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【トヨタ プリウス 新型試乗】これがホントの「プリウスREBORN」だ…中村孝仁

レスポンス / 2023年6月13日 21時30分

テールゲートを開けると、その隠れた部分のプラスチックに「HYBRID REBORN」と書かれている。一体何をもってリボーンなのかは不明。しかしエンジンルームを覗いて普通の人がこれはハイブリッド車だと言い当てるのはほとんど不可能だ。


何故ならハイブリッド特有のオレンジ色のワイヤハーネス類が全く見られず、どう見ても普通のICE(内燃機関)車のエンジンルームだからである。これまで『プリウス』と言えば、ハイブリッドの代名詞。長くこの市場をけん引してきたパイオニアである。そして同時にひたすら燃費が良いクルマのイメージしかなかった…というのが個人的な感想。ところが今回は違う。


いつも是々非々を身上としてレポートに心がけているが、新しいプリウスは素直にすごい車だと思った。どこがどう凄いかというと、単なる省燃費車から脱却したことが一つ。そしてワンモーションのスタイリングは批判もあるだろうがこれもすごいと思ったことの一つ。加えて運動性能、乗り心地、ハンドリングが想定されるライバルに対して図抜けている点も凄いと思わせた部分である。


◆乗り出し400万円を超えるプリウスZ


今回試乗したのはHEVのFWDモデルの最上級グレード「Z」である。車両本体価格370万円(税込み)で、オプションを含めた試乗車の価格は409万9300円であった。オプションの合計は39万9300円で、個人的に必要だと思えたのはITSコネクトとコネクテッドナビ対応のディスプレイオーディオ、それにフロアマットで、これらの合計は12万3200円である。


その他のオプションはパノラミックルーフ、これはあればよいと思う程度。それとデジタルインナーミラー、そして有償のエモーショナルレッドIIと呼ばれる外装色のお値段である。因みにデジタルインナーミラーにはドラレコや録画機能のある周辺車両接近時サポートなどが含まれるからあるに越したことはないのだが、デジタルミラーは使ってはみたものの、やはり遠近両用メガネを使う場合は非常に見難く、依然として使う気にはなれない。


というわけで、やはり乗り出しは400万円を超えるレベルのクルマということになるのだが、費用対効果としては十分に納得のいくモデルである。


◆単なる省燃費車では無くなった走り


リボーンと呼ぶ最初のお話し。つまり単なる省燃費車では無くなったという点は、その活き活きとした走りにあると思う。エンジンは2リットルに格上げされたし、モーターの出力も従来を大きく上回るということで、アクセルレスポンスは断然良くなり、カメさんマークが出現した初代が遠い過去の存在になった。だからちょっとワインディングを軽快に走りたい…というようなシーンでも十分に応えてくれる。


大きく変わったのは乗り心地だろう。先代からTNGAのプラットフォームが採用されていたが、今回は第2世代に進化していて、具体的に変わったと思わせる部分としては剛性感がさらに向上したことと、それによる効果かフラットな乗り心地が実現されていることである。乗員に伝わる揺れは最小限に留められているという印象で、加えてシートの作りがとても良くなっている印象を受け、長時間のドライブでも疲れ知らずであった。


Aピラーが大胆に寝かされた影響があるのかなぁ?と少し心配をしたものの、乗り込んだ当初こそ閉塞感を感じたがすぐに慣れる。ただ、どう考えてもフロントウィンド内側の下の方は掃除がしにくいだろうなぁ…とは感じた。ワンモーションデザインの弊害は精々そんなところである。むしろ格好良くなって乗っていて旧型プリウスドライバーからの明らかな羨望の眼差しを受けることの快感の方が確実に所有欲を掻き立てる。


◆「余計なお世話」ではないADASの進化


ADAS系の進化も顕著である。今回はプロアクティブドライビングアシストなる機能が取り入れられていて、明確に感じ取ることができるのが前車が信号などでブレーキングして接近した時や、少しオーバースピード気味にコーナーに侵入した時など、明らかにブレーキをかけて減速してくれる。この体験は『bz4X』で体験したのと同じイメージである。ブレーキングはドライバーがアクセルをオフにしたときに介入してくるもので、だからと言って前車が止まるまでサポートしてくれるかというとそうではなく、最後はあくまでドライバーの判断でキチンと停止させる必要はある。


他にも前車が発進するとダッシュに線状に光るアンビエントライトが点滅して発進を促すし、歩行者などがいる時は意図してステアリングを少し切って歩行者との距離を保つなど、いわゆるドライバーズアシストが介入するのだが、余計なお世話的な印象が希薄なのが有難い。なんか定食屋に行って頼んだ料理が出てくるときにサービスで好みのものが1品余計についてきたという感じ。要らんぜこんなもの!という感覚ではない。


◆居住性や燃費が下がっても


恐らく、リアシートのスペースは狭くなっているだろうし、ラゲッジスペースだって、先代よりは小さくなっているだろうけど、今度のプリウスに求めるのはそこじゃないと感じた。因みに200kmほど走った平均燃費は19.8km/リットル。これも従来よりきっと落ちているのだろうけれど、落としどころとしては十分な数値である。


単にHYBRID REBORNではなく、プリウスREBORNである。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★


中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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