ゴードン・マレー、新型スーパーカーの最終確認テスト…『T.50』納車開始へ
レスポンス / 2023年4月4日 11時45分
ゴードン・マレー・オートモーティブ(Gordon Murray Automotive)は3月30日、新型スーパーカー『T.50』の顧客への納車開始を前に、ゴードン・マレー氏が最終確認テストを行った、と発表した。
◆マクラーレン『F1』と同じ3シートレイアウト
T.50は、ゴードン・マレー・オートモーティブの第1号車となる新型スーパーカーだ。車名の「50」とは、ゴードン・マレー氏の自動車デザイン、エンジニアリング、モータースポーツにおけるキャリアが50周年を迎えたことを意味している。
ボディサイズは全長4352mm、全幅1850mm、全高1164mm、ホイールベース2700mm。ポルシェ『911』よりも小さい2ドアのグランドツアラースーパーカーになる。ゴードン・マレー氏がデザインを手がけ、1992年に発表されたマクラーレン『F1』同様、運転席と、そのやや後方に2座席を設置する3シートレイアウトを採用する。
独自設計のカーボンファイバー製モノコックを採用する。ボディパネルもカーボンファイバー製だ。ブレーキもカーボンセラミックとした。すべての部品の重量を最小限に抑えることに重点を置いた軽量化戦略によって、車両重量は1トンを下回り、986kg(乾燥重量は957kg)に抑えられる。
この軽量化に貢献しているのが、フルカーボンファイバー製のモノコックとボディパネルで、合計重量は150kg以下。インテリアでは、3つのバケットシートにもカーボンファイバーを使用した。また、トランスミッションの重量は80.5kgと軽量。ガラスは他のスーパーカーよりも薄い設計とした。3.9リットルV型12気筒ガソリンエンジンの重量は178kg。これにより、マクラーレンF1のBMW 製V12に比べて、およそ60kgの軽量化を達成している。
◆コスワース製の3.9リットルV12+マイルドハイブリッド
ミッドシップに搭載されるのは、コスワースと共同開発された排気量3.9リットル(3980cc)のV型12気筒ガソリン自然吸気エンジン「GMA」だ。最大出力は663ps/11500rpm、最大トルクは47.6kgm/9000rpmを引き出す。
このV12は、1万2100rpmまで回る高回転域志向のエンジンであると同時に、最大トルクの71%は、2500rpmから得られる柔軟性を持つ。トランスミッションは、英国のXtrac製の6速MTを組み合わせる。シフトは「Hパターン」。多くのスーパーカーが採用するデュアルクラッチは、あえて採用していないという。
「Vmaxモード」では、最大出力は700psに引き上げられる。T.50には「ISG」(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と呼ばれる48Vのマイルドハイブリッドシステムが搭載される。Vmaxブーストモードは、48Vのスタータージェネレーターからの電力により、最大3分間、追加ブーストが得られるモードという。
◆車体後部に直径400mmの「ファン」
先進的なエアロダイナミクス技術を採用する。そのひとつの例が、車体後部に装着される直径400mmの「ファン」だ。これは、ゴードン・マレー氏が、かつて設計したF1マシン、ブラバム「BT46B」(通称:ファンカー)のアイデアだ。
大型のファンを回転させることにより、フロア下の空気を強制的に後方へ吸い出し、強力なダウンフォースを生み出す。1978年のF1スウェーデンGPに初投入されたブラバムBT46Bは、ニキ・ラウダが操り、いきなりの優勝を成し遂げた。しかし、ブラバムBT46Bは、この優勝限りでF1参戦を禁じられ、伝説のF1マシンの1台となった。
T.50のファンは、可変式の車体下部ダクトとリアウイングを組み合わせることにより、6つの異なるエアロモードが切り替わる。通常走行の「オートモード」では、速度とドライバーの操作に応じて、リアウイング、ファン、アンダーボディディフューザーを最適化する。高レベルの減速が必要な場合、「ブレーキモード」に切り替わり、リアウイングを自動的に展開し、ファンを高速回転させる。これにより、ダウンフォースが2倍になり、安定性とグリップを向上させる。ファンは最高7000rpmで回転する。
他の4つのエアロモードは、ドライバーが選択可能だ。 「ハイダウンフォースモード」はトラクションを強化する。ファンとウイングが連携してダウンフォースを30%増加させる。「流線型モード」では、抗力を10%削減し、直線での速度を向上させると同時に、燃費とダウンフォースを抑える。このモードでは、アンダーボディダクトが閉じられ、ファンが高速で作動する。「仮想ロングテール」状態を作り出すという。
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