[DSPを使えば音が変わる!]「パワーアンプ内蔵DSP」が新たなスタンダードに!?
レスポンス / 2023年8月14日 6時30分
現代カーオーディオでは、サウンドチューニングを司るメカである「DSP」が使われることが多い。当特集では、そうである理由から使い方までを解説しようと試みている。まずはこれが必需品となった背景を分析している。今回は「パワーアンプ内蔵DSP」について考える。
◆「ハイエンドメインユニット」が使いづらくなり、カーオーディオの楽しみ方が変化!?
これまでは、「DSP」が普及した歴史を振り返ってきた。まずはハイエンドメインユニットに内蔵または付属された「初期型DSP」が、1990年代の後半に普及し始める。そして2010年代には「単体DSP」、そして「DSP内蔵ハイエンドナビ」の普及が進んだ。ここまでの流れを説明してきたが、実を言うと2010年代以降には、もう1つ別タイプの「DSP」も支持を集めるようになっていた。
もう1つの別タイプの「DSP」とは、「パワーアンプ内蔵DSP」だ。
これはつまりは「DSP」と「パワーアンプ」とが一体化したアイテムで、「単体DSP」が登場した後に世に出た。2000年代の中頃からメインユニットが換えづらい車種が増え、さらにはカーナビの普及もあり「ハイエンドメインユニット」を導入しづらくなっていく。結果、カーオーディオシステムを発展させようと考える人の数が減少傾向に転じ始めた。
「単体DSP」はその状況を打破できるものとして登場し、「パワーアンプ内蔵DSP」もそれに続いた。これらを使えば、純正メインユニットはそのままでシステムを本格化させられる。そして2010年代に入りハイレゾ音源の普及とともに「単体DSP」はマニア層からの支持を集め、さらには「DSP内蔵ハイエンドナビ」も誕生しライトにカーオーディオを楽しむ層も再び増加に転じ始めた。実は「パワーアンプ内蔵DSP」も、その流れの加速に貢献していた。
◆「パワーアンプ内蔵DSP」は手頃さと音の良さの両面で強みを発揮!
では、「パワーアンプ内蔵DSP」がカーオーディオをライトに楽しむ層を増やすことに貢献したその背景を説明していこう。まず「パワーアンプ内蔵DSP」も「単体DSP」と同じく、純正メインユニットが交換しづらいクルマで力を発揮すべく誕生したわけだが、「パワーアンプ内蔵DSP」は「単体DSP」と比べて導入のハードルが低いことを特長としていた。「単体DSP」は好きな「外部パワーアンプ」を組み合わせられることが魅力だが、「パワーアンプ内蔵DSP」では好きな「外部パワーアンプ」を組み合わせられない。しかしそのかわりにそれを別途用意しなくても良い。結果、導入コストが少なくて済む。インストールも比較的に容易だ。
それでいて「パワーアンプ内蔵DSP」は、「DSP内蔵ハイエンドナビ」と比べて音が良いモデルが多い。なぜならば、内蔵されているパワーアンプの性能が高いモデルが多いからだ。というのも「DSP内蔵ハイエンドナビ」は2DINサイズの中で完結する必要があるので、内蔵パワーアンプが非力に成らざるを得ない。しかし「パワーアンプ内蔵DSP」は、「外部パワーアンプ」に匹敵するハイパワーなパワーアンプを内蔵できる。この部分で大きなアドバンテージを発揮する。
そして「パワーアンプ内蔵DSP」は、「DSP」も高性能だ。「DSP内蔵ハイエンドナビ」と比べて詳細に調整できるモデルが多く、かつより複雑なスピーカーレイアウトにも対応可能な場合が多い。こうして「パワーアンプ内蔵DSP」は、「DSP内蔵ハイエンドナビ」と並んで、カーオーディオをライトに楽しみたい層にとっての魅力的な選択肢の1つとして人気を集めるようになっていく。
◆「パワーアンプ内蔵DSP」は案外リーズナブル。そして新たな問題も解決可能に!
また「パワーアンプ内蔵DSP」は、案外リーズナブルなモデルが多い。「DSP内蔵ハイエンドナビ」はナビでもあるためにある程度の価格に成らざるを得ないが、「パワーアンプ内蔵DSP」はそれと比べて機能が限られているのでそれほど高額にならない場合も少なくないのだ。
そして近年は、「パワーアンプ内蔵DSP」が重宝する理由がさらに増えている。というのもここ数年、サウンド制御された純正オーディオが増えていて、そういったケースではそのサウンド制御の設定を後から変えられない。なのでスピーカーを交換しても音が良くならないことが多い。設定されているサウンド制御の内容が、交換するスピーカーにマッチしない場合がほとんどだからだ。
しかし「パワーアンプ内蔵DSP」には、純正オーディオにかけられているサウンド制御を一旦ニュートラルな状態に戻せる機能を搭載したモデルが多くある。そういった機種を使えば、スピーカー交換もしやすくなる。つまり「パワーアンプ内蔵DSP」は、新たな問題を解決可能なユニットともなっている。ゆえに音を良くしたいと考えたときには、この導入から入るのも1つの定番になってきた。
今回は以上だ。次回からは、製品の選び方について説明していく。お楽しみに。
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