「ローンやサブスクは払い過ぎ!距離課金マイカー『エンキロ』で最安値実現」DRD4原航介氏
レスポンス / 2023年9月1日 14時57分
「この20年間で、平均給与は50万円ほど減少していますが、車両価格は120万円以上値上がっています。自分も含めて30代40代の人にとってマイカーはとにかく高い。しかし子育て世代にとってマイカーは生活を便利で楽しくするもの。このギャップを埋めたい」
こう述べるのは7月末に『エンキロ』という距離料金制を取り入れることでマイカーリースの固定費を大きく削減する新しい販売方式をローンチさせたDRD4取締役 原航介氏だ。
◆車両を所有するから”保有する”への転換
「車の”所有”と”利用”の間に”保有”というスタイルを提案したい」
と原氏は言う。車は高い。かといってレンタカーやカーシェアはステーションの数や予約の手間などで使いにくい部分がある。とくに子育て世代はちょっとした買い物や送迎でも車が必要だ。専有できるレンタカーのような存在が理想といえる。原氏がいう“保有”とはこの状態を指す。
トヨタの『KINTO』やナイルの『カルモくん』のように自動車販売でもサブスクリプションを謳うものは月額固定料金でマイカーを“保有”できるリース契約をアレンジしたサービスだ。その多くは、税金や車検費用込みの月額固定というシンプルさを売りにしている。しかし、軽自動車以外にサブスクモデルがなかなか広がらない理由に1000km~無制限などの乗り放題価格にあると原氏は言う。
「そんなに距離を走らないサンデードライバーがサブスクやリースのプランで“保有”すると払い過ぎになってしまう。欲しい車をもっと買いやすくするために、あえて走行距離という従量課金モデルを導入しました」
エンキロとはケータイ電話の料金のように基本料金と毎月使った分だけ料金を払いながらマイカーを持つサービスなのだ。車両の利用状況に応じた最適な料金設定により、月額および契約期間のトータルコストを下げることができる。
◆ハリアーGをメンテナンス込みで3万円代からで保有できる
「たとえば、現在一般的な残価設定型リースでは、月の上限走行距離を1000kmや1500kmと固定値に設定して残価を計算しています。しかし、実際には稼働している自動車の約4割がサンデードライバーで休日利用がメインです。自動車工業会のデータでは、全国の平均走行距離は月間370kmという統計もあります。弊社の調査でも通勤に使う車でも500km未満という結果が出ています。つまり、リースやサブスクリプションが割高に感じられるのは、平均的な乗用車ユーザーにとって最適な料金体系になっていないからです」
実際の料金シミュレーションで比較してみよう。
ハリアーG(ETC装備):5年リース(ボーナス払いなし)2023年8月時点
毎月500km前後しか走らない人にとっては、月額4万円ちょっとで好きな車を持てることになる。600kmくらいまでなら他社競合サービスより安くなる可能性がある。実走行距離を細かく管理できれば、従量制は、利用スタイルにあった無駄のない課金方法といえる。
◆距離従量制月額で無駄を省く
では、なぜ自動車のリースやサブスクリプションでは月額固定が主流のサービス形態になっているのだろうか。この点について原氏は次のように述べる。
「車両の経年変化と走行距離の関係は複雑で、単純な走行距離による査定額の算出が難しいからです。詳細な距離管理と、さまざまな車種ごとに適切な金額の管理が煩雑で、最終的な基本料金と距離単価が、固定距離・月額固定に対して価格メリットがだしにくかったからです。弊社DRD4では、車種やモデル、色ごと、走行距離に応じた料金算出モデルを考案しました。また、料金請求についても従量課金に最適なモデルを作り、2つとも特許を申請中です」
原氏は、携帯電話キャリアでの経験の後、コネクテッドカーの将来性を感じて日産自動車に移った経歴を持つ。その後フォルクスワーゲンでリースやローンなど自動車ファイナンス事業にも従事し、起業の直前はトヨタコニックプロでモビリティサービスの調査や開発を手掛けた。
原氏は自身のキャリアを重ねるにつれ、ファイナンスは「乗りたい車に乗る」ためのよいソリューションであり、その可能性があると確信している。しかし、自動車ファイナンスの既存の慣習やルールを逸脱するためには大手では実現できないと判断して有志数名とDRD4を起業した。
◆月500km以下なら契約メリットあり
この手のサービスで気になるのは、どうやって買うのか(契約するのか)とその方法だ。ナンバー登録のための諸手続きはやむを得ないとして、なるべく簡単に済ませたい。もうひとつは、メンテナンスやサービスはどうなっているのか、という点だろう。
「エンキロ」で車を契約するには、専用のポータルサイトを利用することになる。特約店や提携しているディーラーではなく、納車は契約した陸送業車が自宅(や指定の場所)まで運んでくれる。定期点検や車検、修理などは提携の整備工場ネットワークを利用する。
この方式は、テスラを筆頭に日本でも定着しつつあるスタイルだ。売りっぱなしで整備ができないという仕組みではない。
「エンキロ」は3年、5年、7年と契約期間を選ぶことができ、契約終了時にはその時点での残価評価による精算か、ユーザーによる買取が選択できる。基本料金や距離単価は車両の見込みリセールバリューによって変動する。車両のオプション(ETCやカーナビなど)はオーダーメイドではなく、事前に用意されたものから選ぶことになる。車種はおよそ42車種(予定)で、主要国産メーカー7社をカバーしているという。
以上を勘案すると、「エンキロ」はどのようなユーザーや利用スタイルに最適なのだろうか。原氏は、30代、40代の子育て世代がまず該当し、平日は近距離のみ、週末たまに長距離を走るという月の走行距離が500km以下のオーナーなら従量課金によるメリットが得られるという。
短期間で新車を乗り継ぎたいという人も検討の余地がある。短期リースで新型モデルをキャッチアップするようなスタイルを実現できる。ファミリーでも家族の成長に合わせた車両のステップアップを考えれば、3年ごとに乗り換える前提でリースを利用する選択肢もあるだろう。
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