異業種からの参入相次ぐ、拡大するキャンピングカー業界は激戦化
レスポンス / 2023年8月17日 10時0分
昨今のアウトドアブームも追い風となり、拡大を続けるキャンピングカー業界。キャンピングカー白書によれば、毎年平均で8000台ほど登録台数が増加し、企業や従業員の数も右肩上がりだ。そんな中で目に付くのが異業種からの参入。多様性が増す一方で、商戦は激化する。
◆自宅のような寛ぎと自由度が魅力~工務店・リフォーム業者からの参入~
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キャンピングカーはクルマであると同時に自分だけの部屋である。ゆえに、これを完全な異業種と言って良いかは難しい部分ではあるが、キャンピングカーイベントの取材を続ける中で、工務店やリフォーム業者の参入は多く見受けられる。
直近ではこの6月に大阪・万博記念公園で行われた「モーターキャンプEXPO」で第1号となるモデルを公開した山田建築工房などが好例だ。
工務店やリフォーム業者をルーツとするビルダーのメリットは、架装部分に使用する建材についての知識と加工技術に優位性があり、自宅のリフォーム同様に、さまざまなバリエーションを提案してくれること。
また、これらの業者は、トヨタ『ハイエース』や日産『キャラバン』といったキャンピングカーベースの主力である商用バンを業務で使用していることもあり、乗り心地や使い勝手などについて、理解している部分もある。
参入の経緯は、それぞれ異なるが、前述の山田建築工房の場合は、顧客から架装部分の修理やリフォームを依頼されたのが始まり。その後、修理やリフォームの経験を活かし、「自分たちが乗りたいキャンピングカーを作ろう」と室内の質感はもちろんのこと、使いやすさなども追求したオリジナルモデルの製作に至ったという。
◆クルージングの特別感を陸上でも~船舶業界からの参入~
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キャンピングカーの新規購入者、特に大型のトレーラーやフルコン、バスコンなどを求める人に話を聞くと、クルーザーなどの船舶を所有している人が多い。
海上と陸上という違いはあれど、ゆったり、ゴージャスな雰囲気でクルージングを楽しみたいというのは、クルーザーもキャンピングカーも共通だ。
そこで注目したいのが、「MDNマドンナ」ブランドのキャンピングカーを展開するナニワ。船舶業界で培った高度な金属加工技術を武器に、豪華客船を思わせるような贅沢な空間のキャンピングカーを次々に生み出す。
4月末の神奈川キャンピングカーフェアで公開された「FCスリーパー」の跳ね上げベッドの機構は同社ならではのもので、非常に軽量で展開も手軽な金属フレームでありながら、対荷重は150kgを誇る。これにより、ハイエースをベースとしたキャンピングカーでは初となる両側2段ベッドを実現してみせた。扉の取手など細かな部分まで、しっかりとデザインが施され、高級感に溢れていた。
船旅は長期間に渡ることも多く、遠洋でトラブルが発生すれば、なかなか救助が来ないことも考えられる。そんな船舶業界で育ったナニワのキャンピングカーは、耐久性も徹底的に追求されている。それは、自社で製造する部品だけでなく、搭載する数々の装備も同様だ。
ポータブル電源を例に取ると、多数の類似品を長距離走行で試し、充電速度はもちろん、耐熱性や操作性などを比較。サポート体制なども鑑みて、採用するモデルを決めた。
キャンピングカー業界では“ラグジュアリー”が1つのトレンドとなっているが、船舶業界出身のビルダーは今後、大きな旋風を巻き起こす可能性を持っている。
◆アフターケアの安心感から急進~ディーラーの参入~
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三島ダイハツや日産福岡、西尾張三菱自動車販売、マツダディーラーの新相武などディーラーによる新規参入も多くなっている。
ディーラーのキャンピングカーを購入する一番のメリットはというと、車両部分のトラブルや車検の際などアフターケアの安心感。
キャンピングカーはさまざまな架装を施してあるため、旅先で故障した際、最寄りの修理工場などに持ち込んでも、対応してもらえないケースがある。一方でディーラーで購入したものの場合は、同じメーカーのディーラーに運び込めば、ほとんどの場合メンテナンスが受けられる。
また、ディーラーの提案するモデルは、乗用車をベースとしたライトな車中泊モデルも多く、初心者や年に数回しかキャンプをしない、という人にも購入しやすい。
最近では、トイファクトリーと静岡トヨタ、群馬トヨペットとオグショーといったビルダーとディーラーの提携も活発化。有名ビルダーの高品質・高機能のキャンピングカーをディーラーのメンテナンスやサポート体制で提供するという動きも出てきている。
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