【ルノー アルカナ E-TECHエンジニアード 新型試乗】このクラスではありえない“雲のじゅうたん”的快適さの理由…九島辰也
レスポンス / 2023年8月5日 12時0分
ルノーE-TECHエンジニアードは新しいグレードとなる。パワーソースはご存じ「E-TECH」と呼ばれるハイブリッドシステムで、それにオシャレなゴールドのアクセントを入れてつくられた。そもそもスタイリッシュな『アルカナ』にエレガントな装いが加わった。
◆E-TECHハイブリッドの自然な走りを再確認
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1918943.jpg)
特徴はルノー独自のハイブリッドシステムとドッグクラッチマルチモードATの組み合わせとなるパワートレイン。他社の持つ多くのパテントをくぐり抜けるようにつくられた。モーターは2つで、駆動用大型Eモーターとエンジン側に付くコンパクトなHSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)モーターから構成される。
でもってその走りは、とても自然で扱いやすい。市街地ではほぼほぼエンジンが発電機となりモーターで走行するが、アクセルに対するリニアな加速などガソリンエンジン車的セッティングが施される。しばらく走らせているとEV走行していることを忘れてしまうほどだ。もちろんアクセルをグイッと踏み込むとモーター感が顔を出す。が、それもイメージよりピーキーではなく、トルクが段階的にクルマを押し出す感じとなる。
高速道路ではシリーズハイブリッドになるが、そこも同じように自然なフィーリング。ドッグクラッチに各センサーからの指示が入り統合的にギアのセレクトを行うのがいい。F1の技術を引用したとアナウンスされるだけに、精緻な動きを見せてくれるシステムだ。
◆ヤマハの技術を取り入れたCOXボディダンパーのすごさ
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1918940.jpg)
といった好印象のE-TECHを積んだアルカナだが、数回目となる今回の試乗はこれまで以上に驚かされた。と言うのも乗り心地が「ナニコレ?」と思うくらい気持ちいいのだ。少々大袈裟に例えるなら価格が4倍くらいのハイエンドなエアサス装着車レベル。振動が少なくどこまで走っても疲れそうにない快適さがそこにあった。
これはCOXボディダンパーと呼ばれるヤマハ発動機が開発した技術を取り入れたもので、「ヤマハパフォーマンスダンパー」をCOXがアルカナに合った減衰圧のセッティングと有効的な取り付け位置を決めたものとなる。具体的には前後のボディ下部にそれぞれ一本ずつ横方向に設置される。フロントはエンジンの真下あたりだが、車体下に潜り込めば見えるだろう。
フィーリングは低速で少し硬めとなりスポーティな感覚を与えながら、そこから雲の絨毯的快適さに変化する。NVHすべてに対応するのだからすごい。よって、このクラスではあり得ない快適さを生む。オプション装着だそうだが、こいつは欲しい装備である。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1918937.jpg)
◆購入の決め手となる理由は
と言うのが今回の試乗で目立ったポイント。フランス車だから、他の人が乗ってないから、なんて理由もあるだろうが、見た目のスポーティ&エレガンスさとマニアックな技術、それとクラスを飛び越えた乗り心地が購入の理由にもなるのは必至。そして総合的な走りの楽しさがルノーE-TECHエンジニアードの一番の魅力と言えそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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