三菱『アウトランダーPHEV』の本領発揮!? 雪山を走り回って気付いた、普段使いではわからない“恐るべき性能”とは
レスポンス / 2023年3月1日 21時0分
三菱『アウトランダーPHEV』で約400kmを走り、雪山へ行ってきた。スタッドレスタイヤを装着して雪道での走りを体験するためだ。オフロード走行に定評あるモデルだけに、その実力を試してみるのはいい。この手のモデルの良し悪しを問われることが多いので、評価のひとつになる。
そもそもこのクルマに対する個人的な評価は高い。試乗会の時あまりに印象が良かったので、三菱自動車広報部へメディアを通じロングタームテストドライブの話を持ちかけたほどである。つまり、長い期間日常的に乗ることで、その実力をさらに深掘りするという考えだ。日々の使い勝手は? あらゆる環境での乗り心地は? 駆動力はどんなシーンでも発揮するの? 充電の手間は? などなど興味津々である。
まぁ、そうは言っても、現実に2021年度PHEV国内販売台数No.1になっているのだから、多くのユーザーが使い勝手のメリットを日々感じていることであろう。総合的な実力の高さは広く知られているようだ。
◆疲れ&ストレスフリーな走りに「グッド!」
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それはともかく、今回は冒頭に記したようにスタッドレスタイヤで東京から草津方面へ向かった。タイヤはブリヂストン・ブリザック、サイズは前後とも255/45R20である。標準の20インチに合わせた選択でホイールもそれを流用する。ボディカラーはレッドダイヤモンドにブラックマイカのルーフとなる。
高速道路での長い移動時間で感じたのは降りてから身体が楽なこと。キャビンが広いのはもちろん、座面が大きいことからシート設計が優れているのがわかる。サービスエリアでも目的地に着いてからも腰や首など身体のどこかが集中的に痛くなることはなかった。
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それとストレスの無い走りもグッド。モーター駆動はトルクに余裕があるのでアクセルを大きく踏み込む必要はない。操作に対するレスポンスの良さを含め、ノーストレスだ。ACCを含むMI-PILOT(マイパイロット)の使いやすさもメリットだろう。ステアリング上右側のスイッチで必要な操作は完了する。もはや高速道路の長い移動に欠かせないアイテムだ。
◆ツインモーター4WD×スノーモードのコントロール性
では雪道での走りに話を移そう。おさらいだがこのクルマはツインモーター4WDである。前後のアクスル位置に独立したモーターを搭載し、協調制御する。さらに言えば、このツインモーター4WDは、ASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)やABSなどとも統合制御する。ハンドル角、ブレーキ圧、車輪速云々をセンサーで検知し、細かくトルク配分を行なっているのだ。
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でもって、こうしたシステムを使って7つのドライブモードを設けている。通常走行の“ノーマル”や燃費用の“エコ”、スポーティな走りの“パワー”だけでなく、“グラベル”、“ターマック”、“スノー”、“マッド”が用意される。ということで、今回はセレクターを“スノー”にして雪道を走ってみた。
“スノー”モードのセッティングは出だしからわかった。それまで“ノーマル”で走ってきた加減でアクセルを踏み込んでもそのままタイヤは回転しない。アクセル開度とは別に路面のミューの低さをセンサーが検知し、トルクの出方をあえて鈍らせているのだ。よって、タイヤは空転することなく、ゆっくりとトレッドのブロックを使って雪を掴むように走り出す。コントロール性が高いということだ。減速時のブレーキ圧もそうで、ペダルに対するレスポンスは緩やかになり、じんわり圧を高めていく。スタッドレスタイヤのパフォーマンスと相まってかなり安全領域の動きだ。
◆普段使いではわからなかった恐るべき回生力
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そんな“スノー”モードを実は雨の日にも使えるのをご存知だろうか。他メーカーだったと思うが、あるとき開発者との雑談の中で、“スノー”の制御が雨のワインディングにもいいと聞かされ、それ以来多用している。制御の効き始めが早いのが効果的だ。確かにアウトランダーPHEVもそうで、雨の日は“ノーマル”で恐々走るより、“スノー”の方が気持ちよく走れる。皆さんも一度試してみるといいかもしれない。
ということで、恐怖心なく信頼性を高めた雪道ドライブだったが、帰り道でさらに発見したことがある。それは山から下った道での回生力の高さ。標高1000メートルから高速道路を含め、関東平野まで下りてくると、走行可能距離が思いのほか増えている。“ノーマル”でかなりチャージしたのだ。ロングタームテスト車で箱根には何度か行っているが、さすがにここまでは増えない。アウトランダーPHEV恐るべし。その性能は都内の普段使いではわからない。
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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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