ヤマハが今「原付2種」モデルを大量投入する理由…東京モーターサイクルショー2023
レスポンス / 2023年3月27日 11時50分
ヤマハは市販予定車として『YZF-R15』、『YZF-R125』、『MT-125』、『XSR125』を出展した。いずれも近い将来の市販化が予想されるだけあって、会場でもひときわ注目され、近寄るのがやっとという人気ぶり。
すでに同モデルの海外仕様をもとに詳細が報告されているが、いずれも見た目だけで触れてみたくなる魅力あふれるモデルである。
「現時点、ヤマハの国内市場ラインアップにおいて排気量155cc以下はスクーターカテゴリーのみでした。そこを増強すべくYZF-R15&YZF-R125、MT-125、XSR125の4モデルを国内市場に導入する方向で考えています」と語るのは、ヤマハ発動機販売の井田龍太さん。
4モデルあるがカテゴリーとしては次の3つ。「YZF-Rシリーズ」がスポーツモデル、「MT」がストリートファイター、「XSR」がネオレトロと方向が大きく異なる。目視で確認できる限りシートレールを除いた基本フレーム構成は共通だが、ラインディングポジションはそれぞれの乗り方に応じた専用設計がなされているようだ。
◆人気が高まる「原付2種」
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「じつは近年、原付2種クラス(排気量50cc超~125cc以下)の販売台数が増えています。標識や標示によって最高速度が指定されていない一般道路では4輪車と同じ60km/hで走行が可能であること、コンパクトな車体でありながら2人乗りも可能であること、維持費が安価であることが要因だと思われます」(井田さん)
確かに利便性は高いし、個々の移動が注目されたコロナ禍以降、原付2種クラスの認知度が高まった。そのおかげで市区町村が運営する駐輪場では、従来の原付1種縛りが緩和され原付2種でも駐輪できるようになってきた(数はまだまだ少ないが……)。
「免許制度の上でもAT限定のつかない小型二輪免許の取得も増えています。そうした状況を踏まえヤマハではそのカテゴリーに3モデルに加え、高速道路などの走行が可能なYZF-R15(155cc)の計4モデルでお客さまの声にお応えして参ります」(井田さん)
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免許制度の上では小型二輪免許(YZF-R15は普通二輪免許)に属する各モデルだが、マニュアルトランスミッション車であることからAT限定小型二輪免許では乗れず、小型二輪免許以上が必要だ。
これを免許保有者数との関係から考えてみる。警察庁の統計(2021年版で執筆時の最新データ)によると、AT限定小型二輪の現在数(=2021年の新規保有者数)は15万4841人。これは1557万5693人いる原付免許取得者数の0.99%と極めて少ない値だ。
同一免許区分で比較するとどうか。普通二輪におけるAT限定普通二輪免許の割合でも傾向は同じで1.14%に留まる。対して4輪車のいわゆる普通免許に対するAT限定普通免許の割合は66.3%だ。各メーカーのラインアップ(≒購入可能な対象車)に依存する傾向ながら、ライダーはドライバーよりもマニュアルトランスミッション(MT)志向であるとの推論が成り立つ。
◆ヤマハが提案する車体に合わせたファッション
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ヤマハはエントリーモデルを拡充するのに合わせて、それぞれの車体に合わせたファッションも提案する。
「今回の市販予定車では、車体のイメージに合わせライディングウェアなどを新たに提案しています。ヤマハブランドではこれまでもウェアやヘルメットなどを販売してきましたが、たとえばXSRではモダンでレトロなイメージを大切に、ウェアでもロゴを小さく目立たなくしたり、濃い目の落ち着いたカラーを採用したりしています」(井田さん)
筆者は近場の移動手段として原付2種スクーターである『シグナスX SR』に乗り14年以上が経つが、そこで初めてヤマハブランドのレインウェアも知り今も愛用している。脱ぎ着がしやすくグローブをはめたままジッパーをスムースに動かせ、縫い目には二重の防水加工が施されるなどライダー目線の商品開発だと感心しきり。そこに今回、ファッション性が加わった。これまでの傾向からすれば、おそらく販売価格もリーズナブルなはずだ。
現在、原付2種クラスでは、ホンダ『ダックス』、『モンキー』などが人気だが、ヤマハの各モデルのボディサイズはもう少し大柄でスズキ『GSX-R125 ABS』に近い。これは筆者の想像だが、今回のヤマハ各モデルではスプロケットなどの変更が行なわれ、走行性能も最適化が図られているのではないだろうか。本格派の3カテゴリー、公道で乗り比べが楽しみだ。
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