【ベントレー ベンテイガハイブリッド 新型試乗】「高級車に燃費は関係ない」なんて時代は終わった…九島辰也
レスポンス / 2023年3月11日 12時0分
◆ベントレー電動化の“初号機”
先日ベントレーはこんなニュースを発表した。それは2024年4月で12気筒エンジンの生産を終了するというものだ。ベントレーのシンボルであるW12エンジンが消滅するのだから、とうとうその時が来た!と実感が湧く。というのも、彼らは2030年までにすべてのモデルをBEVにすると公言している。そして2025年に最初のBEVを市販化する。
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そんな文脈の一ページ目がこの『ベンテイガハイブリッド』ではないだろうか。V6ガソリンエンジンにモーターを組み合わせたこれが電動化の初号機となる。“ハイブリッド”という名前だが、実際はリチウムイオン電池をたくさん積んだプラグインハイブリッド(PHEV)だ。
パワーソースを詳しく綴ると、3リットルV6ツインターボ+モーターとなる。システム最高出力は449ps。最高速度は254km/hで、0-100km/h加速は5.5秒となる。4リットルV8ツインターボが550psだからその差はあるが、今どきのSUVとして十分すぎるのは言わずもがなだろう。
◆ジェントルなパワーソースだからこそのメリット
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実際に走ってもそうで、データ的に数値が抑えられた部分をモーターが活躍するので、ドライバーがV8との差を強く感じることはない。出だしや中間加速でしっかりアシストが介入する様は絶妙だ。必要に応じてアクセルを深く踏み込めば、この大きなボディが軽々と加速するのだから頼もしい。ベントレーらしさは健在。それでも相違点を挙げるとならばエンジン音くらいだろう。V8のけたたましいレーシーなサウンドと比べるとV6はやはり若干おとなしい。
ただそのジェントルなパワーソースだからこそのメリットもある。それはEVモードの走行。朝早くゴルフ場へ行くのにご近所迷惑になるエンジン音を消すことができるのだ。深夜の帰宅と合わせてこれは大きな武器と言える。ドライバーにとってはストレス軽減になるであろう。
もちろん、燃費の面でもハイブリッドは効果を発揮する。というか、そもそもエンジン自体ダウンサイジングされているのだからその違いは明白だ。ウルトラハイブランドだから燃費なんて関係ない、なんて時代は終了した。全方位的に優れたクルマが賢い富裕層にマッチし始めている。
◆高級ガレージまでの“足”に使ってみる
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そんなベンテイガハイブリッドに乗って木更津にある高級ガレージハウスを訪ねた。inCELL(インセル)木更津 The Luxuryだ。通常のガレージハウスよりも高級さを求めてつくられたここは、まさにベントレーをはじめとするハイブランドモデルやスーパーカーを停めておくのにピッタリの場所。建物の優雅なデザインと上質な建材を使った世界観がそう思わせる。セキュリティ面を含めクルマ好きには強い味方と言えるだろう。
その意味では、ベンテイガハイブリッドのようなモデルを都心からそこまでの移動手段とし、そこから趣味のハイパフォーマンスカーやクラシックカーに乗り換えるなんていいかもしれない。近くには交通量の少ない道もあれば、袖ヶ浦フォレストレースウェイもある。早朝海沿いをオープンカーで走るのは気持ちがいいだろう。
とはいえ、どこまで走っても疲れないのがベンテイガのドライブフィーリングと乗り心地。静かなキャビンと精緻に電子制御されるエアサスペンションの効力は大きい。大切な人を乗せて遠くまで走るのであれば、このクルマは最適な一台であることは間違いない。
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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
撮影協力:inCELL木更津 The Luxury
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