【カワサキ Ninja ZX-4R 試乗】1000ccスーパースポーツでは味わえない、「最強の4気筒ヨンヒャク」を選ぶべき理由…青木タカオ
レスポンス / 2023年7月20日 12時0分
◆『ZX-4R』なら、もっとイケる!!
「あのコーナーはもう少し早くインについた方がいい」「ストレートはもう少し頑張れる」などと、ロードレースの国際舞台でも活躍した名だたるライダーたちがいろいろとアドバイスしてくれるから、サーキットを走るのがもう楽しくて仕方がない!
今さらながら、バイクでのスポーツライディングって、なんて奥深く、興味が尽きないのだろうか。オートバイに乗っていて本当に良かった。免許をとって30年以上が経つが、自分はまだまだいくらでも上達できる!!
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興奮し、冒頭から取り乱してしまったことをお詫び申し上げたい。何をそんなに感動しているのかと言うと、いま、カワサキの開いたメディア向け試乗会に参加している。
バイク専門誌を代表する凄腕ライダーたちに混じって、話題のニューモデル『Ninja ZX-4R』(正確には『NinjaZX-4RR』と『Ninja ZX-4R SE』)で、袖ケ浦フォレストレースウェイを朝からタップリ走らせてもらっているのだ。
※日本市場には『Ninja ZX-4RR KRT EDITION』(緑=115万5000円)と『Ninja ZX-4R SE』(青or黒=112万2000円)が導入された。7月15日発売。
◆体感的にも凄まじい、400cc量産クラス最高の77ps
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4.3インチフルデジタルTFTカラー液晶ディスプレイは、サーキットモードに設定され、1万回転以上の官能的な帯域がより見やすい。
エンジン回転の上昇とともに、左から右へタコメーターのバーが勢いよく流れ、レッドゾーンのはじまる1万6000回転より少し手前でレブリミッターが効くと、画面が点滅しシフトアップを促してくれる。
インラインフォーならではの甲高いエキゾーストノートを全身で感じつつ、伸びやかに回っていくエンジンを乗り手は堪能できるから、もうこれだけで脳がとろけるほどの爽快感が味わえてしまう。
400cc量産クラス史上最高の77ps、そのスペックは伊達ではない。中高回転からパワーが盛り上がり、速度がどんどん乗っていく。スロットルレスポンスにも優れ、アクセルを戻してからの再加速でももたつくことがない。
◆バツグンの旋回力
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『Ninja ZX-4RR』『Ninja ZX-4R SE』、いずれもクイックシフターとアシスト&スリッパークラッチが標準装備され、コーナー進入での減速もスムーズかつイメージ通りにできる。
シフトダウンでエンブレが程よく効いて、ブレーキレバーにかけた指を穏やかに緩めつつコーナーへアプローチすると、前輪にかかった荷重をそのままに車体を寝かせていける。
インナーチューブ径37mmのSHOWA SFF-BPフォークがしなやかに動き、じんわりとタイヤを路面に押し付けてくれるから、旋回中も不安がなく、立ち上がりでもトラクションを感じつつアクセルを大きく開けていけ、コーナーから脱出するたびに清々しい。
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また、『Ninja ZX-4RR』にはSHOWAのフルアジャスタブルリヤショック「BFRC-lite」が備わり、開発テストライダーの勧めでコンプレッションを若干強めてもらった。
するとリヤの落ち着きが増し、より車体をコントロールしやすい。アクセルを戻した時や、勾配の頂点でサスの荷重が抜ける際も不安がなくなる。『Ninja ZX-4RR』ではサスペンションの調整幅がより広くなり、自分の走りとより向き合っていくことができるのだ。
◆ツーリングペースでも軽快かつ快適
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ピットからの発進加速やタイトコーナーの立ち上がりなどで、低中速トルクが太いこともわかる。ツーリングペースで流してもパワーを扱いやすく発揮し、ワインディングも気持ちよく駆け抜けられること間違いない。
車体重量は『Ninja ZX-4RR』が189kg、『Ninja ZX-4R SE』は190kgしかなく、『Ninja ZX-25R SE』が184kgであることを考えると、ヨンヒャクがいかに軽いかがわかる。
サイドスタンドを払って、車体を引き起こすときから軽さは感じられ、250ccクラスのシャシーをそのままに400cc化されたような感覚といっても言い過ぎではない。
開発責任者の成岡翔平氏によると、『Ninja ZX-25R』譲りのシャシーはパワーアップに伴い、エンジンマウント部などの剛性が最適化されているとのこと。タイヤも1サイズ太くなったが、軽快性を損ねることなく快適性や出力アップを達成している。
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◆ツーリングで荒れた路面もOK
ライディングモードはスポーツライディングに最適な「Sport」のほか、市街地や高速道路、郊外の荒れた道などさまざま路面状況に対応する「Road」、雨天走行時にトラコンを強く介入させる「Rain」の3つがあり、各システムを個別に設定可能なマニュアルセッティングのライダーモードも選べる。
「Road」もフルパワーはそのままで、3段階あるトラコンが「2」となる。ハンドル左側のモードボタンで操作でき、走行中でもモードの変更が可能であったことも報告しておこう。
◆スポーツ走行の醍醐味を知れる相棒
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1本目より2本目、2本目より3本目と、どんどんペースが上がっていく。持て余すことなく、操っている気にさせてくれるから、自分なりにアグレッシブに攻めていけるのだ。
これがもし1000cc超えのスーパースポーツなら、これほどにまで夢中になって向き合えただろうか。きっと、もっと大きく安全マージンをとり、アグレッシブにコースを攻めるようなことはできなかっただろうし、自分よりも速いライダーたちのアドバイスも変わっていたはずだ。
『Ninja ZX-4RR』および『Ninja ZX-4R SE』は、自分のような休日にスポーツライディングをほどほどに楽しむサンデーライダーに丁度いいのかもしれない。
レース経験のあるエキスパートたちと「ああでもない、こうでもない」と、時には真剣に意見を聞きつつ、より上達していこうと向上心を掻き立ててくれる。冒頭で興奮してレポートしたように、『Ninja ZX-4R』はスポーツライディングの素晴らしさを教えてくれるニューモデルなのだ。
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■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
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