【モト・グッツィ V100マンデッロS 海外試乗】目からウロコ、伝統の縦置きVツインが21世紀の走りに大進化…佐川健太郎
レスポンス / 2023年7月25日 12時15分
モト・グッツィ『V100マンデッロ』の国際試乗会がマレーシアの首都、クアラルンプールで開催されたのでレポートしたい。
◆現代レベルの新設計にモト・グッツィらしさも宿る
V100はモト・グッツィ誕生100周年を記念して開発された全く新しいモデルだ。エンジンは縦置き90度Vツイン+シャフトドライブという伝統のレイアウトは守りつつも完全新設計の「コンパクトブロック」と呼ばれる水冷DOHC4バルブタイプへと進化。排気量1042ccから最高出力115ps を発揮するなど動力性能も一気に現代レベルへ。
一方で往年の「ル・マン」シリーズをオマージュした流麗なフォルムにモト・グッツィらしさも宿っている。V100マンデッロには2タイプが用意されているが、今回はオーリンズ製セミアクティブ・サスペンションやクイックシフター、グリップヒーターなどを装備した上級バージョンの「S」に試乗した。
第一印象は“美しいマシン”。空気を切り裂いて飛ぶ航空機のようなフォルムは、モト・グッツィ創業者の3人がイタリア海軍航空隊で出会ったエピソードと重なる。ライポジはやや大柄で、ロングタンクにアップハンドルで上体が起きた楽な姿勢がとれる。電制サスは沈み込みも自然で、標準的なシート高(815mm)とも相まって足着きも悪くない。
◆洗練されたパワートレイン
新型エンジンはまさに大進化と呼べるもの。吸排気系のレイアウトを90度外側に捻ったことでエキパイは前出しから横出しになり、スロットルボディは燃料タンク下に隠れる形となった。その結果、エンジン搭載位置を前に寄せてハンドリングが向上し、従来の空冷エンジンのようにヒザがシリンダーヘッドに当たらなくなっている。
また、従来はスロットルを空吹かしすると車体が右側に傾いでいたが、V100では左側へのモーションを僅かに感じる程度に。加速時にリア側がリフトするシャフトドライブ特有のクセもほとんど出ない。ドライブシャフトを兼ねた片持ち式スイングアームも従来とは反対の車体左側に配されるなど、すべてが新しい基準で設計されていることが分かる。
エンジンはスムーズでスロットルを開け閉めしたときのギクシャク感もなく、バランサーにより不快な振動も感じない。Sに標準装備のクイックシフターは操作も滑らかでワインディングでの頻繁なギアチェンジでもストレス無し。従来の空冷縦置きVツインの図太い鼓動感や味わいを残しつつ一気に洗練された感じだ。
ちなみに高速道路では6速固定からでも楽々追い越し可能で、スロットルを半分開けるだけで図太く重厚なトルクが大柄な車体を押し出していく。ハンドリングはどちらかというと安定志向で、適度などっしり感が安心。それでいて街の交差点も素直に曲がるし、タイトな峠道のコーナリングも軽快にこなす。クラッチも軽いし、昔からのモト・グッツィを知る人には目からウロコだろう。
◆幅広い層を虜にできるポテンシャルがある
4種類のライディングモードも試してみたが、全体的に穏やかセッティングで馴染みやすい印象だった。「スポーツ」モードでも急にパワーが出たりしないし、「レイン」だからといって極端にトラコンが効いたりせず自然なフィーリング。また電制サスペンションの動きもモード毎に変化し、たとえば「ツーリング」ではソフト設定になり荒れた路面でも突き上げが緩和されて疲れにくかった。
そして、注目の可変式エアロフラップ。基本設定で70km/h以上で作動する仕組みで、航空機がフラップを広げるようなアクションは優雅で美しいが、実際的な空力効果は常識的な速度レンジでは感じにくかった。一方で電動スクリーンを最大90mmアップするとヘルメットに受ける風圧とノイズは明らかに低減されていた。
強力なエンジンと優れた空力、電制サスによる快適性も含め、スポーツツーリングにおけるV100マンデッロの実力は一線級と言えるだろう。そして、次の100年へ向けての高い理想を伝統の縦置きVツインで実現してみせた、そのこだわりに拍手を送りたい。昔からのモト・グッツィファンのみならず幅広い層にアピールできる力作だ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★★
オススメ度:★★★★★
佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
モト・グッツィ 購入特典付き試乗キャンペーンを全国の正規ディーラー27 店舗で実施
PR TIMES / 2024年8月5日 16時45分
-
伝説のモデルが復活! モトグッツィがアドベンチャーツーリングの代名詞「ステルビオ」の受注を開始
バイクのニュース / 2024年7月27日 8時10分
-
ピアッジオの新型バイク「モト・グッツィ ステルビオ」受注開始! 気になる価格は
マイナビニュース / 2024年7月25日 8時20分
-
モトグッツィ、新型Vツイン・アドベンチャー『ステルビオ』発表 価格は242万円
レスポンス / 2024年7月16日 20時0分
-
アドベンチャーツーリングの代名詞である伝説の名が復活 モト・グッツィ ステルビオを発売
PR TIMES / 2024年7月16日 17時45分
ランキング
-
1〈守るべきは伝統か人命か〉暑すぎて各地の夏祭りが続々中止に! 酷暑によって失われていく“日本の夏の風物詩”…学校のプール、花火大会、夏の甲子園はもう限界なのか?
集英社オンライン / 2024年8月8日 18時0分
-
2海藻に“長寿の秘訣”の可能性 皮膚の老化から傷の治癒まで効果、関節の炎症にも 英大学で研究
よろず~ニュース / 2024年8月8日 21時50分
-
3彼女との初ラブホ「いきなり大画面に全裸の女性が…」奥手男子がやらかした“まさかの大失態”
日刊SPA! / 2024年8月8日 15時53分
-
43週間で尿漏れ不安とおさらばできる!“も・れ・な・い”トレーニングって?
ハルメク365 / 2024年8月8日 22時50分
-
5部屋着!? マタニティっぽい!? 40代が着てはいけない「真夏のNGワンピース」3つ!
オールアバウト / 2024年8月8日 20時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください