【トヨタ ヴェルファイア 新型試乗】2.4Lターボに腹落ち、ドイツ製セダンを連想させる乗り味…島崎七生人
レスポンス / 2023年8月7日 12時0分
訊けば開発当初は“『アルファード』統一”で進められたのだそう。が、豊田章男・現会長から「『ヴェルファイア』も大事にしたほうがいいのでは」の意見があり存続の方向に。そこから新たなコンセプトのもと、新型ヴェルファイアの開発がスタートした。
「今までは“顔”を分けることが主目的だった。けれど新型ヴェルファイアでは、運転もし、カッコよさにもこだわる、young at heartなユーザーを意識した」(CV製品企画・主査・菅間隆博さん)とのこと。その上で「サスペンション、EPSの味付け、それとブレース(の有無)などの違いで、ハンドリングを上げて個性を際立たせた」と、現行トヨタ車の走りの味の総料理長であり“匠”の大阪晃弘さん。新型アルファード/ヴェルファイアのグランドコンセプト自体は「“快適な移動の幸せをお客様にお届けする”が開発テーマ」(吉岡憲一チーフエンジニア)だったという。
◆ドイツ製の上級セダンを連想させる味わいの乗り味
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何はともあれ運転席に収まり、走らせた印象と“気分”を賞味してみた。すると、良かった。試乗会場で割当られたのは仕様違いの5モデルだったが、筆者がもっとも腹落ちしたのは、2.4リットルターボ搭載のFF、「Z Premier」グレード(タイヤはDUNLOP SP SPORT MAXX 060、225/55R19 103H、タイヤ指定空気圧=前後260kPa)。
というのも、とにかく乗り味がスッキリとしたフラットライド(アルファードは総じてピッチング方向の動きが鷹揚だ)で、ステアリングの操舵フィールも剛性感、安心感に溢れているからだ。乗り味については「ミニバンだがSUVくらいのイメージ」(トヨタ車体・製品企画室・主担当員・水本大路さん)というが、筆者にはSUVというよりドイツ製の上級セダンを連想させるくらいの味わい(=前述のスッキリとしたフラット感が主な要因)に思えた。19インチタイヤとサスペンションが路面からの入力をしっかりと受け止め、そのショックを伝えず直ちに減衰してくれるところもいい。
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◆ストレスのない2.4Lターボがいい仕事をしている
最高出力279ps/最大トルク430Nmの性能を発揮する2.4リットルターボも実にいい仕事をしている。街中から高速走行まで自然に的確な性能を発揮してくれるため常にストレスがなく、不本意なアクセル操作を強いられないから、余分な気を遣わずにクルマを揺らさずスムースに走らせていられる。4気筒エンジンながら、走行中のエンジン音、振動はまったく気にならない。
助手席前のグローブボックスのフタにソフトな表皮が使われているなどし、室内全体の雰囲気、質感は、これまでの加飾過多なイメージから一転、落ち着いて居心地のいいものに。
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1995年のマツダ『ボンゴフレンディ』以来の、上から降りてきて最後は速度を落として閉じる後席用パワーサンシェードほか、試乗時間枠では到底すべてはチェックしきれないほど、快適装備も満載。開口幅820mmのスライドドア部、運転席側にも備わるユニバーサルステップ、長いアシストグリップ(センターピラー部=620mm、天井部=315mm)など、乗員への配慮も行き届く。
機会があれば今度はショーファー付きで、ギヤ駆動でスライド速度も変えられるという後席を、森高千里の『渡良瀬橋』にでも耳を傾けながら(!)ゆっくりと試してみたいものだ。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1919615.jpg)
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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