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ/NTTドコモ:事業統括、車両調達、遠隔管制システムの提供、通信環境構築、5Gを活用したソリューションの提供
●アイサンテクノロジー:3Dマップの作製、走行調律作業の実施
●埼玉工業大学:自動運転バス車両の提供
●ティアフォー:自動運転OS「Autoware」の運用支援
●岡谷鋼機:社会実装に向けたアドバイス
●損害保険ジャパン:自動運転リスクアセスメント
●名鉄バス:遠隔管制者、車内保安員、交通事業者としての運行支援
●東海理化:遠隔監視の映像を統合するシステムの提供


協力会社
●エヌ・ティ・ティ・データ/エヌ・ティ・ティ・データ東海:AIによる走行条件シミュレーション(参考実証)
●ENWA:映像伝送システムの提供

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