【レンジローバー スポーツ 新型試乗】ディーゼルの印象をガラリと変えるチカラを持っている…九島辰也
レスポンス / 2023年3月18日 12時0分
『レンジローバー』がフルモデルチェンジしたのに合わせて、『レンジローバー スポーツ』も進化した。ワールドプレミアは昨年、そして先日日本でのテストドライブが開催された。場所は山口県宇部を起点に県内を走り回るというコース。秋芳洞、元乃隅神社、角島あたりを高速道路と一般道を混ぜて回ってきた。
◆ディーゼルの印象をガラリと変えるチカラを持っている
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試乗車は3リットル直6ディーゼル+モーターの48Vマイルドハイブリッド。「D300」の名の通り、最高出力は300ps、最大トルクは650Nmを発揮する。これは新型レンジローバーにも積まれるユニットで、その時の印象がすこぶる良かったのを記憶している。出だしから中間加速、高速巡航といった広い領域で、ドライバーに爽快感を与えてくれる秀逸なパワーソースだ。
実際、今回もその優れた性能は見事に発揮された。ディーゼルとマイルドハイブリッドのマッチングの良さが手に取るようにわかる。具体的には出だしをモーターが担当することで、ディーゼルの音と振動を発生させない。アイドリングストップで停止されたエンジンは、ある程度走り出すまでかからないのだ。
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そして走り出せばおおよその走りをディーゼルユニットが担うのだが、「これがディーゼル?」と思うくらい回りがいい。アクセル操作に対しリニアにパワー曲線を描いてくれる。そこにザラザラ感はなくスッキリした吹け上がりなのだ。
それにそもそもディーゼルのガラガラした音や振動もかなり少ない。ディーゼルエンジンの印象をガラリと変えるだけのチカラを持っている。ドイツ系メーカーのそれと同等もしくはそれ以上にスッキリした仕上がりではないだろうか。このフィーリングはドライブモードを「ノーマル」から「ダイナミック」にすると尚のこと感じる。シフトアップのタイミングを遅らせるダイナミックでは、あまりの吹け上がりの良さにディーゼルエンジンであることを忘れてしまうかもしれない。
◆「まさに絶妙」エアサスに対する一日の長あり
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この頼もしいパワーソースで走らせているとスピード域が上がっていくが、乗り心地の絶対的な快適さを損なうことはない。通常ドライブモードをスポーティにすると乗り心地は硬くて悪くなりがち。可変ダンパーが段差の突き上げをそのままキャビンに伝えるクルマも少なくない。が、レンジローバーやこのスポーツ、ベントレーあたりはそうはならない。どれだけ各部をスポーティな味付けにしても、上質な乗り心地は変わらないのだ。そこがハイブランドのポリシー。エアサスペンションのセッティングは絶妙である。
しかもその乗り心地を23インチの大径タイヤで成し遂げるのもお見事。車両重量とエンジン出力などを鑑みて、開発陣がロープロファイルの大径タイヤを履きたくなるのはわかるが、それでこの乗り味を担保しているのは立派である。エアサスに対する一日の長を感じる。
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そんなことを考えながら山口県内を走り回ったが、走り終わって身体が疲れていないのもこのクルマならではかもしれない。乗り心地の良さと静かなキャビンは当然のこと、必要であればいつでも使える十分なパワーがロングドライブにおいてストレスの軽減に役立っている。外界と遮断された空間で自分のペースでクルマを走らすことを可能にするのだ。
◆オフロードの名手が手掛けた「オフロードクルーズコントロール」
今回はオンロードドライブだけだったが、機会があればオフロードも走ってみたい。世界初となる「アダプティブオフロードクルーズコントロール」を試してみたいからだ。ブレーキとアクセルを統合制御して走るオフロードも悪くないだろう。これまで世界中のオフロードコースを走ってきただけに、名手であるレンジローバーの開発陣がどんなセッティングにしたのか興味津々だ。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1865007.jpg)
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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